第98話 (第3ルート完)第2章 序章(2)

 そう、元カノ新宮寺とは対照的な物言いで、大袈裟に手を振る大田蘭あいつへと告げれば、ここで沙紀へと視線を変えてアイツの様子を窺うと言う事はしないで、そのまま自身の机と椅子へと向かう。


 だって俺の机と椅子の傍、真横には、大変に恐ろしい少女が、蘭との和気藹々とした様子を不機嫌極まりない顔で見詰める、ではなく。


 俺の事を自分の物でも言わんばかりな顔で、あいつの麗しい顔の中にある目を細め、睨みつけてくる。


 だから俺は山本加奈と目が合うと「アハッ」と笑いって誤魔化し、冷や汗を額と背にかき、垂らしながら向かう。


 でっ、到着すれば俺は、慌てて自身のカバンを机の横へと置き、椅子に座れば、不機嫌極まりないあいつ、山本加奈の方へと自身の身体の向きを変え、御機嫌伺をするように微笑みかけながら。


「加奈、どうする? お前が俺ん家へ取りにくるか? それとも俺がお前んちへと持っていこうかと?」と訊ねると。


 不機嫌極まりない顔、不貞腐れている加奈は、「ん?」と首を傾げるから。


「昨日、加奈がL〇NEくれたオオクワガタだよ。お前の弟が飼いたと言っていたんだろう? だから俺ん家にいるつい最近成虫になったばかりのオスとメスのペアをやるからどうしよう? 加奈、お前が取りにくるのか、俺がお前の家に持っていこうか? どちらがいいか訊ねているんだよ」


 相変わらず俺の正面で、嫉妬心から可愛く不貞腐れている加奈に昨晩のL〇NEの件を訪ねると。


 加奈は、『ん?』から「あっ!」と変わり。自身の両目、瞼を大きく開けながら。


「そう言えば私、弟にオオクワガタを和也に貰えないかと訊ねられていた事をすっかり忘れていたわ……」と。


 あいつ、加奈の奴は自分の事ではなく、弟の事だからすっかり忘れていたと俺ににへらと笑いながら告げてくる。


「あのな、お前……」


 俺は加奈に対して名指し呼びではなく、男女が恋人以上の深い関係になれば呼び合う『お前』と言う呼び方で呆れれば。




(お願い)


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