第62話 高校三年生になればこんなフラワーフェスティバルもあるとは思う? (2)
まあ、年上の彼氏だし。相手の男はもう既に成人式を済ませ、大学の卒業も間直だとい言った噂話しを俺は風の便りに聞いたじゃないか。(笑)
アイツ、沙紀の奴と俺は同じ教室内で共に勉学に勤しんでいる訳だから。アイツ、沙紀の奴が大田達と数人でヒソヒソと小声で会話、雑談をしている最中に偶々俺の両耳へと入ってきた。侵入してきた言葉、台詞だから成人男性なのは間違えない。
まあ、そんな年上の彼氏と沙紀の奴も付き合えば、いくらアイツが固いバージンだからと言っても、彼氏の巧みな言葉と強引さによって安易に自身の肢体、裸体を曝け出し、自身の大事にしていた初めてを許すだろうと俺は思っているし。察しもつく。
と、言うか?
女なんてみんなそんなもの、奴等ばかりだと俺は思っているし。俺は女達のことを心から信用などしていないのだ。
特に俺が中坊の時にお付き合いをしていた彼女達の大半は世に言うヤンキー娘と呼ばれる者達ばかりだったからね。幼い頃から男女の交際、お付き合いの入れ替わりが激しい者達ばかりだった気もする。
まあ、俺の通う中学や近隣の中学校のヤンキー娘達はそうだったが、他の地区や市、県外等のことは俺も知らないけれど。取り敢えず俺の周りは沙紀も含めてそんな女子達ばっかりだった。
それにさ、俺が中学校卒業後も付き合いっていた彼女の絵美だって。新しい彼氏を作って俺を捨てたのではないかと思っているぐらいだから。高校三年生の沙紀が年上の彼氏とお付き合いをして、俺にはくれなかった物、大事な物を全部今の彼氏にやる。渡す。差し出すことは安易に推測できた。
まあ、できた。できていたのだから。俺自身がネチネチと未練がましく沙紀のことを気にすることもないとは思うのだけれど。
でも何故かあの時の俺は沙紀が、アイツが完全に他人の物、所有物になったと聞こえてきた。耳に入ってきた。
そして沙紀の奴は俺と目が合えば、自身の顔色を慌てて変え、動揺を始めだす。
だから俺もアイツにつられるように自身の顔色を変えてしまったよ。もうそれそこ? 見てはいけないもの見た。聞いてはいけないものを聞いた。見て聞いてしまった愚か者のような顔、様子でね。沙紀から慌てて目を反らし俯き、自身の顔と身体の向きを窓の方へと変える挙動不審な行動へとでた記憶がるよ。
だから俺の隣の席の山本が今のように……。
そう、この沢山いる。平和通りにいる。この路側帯を、歩道を川の流れのように歩く。歩行を続ける人混みの中でも、ぼんやりと走馬燈でも見るような焦点の合わない目で、人々に押し流されながら歩行を続ける俺を真横からあの時のように見詰めながら歩行……。
「それにしてもフラワーフェスティバルって毎年、何処から人が集まっまってくるのだろうと思うぐらい人がいませんか、山本先輩?」
「えぇ、そうよね。隅田さん……。山田君もそう思わない?」と、俺に訊ねてきて直ぐに反応を示さない俺へと。
「山田君どうしたの?」と、自身の首を傾げながら訊ねてくる。
「うぅん、うぅん。なんでもない。なんでもないよ」
俺は自身の首を傾げる山本へと笑みを浮かべ、首を振りながら言葉を返した。
「う~ん、そうかな? 私は山田君が何かぼんやりと考え事をしているように見えたのだけれど。私の気のせいかな?」
まあ、感の鋭い山本は、俺の顔色、表情を見ただけで『何だか可笑しい?』と思ったみたいでね。また自身の首を傾げる。
それでも俺は沙紀のことを未練がましく思い。思案……。
未だアイツ、沙紀のことが未練がましく好きだ。愛していることを俺は誤魔化すために。
「気のせい。気のせいだって」と、「あっ、ははは」と笑いながら説明をすれば。
「和君、山本先輩の言う通りだよ。先ほどから和君は何だかぼんやりとして全く私達に話しかけてくれないし。楽しそうにも見えないもん……。もしかして和君は、私や山本先輩とフラワーフェスティバルにきたのが楽しくないの?」と。
山本とは逆の位置で俺と肩を並べ、歩行を合わせ歩く幼馴染の由美が、自身の頬をプゥ~と、膨らませながら訊ねてくるから。
「いや、そんなことはないよ。楽しいって、由美……と、言うか? 俺達三人は今フラワーフェスティバル会場へとついたばかりだぞ。だから楽しい。楽しくないなんて未だ俺にもわからないから。それにな、由美。これだけの大人数、人混みの中を流れに沿って歩けば、俺でなくても段々とボォ~とした顔になるから」と、俺は苦笑いを浮かべながら由美へも言葉を返すと。
「由美、お前だって、今山本と会話を始めるまでは呆然、沈黙しながら歩いていたぞ。だから俺だけが沈黙しながら歩いている訳じゃなく。由美だって俺と一緒だぞ。なぁ、山本。お前も見ただろう?」
俺は由美から山本へと顔の向き、視線を変えて笑い誤魔化しながら訊ねれば。
「うん、確かに山田君の言う通りで、隅田さんも先程迄はボゥ~とした様子……。そう、山田君のように走馬燈でも見るかのような目をしながら歩いていたわよ」
「えっ! 山本先輩そうなんですか?」
「うん、そう」と、山本が由美の言葉に頷けば。
「ほら、見てみろ由美。俺の言っている通りだろう」と、俺が苦笑を浮かべ、嘲笑うように由美へと誤魔化し呟くと。
「えぇ、そんな~。私もそんな感じだったかな~」と、由美が嘆くように呟くから。
「そう、そう」と、俺が由美へとヘラヘラ笑いながら頷き。
(これで俺が沙紀のことを未練がましく考えていたことを由美にも誤魔化せた)と安堵しながら思っていると。
(お願い)
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