第50話 高校三年生になれば、友人も元彼の事が気になるのかな? (1)

「何あれ?」と、いつもの恒例事項、行為である彼氏との電話を終えた沙紀は、大変不機嫌極まりない顔と様子で何処か、誰かを遠目で見詰めるじゃないは、よね。


「(あっ、はははっ)」


 そう、何処かの誰かさん、の事を睨み付けるように、自身の目を細めながら遠目で見ているようだけれど。


 そんなあの娘、沙紀の言葉に反応するかのように。


「……ん? 沙紀何が?」


「沙紀何のことを言っているの?」


 今迄私を含めた三人で会話、雑談を弾ませていたサチと翔子の二人が小首を傾げながら沙紀へと問えば。


「和也のこと……。そして様子……」と、不満ありありなぁ顔、声色で、自身の首を振り。山田達がいる位置──。下級生達の娘と和気藹藹と楽しそうに立ち話をしている位置を指すようなジェスチャーをしながら沙紀が呻るよぅに呟くから。


 私やサチ、翔子の三人は、沙紀が自身の頭と目で指す位置へと視線を変え──山田の姿を確認する。


 でっ、当の私はと言うと山田と下級生の娘達の和気藹藹とした様子を凝視しながら「はぁ~」と、大きな溜息を漏らし終えると。


「沙紀が山田の事を見るからだよ。山田の事はあんたも別れたのだから放っておいたらいいじゃない。沙紀はもう山田の彼女ではない訳だしね。それに沙紀、あんたは今の彼氏とラブラブで仲が良いのだから山田の事等気にする必要性はないんじゃない?」と。


 下級生の娘達と嬉しそうに話し、会話をする……だけじゃないみたいだね。山田はどうやら?


 だって下級生の娘達が複数教室へと山田を訊ねてきているみたいだけれど。


 アイツ、山田の奴はね。一人の娘が。


「あ、あの、山田先輩これ食べてください」と。


 山田に何かしら食べ物……。多分お菓子かな? と、思われる物がアイツへと手渡されると。


「山田先輩、私のも食べてくださいお願いします」

「あっ、私の焼いたクッキーも山田先輩お願いします」

「山田先輩、昨日学校から帰宅をして一生懸命、真心込めて焼いたクッキーなんです。だからお願い。受け取ってください」と。


 山田の事を訪ねてきた下級生の娘達が次から次へと山田へと手焼き、手作りクッキーやケーキを手渡し。


 その都度山田の奴がイケメン微笑みを下級生の娘達へと、自身の歯をキラリと輝かせ、微笑みながら。


「ありがとうね。快くいただくよ。本当にごめんね」と、頭を下げる姿を私の目と瞳に映すから。


 私は頭にくる。気が荒々しくなる。不快感を募らせるようになるから余所見をして素知らぬ振りを決め込んでいるのに沙紀の奴は、もう山田の彼女でもない上に好きな人。年上の彼氏。それも休憩時間の度に電話。L○NEでのメールの方も授業時間お構いなしに飛んでくる程仲の良い彼氏がいるにも関わらず。山田が登校をした次の日から我が校で起きている。


 モテ期に入ったイケメン男の山田への同級生、下級生の娘達からの手作りお弁当やお菓子の差し入れを沙紀は最初の三日ぐらいは余り気にした様子を見せずに素知らぬ振りを装っていたけれど。


 流石にもう十日以上、もう直ぐ五月、春の大型連休が近くなる程続けば、明らかに沙紀は元彼に対して不満を募らせた顔、怪訝な表情、睨むように、自分とのお付き合いの最中には魅せる事もなかったらしい。あの山田のを睨みつけ。呻りながらぁ不満を咆哮、吠える事が増えてきた。


 それにさ、沙紀の奴は致し方がない奴だからつい最近はこんな感じなのだ。


「沙紀もう彼氏との電話は良いの?」と、私が問えば。


「えっ! もう良いよ。あのひととはたいした話し。会話。用事がある訳じゃないしね。それよりも和也よ。和也! 私と付き合っている最中に。あんなにも優しく彼女だった私に微笑んでくれたことなどなかったのに。あの娘達には和也の奴は……」と。


 今彼との電話を早々に切り。元彼と下級生の娘達との和気藹藹と会話をしている様子を、不機嫌極まりない様子で不満を漏らしながら。沙紀は山田の事を苦々しく睨み悪態をつくのを私達は見詰め窺う日々が、ここつい最近の一日のルーティンのような気がする。


 だって沙紀は山田が、女の子達と和気藹藹。仲良く話しをする様子を自身の瞳に映すと、彼女は目を細めジ~ッと見詰め始めるから。


「沙紀~、彼氏から電話が鳴っているよ」

「……ん? ああ、後でかけるから良いよ」とか。


「沙紀~。今度はL○NEが、L○NEが鳴いているよ~」と、誰かからお知らせ。注意を受けても。


「あのひとには後で送るから良いよ。それよりもあの娘何? いつも、いつも私と目があう度に薄ら笑いを浮かべながら見てくるのだけれど。あの娘、和也とは一体どう言った関係なの?」と。


 沙紀が呻りながらぁ私やサチ、翔子へと訊ねてくるから。


「どれ?」

「どの娘?」と、サチと翔子が山田の方へと視線を変え、小首を傾げながら訊ねれば。


「あの娘よ。あの娘。一番、最後に和也の許へときて二の腕に抱きつき甘えている娘よ」と。


 沙紀が不満、だけじゃなく。山田の今カノでもないのに怒りをあらわにしながら不満を漏らすものだから。


「はぁ~」と、私は大きな溜息を漏らしながら山田が他の娘達と仲良く話し。会話をしている様子を見たくはないのにさ、沙紀がどうしてものことを見てくれと煩いから見て確認をすれば。


 まあ、私の予想通りの娘だったから。


「あれは山田の家の近所に住む幼馴染の娘だよ。今年から家の高校へ通うらしいよ」と。


 私が沙紀へと気だるげに呟けば。


(お願い)


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