第52話 高校三年生になれば学校帰りにこんな事もある(1)
「うぅっ、歯痒い。くそったれめがぁっ! マジでムカつく!」と。
その場で地団駄──。お猿さんのように真っ赤な顔で『キッキ』と不満を漏らす俺なのだが。未だ俺の噴火した火山のような怒りは収まりきれてはいないのだ。
そう、今の今まで……。今彼が自身の白いユーノスロードスターを発進──発射オ~ライするまで、沙紀と今彼のチャラチャラ腑抜けた奴が車の運転席、助手席でイチャイチャラブラブと二人の中慎ましく。和気藹藹とした様子を見せられた。見せつけられたシーン……。
俺の元カノ沙紀への不満、愚痴、嘆きの話しの、初めの冒頭シーンへとここで戻ってきたのだが。
俺と山本、由美の目の先で沙紀と今彼はイチャイチャ、ラブラブと二人で仲良く……。まるで元彼の俺に対して意図的に魅せると言うか? 魅せるだけ。魅せたら二人は気が済んだのだろうか?
「薫さん、時間も余りないようだからいこうか?」
「……ん? ああ、そうだな、沙紀。じゃ、帰ろうか」
二人はお互いが、いつでもキス、接吻ができそうなぐらいの顔の位置で微笑みあえば。
〈ボォ~〉
と心地よいマフラー音、じゃなかった。
くそ煩い。へんてこな、気分がめちゃ害し、悪くなるようなマフラー音と排気ガスをお約束のように……。
そう、よくある。ありふれた。恋愛シネマやドラマのワンシーンの彼氏を捨てた女と主人公から女奪った男が。二人仲良く主人公の目の前、先でね。車を走らせ去り行くシーンをあのバカカップルは俺達三人の目の先でリアルにそのシーンを再現してくれたのだ。阿保だからね。
まあ、そう言う訳だから俺もノリノリでね。その場でへたり込み嗚咽……。自身の片腕、手を二人が乗る。白い煙を吐き、漏らしながら騎乗する白馬へと片腕を伸ばし、差し出しながら。
『沙紀~! カムバック! カムバック、沙紀ー!』と叫ぶようなことはしない。
まあ、絶対にする気はないから。
「ガッデム。こんちくしょう。二度と俺の目の前に現れるなぁっ! 次見かけたらその車ぶっ壊してやるからなぁ」と。
俺が相変わらずお猿さんになりながらキッキと地団駄を踏みながら不満を漏らす、吐く。咆哮すればね。
「あっ、はははっ」と、俺の横に立つ山本が苦笑いを浮かべる声が聞こえた。と思えば?
「あっ、はははっ和君は本当に洒落にならないことを言わないでよね」と。
由美の奴も苦笑いを浮かべながら俺へと呟いてくるから。気が荒々しくなり。怒りが高まっている俺さまは、今の由美の言葉を聞き少しばかり不愉快。不満を幼馴染のアイツへと言いやすいこともあり。ついついと俺さまの地を、本性をだしてしまう。
「いや、マジだぞ! 本気だぞ! 由美! 次この辺りであの
俺が憤怒、憤慨しながら鼻息荒く由美へと咆哮すれば。
「ちょっと和君、マジで辞めてよ。三年生の大事な時なのだから。大学の入試とか大変なことになるから」と、由美が自身の顔色を変えながら諫めてくれたのだが。
俺自身は沙紀とアイツの彼氏に侮り。蔑まれ。愚弄をされたから頭に血が昇り。昇ってしまい。中々俺の荒々しい気が収まらない。冷却しきれないでいるから。
「別に関係ないし。別に問題ねぇよ。アイツの彼氏に警察沙汰にするなと脅せばよいだけだから」と、俺が由美の諫めに対してプンプンと不貞腐れながら不満を漏らせばね。
「和君、投げやりした態度で、そんな言葉や台詞を言ったらだめだよ。和君。絵美さんが悲しむから」と、由美の奴は俺の二の腕を両手で掴み、引っ張りながら悲しい顔、声色でね。俺へと諫めてきたのだが。
俺はアイツ、地元、中学生の頃に付き合っていた彼女、絵美の名前を由美にだされて顔色と声色が変化──。
俺の目も冷淡な目へと変化しながら。
「由美、なんで、ここでアイツ、絵美の名前をだすんだ? 俺とアイツは遠の昔に別れているから」と、重々しい口調、声色で由美へとついつい告げてしまえば。
アイツ、由美の奴は、自身の顔色を変えるだけじゃない。今にも泣きそうな顔で、「ご、ごめんね。和君……。頼むから由美のことを怒らないでよ」と、怯えながら俺へと懺悔してくるから。
「山田君ちょっと」と、山本に二の腕を引っ張られて俺は「あっ!」と声を漏らし、我に返ると。
「由美、ごめんな。兄ちゃんが悪かったよ。本当にごめん……。ついつい由美は俺の妹みたいなものだから地がでてしまったよ。本当にごめん」と、俺は由美に対して深々と頭を何度も下げ、「すまん」、「申し訳ない」、「由美、兄ちゃんのことを許してくれ」、「俺のことを許して欲しい」と告げながら詫び。謝罪を繰り返す。
「うん、良いよ。和君許してあげる」
俺に過去の少女のことで叱られ俯き、今にも泣きだしそうな顔していた由美なのだが。俺が何度も頭をさげ謝罪をしたら何とか御機嫌が直り許してくれたから。
俺は自身の胸をなでおろし。再度口を開け。
「由美が、機嫌が直ったからよかったよ」と、俺は本気で安堵しながら呟けば。
由美は、「えっ、へへっ」と、微笑んでくれた。
だから俺は更にホッとしながら安堵──。由美の頭を優しく撫でてやれば。
俺達二人の様子を見ていた山本が口を開き。この場の雰囲気を変えるように言葉を漏らしてきたのだよ。
それはこんな感じでね。
「そう言えばもう直ぐフラワーフェスティバルがあるけれど。山田君は誰かと出かけるの?」と、可愛く小首を傾げながら。広島の春のゴールデンウイークを彩る。平和通りでおこなわれる超イベントであるフラワーフェスティバルにいかないのか? と、俺へと問うてきたから。
「う~ん、去年は沙紀とでかけたけれど。今年は一緒にいく相手がいないから一人寂しく家で受験勉強かな」と、俺は苦笑いをうかべながら山本へと言葉を返すのだった。
◇◇◇
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