第100話 (第3ルート完)第2章 序章(4)

 まあ、誤魔化したよ。


 蘭の奴も沙紀にふられ、捨てられてから心傷していた俺に対して妙に積極的に自分の想いを俺へとアピールしてくれるけれど。


 蘭より加奈の方が……。


 そう、五月三日のフラワーフェスティバルの初日の日でのグループデートの様子ではないが。


 蘭や由美よりも加奈の方が積極的……。


 そう、俺達二人の周りにいるクラスメイト達の口から。


「お、おい?」

「山田君と山本さんはお付き合いをしているの?」

「あら、和也と山本さんはいつからお付き合い?」

「えぇ~? 山本さんの山田君への積極性って、もしかして二人はそう言った間柄なの?」


 と驚嘆や問いかけが漏れてくるくらい加奈は魅惑的に積極だから。俺の元カノ新宮寺が大人しく黙っている……ではないよね。


 俺と新宮寺とはもう既に、自分の中では終わった仲……。他人の物になった女には、俺はおじさんではなく、未だ若い高校生だから興味がないと言えば嘘になるけれど。


 俺は別に彼女を作るのに苦労をしている高校生ではないから別に新宮寺の事などいらない。


 だからアイツの顔など見て御機嫌窺いをする事もなく、新宮寺の後ろでキッ、キッと真っ赤な顔……お猿さんになりながら地団駄を踏み。


「ちょっとそこの二人ー! 何をしているの、和也ー! 山本さんー! 今直ぐ二人は離れなさいよねー! ここは教室よー! 一体何を考えているのー?」


 俺と加奈の朝からの密着したスキンシップへと不満をもらしてくる蘭へと俺は「…………」と無言で首を振り──自身の顔色を変えながら。


(ら、蘭……。こ、これは違うんだ。違うんだよ)と。


 俺は何が違うのかは、自分自身でもよくわからないけれど。新宮寺の事は取り敢えず俺自身も今はどうでもいいけれど。薄化粧をして大人びた麗しく、オ〇パイも大きい、スタイルが大変によい蘭を手放すのは嫌だから。


 俺はあいつに無言で首を振り続けながら誤解だと主張を続ける。


 う~ん、でもさ、俺の口から声を大にした叫びで──。


『蘭ー! お前の誤解だー! 俺と山本とは何の関係も無い。只の友人……。もうそれこそ? 俺と山本は他人に言えられないような間柄ではないから大丈夫だ! だから蘭気にすなー!』と、この教室内に響き渡る程の声音で叫ぶ事ができないのは。


(お願い)


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