第81話 (第3ルート完)高校三年生になればこんなお別れもあるとは思う? (14)

「蘭?」

「ん? 何かな、和也?」

「あのさ?」

「うん」

「この二つの下着の件は先程も言った通りで俺の気持ちとお礼だから無理にそんな事をしなくても良いよ。俺はまだ蘭の想いに対してちゃんとした答えと返事もだしていない状態だから。これ以上お前に甘え、慰めてもらうのは悪いから。蘭の気持ちだけ受け取っておくよ」と告げた。


 でもさ、あいつは、蘭は俺の事が大好きみたいだから。


「この間も言った、じゃん。和也がうちに負い目を感じる事はないから。うちの事は気にしなくてもいいし。来年の春に答えを出さなくて良いよ。うちへの返事は大学を卒業して社会へと出て数年経ってからでも十分だから」と。


 蘭はにへらと笑いながら俺へと告げてきた。


「で、でもなぁ」と言葉を漏らし。


「あのなぁ、蘭」と。


 俺はこいつの彼氏ではないけれど、彼氏のように強い口調で蘭を名指し、『やっぱりちゃんとしたお付き合いをしていない俺達二人の他人様に言えないような内緒、秘密をこれ以上増やす訳にはいかないから。こんな秘密のエッチ、スケッチをしては駄目だ。蘭わかったな?』と、あいつへと視線を変えて告げようと試みた。


「それでも和也はうちと二人きりになったら見たいんでしょう?」、「ふっ、ふふふっ。ふぅ~」


 俺は真横からまた蘭に淡い吐息を吹きかけられ──。思春期の俺様は脳内がトロリ、トロトロと蕩けてしまい。


「は、はい。できればみたい。みたいです。皆に内緒で見させ、拝ませてください」


 思春期の俺は昨日の大人びた蘭の妖艶的な御誘いを断る事もできずにあっさりと頷き、ダメダメ男、修羅場の世界へと堕ちてしまった。


 う~ん、でもね、昨日俺が頷くと蘭の方はね。


「そうか、そうか、それならば良かったよ、和也がちゃんとうちの事を異性として見てくれるのらば。うちにプレゼントしてよ、お願い。早くレジに持って行こう。早く、早く~」と。


 蘭は満身の笑みを浮かべながら俺の二の腕と商品を掴んでレジへと急かしながら引っ張り連行し始めた。



(お願い)


 レヴュー・星・感想・ハート等を軽い気持ちで頂けると励みになりますのでよろしくお願いしますm(_ _"m)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る