第107話 高校三年生になれば、こんな噂も立つよね? (5)

 だから俺はあいつの馬鹿なツレへと。


「気遣いありがとうなぁ」と告げ。


「俺、竹内君怖ぇから。お前の言う通り。あの馬鹿と別れて逃げるは……。あばよ~。二度とお前らと会う事はないから。アディオス~♪」と。


 スマートフォンの向こう側で俺の事を嘲笑うあいつの馬鹿なツレへと俺もケラケラ笑いながら……。


 そう、俺はあいつの馬鹿なツレへと、頼むから変な場所へと誘い。連れていかないでくれと何度も嘆願をしたんだ。


 なのに、あいつ馬鹿なツレは。馬鹿なあいつを安易に誘い連れていく。


 だからこんな事になってしまったんだと。俺は自身の脳裏であいつの馬鹿なツレの事を恨み、憎悪を募らせ。


 二度とお前らのような馬鹿……。シ〇中とは会わねえからなと、俺は心の中で固く誓いながら。自身のスマートフォンの電話回線を切ると──。


 あいつの方へと憎悪を剥き出した顔で睨みつけながら。


「お前のツレ、竹内君とお前は同意の上だと言っているじゃないか? 一体どう言う事だ?」と。


 俺は呻るようにあの馬鹿へと訊ねたよ。


 それがいくらあいつが俺の事を竹内君から庇う事……。


 そう、どうやらあいつの馬鹿なツレへの話しだと間男の三年生様は、未だ一年坊の俺の事を憤怒しながら本気で探していらっしゃるみたいだし。


 流石に俺自身も竹内君相手となると。一年坊の俺だと今迄のような上級生相手に何とか引き分け迄持っていき。相手を戦意喪失させ、『山田悪かった』、『和也、すまない』、『もう二度とアイツには手を出さないから』と、詫びを入れさせると言う事は不可能に近いから。


 多分、あの馬鹿は? あの時の彼氏だった俺の事を怪我させたくないのと、入院送りにさせたくないから。


 俺があいつに憤怒しながら罵声を吐き、罵ろうが。あいつは自分が浮気をした相手の事を最後迄、彼氏だった俺に気遣いし、喋らなかったのだろうと言った優しさを見せてくれたのかもしれないが。


 それでも浮気は、浮気……。


 それもあいつの浮気はこれで三度目だ!


 だからあの時の俺は、あいつが喚き叫び、謝罪、許しを乞う。


「和也、私、竹内に同意なんかしていない……。自分自身が気がついたらあいつと抱き合っていたの……。だから私の本意ではないのよ。だから和也、許してお願い」と。


 馬鹿なあいつが俺に嘆願をしてきても。


「俺、もうお前の事いらねぇから。竹内君にお前はやるは……。じゃ、なぁ~。ばいばい、さようなら~」と。


 あいつに手を振り踵を返し、その場を後にしたんだ。



(お願い)


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