第57話 高校三年生になればこんな朝もあるとは思う? (1)
〈ガラガラ〉
と小さな音、覇気のない音を私は早朝からソォ~ッと出しながら教室の扉を開けていくのだが。
それでも私が、自身の教室の扉を開けるとやはり「おはよう」と、覇気のない小声で朝の挨拶を独り言のように呟けば、俯き加減で慌てて自身の机と椅子、席へと足早で向かうのだ。
できるだけ私は人目、クラスメイト達の目に触れる。自身が晒されないようにしながら足音もできるだけ立てないように、目立たないようにしながら足早で向かえば。
「おはよう」
「真宮寺さんおはよう」と。
やはり私に気がついたクラスメイト達は次から次へと俯き加減で自身の席へと向かう私に微笑みかけながら朝の挨拶をくれるから。
「おはよう」と、私も声をかけてくれるクラスメイト達へと次から次へと挨拶を返していくのだ。
それも小声でね。いつものような笑顔も見せずに顔色を変えながら自身の席へと移動──。
とにかく移動をしたの、私はどうしてもクラスにいるあのひとに今の情けなく、どうしようもない姿……。悲惨で惨めな私の姿を和也に見られたくはないから足早に机へと移動を試みて、席へと到着すれば慌てて自身のカバンを机の横にかけ中身──。一時間目の授業で使用をする国語の教科書を開き、机に立て、私の顔が和也の目に触れないように試みれば。
「沙紀おはよう」
「どうしたの、自身の顔を教科書で隠して?」と。
翔子とサチの二人が足音を立てながら私の席へと近づきつつ朝の挨拶と声をかけてきたから。
「おはよう」と、私もここでやっと微笑みながら言葉を返すと。
「昨日はどうだった彼氏との話しは?」と、蘭が親友である私のことを心配。気遣いをしている声色で問いかけてきたから。
「えっ! いや。あっ、はははっ。別れちゃった」と、私が笑い誤魔化しながら告げれば。
「そうか。そうなんだ。沙紀は彼氏の浮気は許せなかったんだね。まあ、仕方がないか……。でっ、沙紀はそれで良かったの?」と、蘭が私に問いかけてきたから。私が蘭へと言葉を返そうとすると。
「沙紀何でマスクなんかしているの? と、言うか? 眼帯もしているじゃない。もしかして昨日の晩に、彼氏に浮気現場の事を追求したら暴力を振るわれ、殴られたの?」
私が自身の顔にできた大きな痣を隠すためにつけている眼帯とマスクに対して翔子が気がつき、自身の顔色を変えながら昨晩元彼から荒々しい行為。暴力を受けたのかと訊ねてきたから。
「ちがう、ちがう。私を殴ったのは薫さんじゃないよ。家のパパとママだよ。私の顔を殴ったのは」と、翔子に慌てて説明をすれば。
「沙紀、あんたん家のお父さんやお母さんが一人娘のあんたの事を安易に殴る訳がないじゃない。それも目の下に大きな青痣もできているし。頬だって真っ赤に腫れているじゃない……。一体何が遭ったの?」と。
私とは小学校からの付き合いになる蘭が顔色を変えながら訊ねてくる。
特に彼女とは幼馴染に近い関係だから家の内情をよく知っているから隠し通す訳にもいかなくなり。
私は蘭達に昨晩自身の身の起きた出来事を説明するために昨晩の回想シーンを思い出し始めるのだった。
◇◇◇
「いやぁっ、はなして、はしてよ」
「はぁ、何を言っているんだ。沙紀。早くこちらに来い。今直ぐにだぁっ」
「いやよ。いやぁっ。私の肩に触れないでよ。薫さん。今すぐあっちにいってよ。おねがいだから」
私の肩に腕を回し、手をかけ、自身の方へと強引に引き寄せようとする彼に私は、自分の肩に触れ、触らないで欲しいと嘆願しながら薫さんの腕を払い。抗う私に彼は大変に困った顔でいたと思う?
私自身も昨晩は困惑、動揺をしていた。最後まで続けていたから余り覚えてはいない。
でも私自身が昨晩はね。彼が私の唇、腕、掌、肢体に触れることを彼が部屋に入り。私と会う。会話をすると同時に拒み続け、拒否を続けたから。
「おい。沙紀。どうしたんだ? 何で今日はいつもと違って御機嫌が斜めなんだ。もしかして学校で何か遭ったのか?」と。
薫さんは、最初は苦笑いを浮かべながら私の御機嫌伺いして様子を窺い。彼の言葉、台詞の終わりには真剣な顔で私の身を案じる優しい言葉と台詞をくれた。
でも私が彼に対して不機嫌極まり顔、様子でいるのは、薫さんが他の女性とラブホテルから中慎ましい様子で出てきた。
そして二人は仲良く腕を組み、和気藹々と微笑みあいながら会話を続け本通り商店街へと消えていなくなったのが原因なのだと。この時の薫さんは知りもしないから私の身の心配、案じてくれるいつもの優しい言葉、台詞……。
私のことを薫さんは彼女、将来の妻だと本当に心から思ってくれているのか、私はもう知らない。わからないけれど。いつもの優しい彼の様子、振る舞いで私へと気遣いをしてくれる様子は見せてはくれた。
それでも私は、学校帰りに見た薫さんと女性との中慎ましく、和気藹々とした様子の画像、動画がいつまで経っても自身の脳裏、記憶の中に残され、消去。デリーとされないままでいるから。
私は彼を、薫さんのことを憎悪のある目で睨みつけながら。
「私今日薫さんのことを見たんだよ」と甲高く叫ぶように告げれば。
「えっ! 何処で?」と、彼は私の目、瞳から視線を外し、自身の目を泳がせながらヘラヘラと笑い誤魔化すように問いかけ言葉も返してきた。
だから私は彼の笑い誤魔化すような様子、素振りを凝視すれば完全に自身の頭に血が昇ってしまい憤怒──。薫さんへと私は怒りをあらわにした形相で詰め寄るように顔を近づけると。
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