第79話 (第3ルート完)高校三年生になればこんなお別れもあるとは思う? (12)

 俺自身は本当にあいつに対して、あの日……。


 そう、俺が沙紀の奴に体育館裏に呼ばれてお別れの言葉、『さようなら』、『また逢う日迄』、『和也、私のストーカーにならないでね』、『あっ、はははっ』と嘲笑い。侮られ、白いハンカチを振られ送る言葉迄御丁寧に告げられ落ち込んだ日から数日以内……。


 俺が引き篭もりになって学園を休んだ二日の日と三日の日に蘭は、俺の席へと配られ机の中に入っているプリントを家迄届けてくれた。


 そして授業でおこなわれた事、黒板に書かれていた授業内容をノートに写した物をコピーして持ってきてくれて、落ち込む俺を心から温かく励ましてくれた日から。


 俺はあいつの事を名指しで呼んでいるように、以前のような男女の友人、マブダチと言うよりも一人の女性として意識し始めている。


 そう、昨日蘭が俺に二人きりの時ぐらいは彼女のように振る舞わせて欲しいと嘆願をするぐらいあいつとは身近になっているから。


 俺自身は蘭の魅惑的な御誘に対して自身の胸がドキドキと破裂しそうになりながらあいつに笑い誤魔化しながら説明をしたよ。


 もう、以前のような硬い男子……。


 そう、俺に沙紀……だけではないか? 


 中学校生活の後半から考えると二人の彼女から三年と数か月は束縛された生活……。


 俺自身には可愛い彼女がいるのだから絶対に浮気はしない賢い男の子を貫き通してこのザマだ。


 絵美と沙紀とで連続して捨てられた俺だからもう二度と一途を貫き通すような男はやめて本命を造らない。アイツ、沙紀の元彼のあの大学生のようなチャラチャラしたゲス男、になるんだと心に決めてはいたのだが。


 流石に蘭にあれだけ優しく抱擁をしてもらえば俺も自然と意識をしてしまうから生唾を『ゴクン!』と飲み込みながらドキドキしていたらね。


 昨日のあいつは、蘭は妙に積極的と言うか? 俺のオスとしての性を見透かしたように。




(お願い)


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