第66話 高校三年生になればこんな目撃もあるとは思う? (3)

 そう、子供染みている俺……。いつまで経ってもガキの頃からの悪癖が抜けない。直らない俺を山本が叱咤してくれて正気へと戻してくれたよ。


 だから俺は我に返り。返ればね。


「ごめん」と山本へと謝罪、下を向くと、同時に。


「おい、ガキ、俺の首を離せ」と、真宮寺の彼氏に告げてきた。


「ああ」と、俺は目の前のあいつに言葉を漏らし。「すまなかった」と詫びを入れながら新宮寺の彼氏の首の襟を強く掴んでいた手を離す。


 だから新宮寺の彼氏の口から「ふぅ」と安堵したような声を漏れ──。


「薫、大丈夫?」と、新宮寺の彼氏の浮気相手の女が慌てて近寄り労り始める。


「ああ、大丈夫だよ。洋子。心配しなくて良いから」と。


 新宮寺の彼氏は、自分の身体を顔色を変えながら優しく労る浮気相手の女へと微笑みながら大丈夫だと告げれば俺の方へと視線を変え。


「ガキ、お前なぁ、何か勘違いをしているようだけれど。俺は浮気などしていなぞ」と告げてくる。


 だから俺は新宮寺の彼氏へと怪訝な表情で『はぁっ、お前なにを言っているのだ』と荒々しく言葉を吐こうとした。告げようとすれば。俺の両目にが映るから。


「お前それ?」と、俺は新宮寺の彼氏へと問うように言葉を漏らせば。


「ああ、この痣は、お前が先程俺に言った。沙紀と一緒だよ。あいつの父親に俺も殴られたんだよ。もうそれこそ? 沙紀どころではないぞ。俺があいつの父親に殴る蹴るの行為を受けたのは。沙紀やあいつの母親が泣きながら止めたのと。俺が家庭教師のアルバイトをしていた会社の部長や課長が慌てて止めに入る程、沙紀の父親に俺は蹴り捲られたよ。家の一人娘を傷ものにしたと……。俺もさ、結構頑張ってあいつの父親に謝罪をしたのだけれど。最後にはお互いが二度と連絡をとりあわない。警察の方もお互いが連絡をしないと言う事で示談で話しが済んだのだよ。だから俺はお前が言っている。思っているような浮気等はしていないし。この洋子は俺の今の彼女だから」と。


 最後はあいつ、今カノの方へと自身の顔の向きと視線を変え微笑みながら俺へと新宮寺とはもう既に別れたのだと説明をしてきた。


 だから俺は新宮寺の元彼の話しを聞き。


「そうなんだ?」と言葉を返した。


「ああ、そうだよ。だからお前がそんなにも沙紀の事が気になるのならば告白をして付き合えば良いだろう。多分、沙紀の奴はお前の事が好きだと思うぞ?」と。


 新宮寺の元彼は俺に苦笑いを浮かべながら教えてくれた。


 でも俺は、もう既に他人の物に、所有物とへとなったアイツには興味もないし。好きだと思う気持ちも完全に冷めている、


 只今回の件も俺が言葉を漏らし呟けば。只の言い訳に聞こえるかも知れないけれど。


 俺はアイツ、新宮寺のクラスメイト、知人としてお節介をしただけ、だけなのだよ。


 多分、多分ね……。


 と、なれば?


「い、いいや、俺はもうアイツのことはなんとも思っていないから」と。


 俺は再度上げた顔をまた下げ、俯きながら新宮寺の元彼氏へと首を振り言葉を返した。


「そうか?」

「うん」

「まあ、俺がとやかく言う事でもないしなぁ。お前と沙紀とがゆっくりと話し合い考えればいいさ。お前達二人は未だ若いのだから」と。


 新宮寺の元彼が俺へと年寄り臭いことを言った。告げてきたのだけれど。


 俺自身が子供染みたことをしたことに対して今更のように反省をしている最中だから。


「いや、俺はもう新宮寺とは付き合わないと思う……。それよりも、先ほどは本当に子供染みたことをしてごめんなさい」と。


 俺は再度新宮寺の元彼へと深々と頭を謝罪をしたのだ。


「ああ、別に良いよ。沙紀の件で元彼のお前に文句を言われるのは。元々俺が沙紀を口説き、強引に別れさせた訳だから。その時に俺はお前から呼び出しをくらい。文句を言われると言う事がなかったのだから別に良いよ」と。


 新宮寺の元彼は俺に苦笑いをしながら告げれば。


「じゃなぁ、さようならだ。もうお前や沙紀とは二度と会う事はないとは思うから。完全にあばよ! だ。じゃな、学生諸君! 受験勉強頑張れよ。後悔をしないようになぁ~」と。


 新宮寺の元彼氏は、言葉の最後には軽いノリで俺達へと高笑いをしながら手を振り──。


 子供染みたことをした俺に対して不満を募らせ、不服を漏らし始めた今カノに対して、「洋子、いつまでも高校生相手に不満を漏らすな。さぁ、他へ行くぞ」と、強引に腕を引きながら連れ、本通のアーケード街の人混みの中へと消えていく。


「和君?」

「……ん? 何だ由美?」

「私一言和君に言わせてもらっていいかな?」と。


 俺が商店街の人混みの中へと消えていく二人の背を見詰めていると、由美が何故か怪訝な表情で訊ねてくるから。


「うん」と頷くと。


「和君は新宮寺先輩の元彼氏の人をだと罵声を吐いていたけれど。和君もあの人と何も変わらないなのだから。自分のことを棚上げにして罵声を吐いたらだめだよ。じゃないと人に笑われるよ」と、淡々と告げてきた。


 だから俺は「由美、お前の言っている意味がわからん」と言葉を返せば。


「ほら、和君は自分がしたことはすっかり忘れている」と、由美は俺の言葉を聞けば今度は苦笑を浮かべながら言葉を返してくる……だけではなく。


「和君は新宮寺先輩と付き合う時に、絵美先輩との約束を破り平然と捨てたじゃない。だから他人を叱る資格はないのだから言ったらだめだよ……でないと地元のみんなが先ほどの和君の嫉妬に狂う荒々しい様子を見たら笑っちゃうよ。絵美先輩に酷いことをした和君だから自業自得だって……。それにあの人は新宮寺先輩の両親に怒られ謝罪をちゃんとしているみたいだけれど。和君はあの優しい先生に未だ怒られてもいないし。先生やお母さんから謝罪もせずに逃げている状態なのだから。あの人を叱る資格はない」と。


 由美は俺のことを嘲笑うように告げてきた。


 でも俺はそんな由美に対して何も言い返すこともできずにその場で俯くことしかできなかったのだ。


 ◇◇◇


(お願い)


 レヴュー・星・感想・ハート等を軽い気持ちで頂けると励みになりますのでよろしくお願いしますm(_ _"m)




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る