第106話 高校三年生になれば、こんな噂も立つよね? (4)

「お前とやった奴は誰だ? 今直ぐに言え? 隠すな! お前がいくら隠そうが。俺はお前のツレの携帯の番号知っているから。聴けば直ぐにわかる事だから隠さずに今直ぐ言え……。そしてそいつの電話番号と家を教えろ……。今直ぐに、だ」と。


 俺が呻るようにあいつへと問えば。


「な、何で?」とか。「い、嫌、言わない……」と。


 あいつは俯きながら、憤怒している俺と目を合わせないようにしながら小声で二度告げてきた。


 でも俺が、「お前、今直ぐ言わないのならば、今日で『バイバイ、サヨウナラ』だ」と、苦笑を浮かべながら告げれば。


 あいつは渋々と浮気した相手や、数人で玩具にした奴らの名前を全部教えてくれた。


 でもあいつ三度目は、俯き、沈黙をして黙り込み、続けた。


 いくら、相手の名前と家の場所を教えろと言ってもさ。


 だから俺は自身の学校指定の、紺のブレザーのポケットからスマートフォンを出して、


〈プチ、プチ〉と。


 俺は画面を指先でタッチ……。


〈プル、ルルル〉


 と音が鳴れば。


「(もしもし、和也、どうしたの?)」


 俺のスマートフォンの向こう側から女の子の声が聞こえてきたから。


「ああ、ごめん、俺……。悪いんだけれど。あいつが浮気をした男の名前と携帯番号とか、家を教えてくれないかな? 悪いのだけれど」と。


 俺はあいつの前で、奴の悪友、馬鹿なツレへと訊ねたよ。


 あいつの事をケラケラと笑いながらねぇ。でも俺自身の目はちゃんと細め──。本当に自身のツレへと俺に電話を掛けられ、自身の顔色を変えたあいつの事を見詰めながら電話をしたよ。


 するとさ、あいつの悪友もスマートフォンの向こう側からケラケラと俺を嘲笑うように告げてきたんだよ。


「(和也~、あの娘の浮気相手は竹内だけれど。あんた大丈夫な、の~? 竹内は家の中学で一番強いと言われている三年生の男子だけれど。和也~、一年坊のあんたが~。竹内に喧嘩を売ってもボコボコにされるだけだからやめた方が良いよ~。それに竹内はあの娘の事を気に入っているみたいだし。竹内も言っていたよ。あの娘も同意の上でしたとね……。だから和也、どのみち竹内からあんたにお呼びがあると思うよ? 和也にあの娘と別れるように力ずくで告げるとか、うちらに言っていたからね~。ふっ、ふふふっ)」


 まあ、こんな感じだったような気がするよ?


 あいつの馬鹿なツレは、俺の事を侮り、嘲笑いを浮かべ、笑いながら告げてきた。


 中一の俺では、あいつらの中学校を占めている竹内君には敵わないから。彼女をNTRされて嫉妬に狂い。仕返しと言う名のを試みようとしている俺にやるだけ無駄だから……どころではない。あいつと別れて雲隠れ、居留守を使う方がいいとあいつの馬鹿なツレは親切、丁寧に、俺へと教えてくれた。



(お願い)


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