第51話 高校三年生になれば、友人も元彼の事が気になるのかな? (2)
「そうなの?」と、沙紀が訊ねてくるから。
「うん」と私は頷いて、「そうだよ」と言葉を返した。
「へぇ~。あの娘、和也と幼馴染なんだ」
沙紀は私の言葉を聞き言葉を返してきたのだが。やはり沙紀はあの娘、山田の幼馴染の娘が気になると言うか?
どうやら気に入らないようでね。山田や幼馴染の娘。その他の下級生の娘達が和気藹々と会話をしている様子を怪訝な表情で睨むように見詰めながら。
「……でもね、蘭。いくらあの娘が和也と幼馴染だからと言っても。あんなにも腕を組み甘えるような様子、素振りをするのは、私はどうかと思う? それにさ、私。和也にも一言言ってやりたい衝動にも駆られているの」と、沙紀がプンプンと自身の頬を膨らませながら呟いてくるから。
「何が?」と、私は沙紀の山田への不満を聞いて面倒だなぁと思っているから。あの娘に気だるげに言葉を返すと。
「あのね、みんな聞いてくれる? 私ってさ、和也とお付き合いの最中にね。私はあんなにも和也に甘えさせてもらったことなどないんだよ。それなのにさ、和也ったら。幼馴染の娘にはあんなにも優しく……。そう、まるで自分の彼女みたいに振る舞えることができるんだ」と、沙紀は元彼の山田への不満をぶつぶつと私達へと呟いてくるのだ。
だから私は、「でも山田、あの娘の事を実の妹みたいな娘だと言っていたから。あの娘が甘えてきても気にならないだけじゃないの?」と、相変わらず不貞腐れ、拗ねている沙紀へと私は苦笑いを浮かべながら告げれば。
「沙紀、あんたも山田に積極的に甘えれば良かった、じゃん」
「そうそう、翔子の言う通りだよ。沙紀も山田と付き合っている最中に。自分から山田へと積極的に甘えれば良かった、じゃん」と、翔子の冷たい言葉につられるようにサチが苦笑いを浮かべながら告げると。
「だってぇ~」と、沙紀はやはり不満、不貞腐れ、拗ね。納得が出来ない顔、声色で二人へと言葉を返すのだが。
あの娘、沙紀は、未だ山田と幼馴染の娘の事で納得ができていないみたいだから。また自身の口を開き始めだす。
「和也はいつもね。私を無視、置いていくかのように、先に先へと足早で歩いていくんだもん。だから中々和也と肩を並べて歩くことなどできなかったもん」
「そうなんだ?」
「うん」
「へぇ~、山田って彼女に対して黙ってついてこいと言ったタイプの男なんだ?」と。
翔子が沙紀の山田への不満、愚痴を聞けば、彼女につられるようにサチが感心した声色で沙紀へと問いかけ始める。
だから沙紀は「うん」とまた頷き。
「和也って優しいことは優しいけれど。そんな感じだよ。蘭やその他の娘達には気さくに笑いを浮かべながらペラペラ話し、会話をするけれど私と二人の時にはそんなに会話などしなかったよ。二人で公園のベンチや公共交通機関の乗り物、映画館にいって、二人で仲良く肩を並べ座っても。私と距離を開けて座ろうとするの。だから和也の隣の席の山本さんがたまに。和也と机、席をゼロ距離に近いぐらい近づけ。自身の顔を近づけながら話している中慎ましい二人の様子を見るとね。私なんだか切なく、悲しくなることだってあるんだよ。私は和也とお付き合いの最中にあんなこと、場面てってほとんど言って良いほどなかった記憶があるからね」と。
沙紀は、最初は山田に対して憤怒しながら不満と愚痴を漏らしていたのだが。台詞の最後の頃には彼女。俯き加減になり悲しい顔、形相で山田との過去を思い出しながら嘆く。
だから私は沙紀に「そうだったんだ?」と訊ねれば。
「うん」と沙紀は自身の首を縦に振り沈黙……。少し間が開けばまた沙紀は顔を上げて「あっ、そう言えば?」と、何かを思い出したような顔、口調を漏らすから。
「沙紀どうしたの?」と、翔子が小首を傾げながら問えば。
「そう言えば蘭も和也と話しをする時に顔が近いよね? もうそれこそキスをしそうなくらい?」と。
私に沙紀が自身の両目、瞼を大きく開けながら訊ねてくる。
だから私は「そうだっけ?」と首を傾げながら言葉を返せば。
「うん、そうだよ」と、沙紀は頷きながら言葉を返してくる。
う~ん、でも、私自身は山田に対して己の顔を近づけながら話す。会話をする。したのだと言った記憶が全くない。自覚もないから。
「う~ん、私自身は山田に対してそんなに顔を近づけながら話す。会話をした記憶はないのだけれど。もしもしているようならば無意識なのかな?」
私は、最初は呻るよぅに沙紀へと呟き。最後は私自身も自覚がないから笑って誤魔化しながら告げ。
まあ、告げ終えるとさぁ。
「山田その時に、私に対して変な顔。怪訝な表情で私の顔を見ていた?」と、沙紀に何食わぬ顔で問いかければ。
「……ん? う~ん。和也自身も蘭と一緒と言うか? 山本さんと話しをしている時みたいに普通と言うか? 何も気にしていない様子だったと思うけれど?」と。
沙紀も最初は私のように唸り声を漏らしながら思案をし。その後は首を傾げながら説明をしてくれた。
だから私は「ふぅ~ん。そうなんだ」と、これと言った感情も顔に出さずに何食わぬ顔で沙紀へと言葉を返したのだよ。
でも本当の所は、私の心中は穏やかではなくてね。私自身は平素を装っているに過ぎないのだよ。
だって私の顔が、唇が山田の頬や唇に触れそうなぐらい真近くにある時にアイツ。山田の奴が不機嫌極まりない顔。怪訝な顔をしていたらどうしよう? と、私は心の中で思い。実際の所は己の心の臓をドキドキとさせていたのだよ。本当の所はね。
だから沙紀の話しを聞き私は、山田に嫌われていないと分かれば。自身の胸を撫でおろし安堵するのだった。
◇◇◇
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