第90話 (第3ルート完)高校三年生になればこんなお別れもあるとは思う? (20)

「えっ、いや、いやだ……。あのひとのところにはもう二度と戻りたくはないよ」と。


 沙紀は俯いた顔を慌てて上げ、俺へと元彼の許へと戻りたくはないのだと告げてくる。


 でも俺は皆も知っている。覚えている通りで、沙紀に捨てられた日からアイツへの不満を春の大型連休に入る迄の夜……。部屋で一人孤独になれば呪いの呪文を詠唱するからのようにブツブツと呟いてきているから。


 俺は沙紀の事を安易に許すつもりは一切無いので、アイツに御断りの言葉を丁寧に告げようとすれば。


「か、和也……。あ、あのね、私自身もあのひとが年上で優しいし。よくお話もしてくれるし。私にもよくL〇NEもしてくれて、かまってくれるからあのひとと話しをしていても楽しくてね。あのひとのことを少しいいなと思ったぐらいだったの……。だからごめんなさい」と。


 俺が沙紀に丁重にお断りを入れようとしたら。アイツの方がこんなわけわからない台詞と謝罪をしてくる。


 そんな沙紀の様子を俺は窺えば自然と自身の口から。


「はぁ~、新宮寺、お前なぁ」と大きく呆れた声が漏れてくる。


 だから俺の顔の方も自然と怪訝な表情へと移り変わり。心の中で沙紀に対して憤怒しながら罵声を吐いてやろうと口を開こうと試みれば。


「……か、和也、あ、あのね、わ、私の話し、おねがいだから怒らずに聞いて、おねがい。頼むから」と。


 沙紀の奴は俯きながらも瞳を動かして、俺の顔色が変わった事を悟り。しどろもどろの口調で自分の話しを聞いて欲しいと嘆願してきた。


 でもさ、皆も覚えているだろう。俺もさ、コイツ、沙紀の奴にあの時……。


 俺がコイツに体育館裏で捨てられた日に、何度も捨てないでくれと嘆願をしたのにさ。沙紀の奴は俺の事を鼻で笑い。蔑み、侮りながら。聞く耳持たずに平然とその場を去った訳だから。


 俺もお互いさまだよ。コイツの戯言、戯け、言い訳を長々と聞く必要など無い訳だから。



(お願い)


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