第40話 数日ぶりの登校、教室は……(1)

「すいません」、


「ごめんなさい」、


「お許しください」、


 でッ、最後には、「この哀れな子羊に愛の手を……」、


「恵みをください……」、


「お願いします」と、俺はごく当たり前な台詞……。LOVE&コメディーのテンプレ通りの台詞を久し振りの登校……。


 そう、みんなも知っての通りで、心の傷の為に? ずる休みをしていた俺は三日ぶりに登校……。校舎から教室に着くなり、この通りで土下座……。


 それも新しい教室の新メンバー、クラスの者達がいる中……。教室内の騒めき、喧騒が収まるような言葉を蘭と加奈に告げた。


 だから俺の二人へと告げた言葉にクラスの者達……。直人、山下、大島他、俺の仲の良い男子メンバー達や、その他の者達……。


 そして俺に復縁を迫ってくる沙紀や、あいつや蘭と仲の良い井上、澤田……。俺の親衛隊のメンバー達数人と、その他の女子達が唖然! 呆然とする台詞を二人──。蘭と加奈を俺の許へと『二人に話しがある』と呼び。俺の前まで二人が首を傾げながら近寄れば。俺は二人の前で、速攻で土下座──詫びを入れつつ、ある事を説明し、告げたものだから。俺のクラス内はこんなに静まり返ってしまった。


 でッ、その内容と言うのがね?


「元々彼女だった奴が昨日、俺の家に来て、沙紀と別れたのならば、もう戻ってこい。浮気の件は許してやるからと言われて……」と。


 俺は土下座をしつつ俯き加減……。


 そう、土下座をしている俺のことを覗き込むように見詰める二人……。蘭と加奈の顔が、俺自身真面に見ることができない。


 だから俺は下を向いたまま、蘭と加奈に『すまん!』と最初に謝罪をして、昨日絵美がきたことを簡易的に説明したのだが。


「はぁ~! 何、それ?」と、蘭が俺の説明を聞き、呻れば。


「和也、殺す! そして剝製にしてやる!」と、加奈が大変に恐ろしいこと、猟奇殺害的なことを言いだすから。


 俺は「えぇ、えええっ!」と驚愕した。


「えぇ~、じゃないでしょう、和也? いきなり変なこと。いい加減な事を言わないでよね」と。


 俺は腕を組み、仁王立ちをしながら見下ろしてくる蘭から言葉の後に足踏み──。俺の後頭部をグイ! グイ! と踏まれ。俺は床を舐めるようになってしまうから。


『蘭! お前! いい加減にしろ!』とは、クソ男の俺から、あいつに向けて罵声を吐くことなどできないから。


「ごめん……。俺が悪い……。全部悪いから……」と、また蘭へと謝罪した。


 まあ、したのだけれど。


「誤ったぐらいで許せるか、和也~。ちゃんと責任をとれ~。とらないと。毎夜化けて出てやるぞ~!]


 加奈の奴が生霊なのか? 他界をするつもりなのかはわからないけれど。裏切り者のクソ男! 駄目男の俺の枕元に立つのだと、加奈の奴は鼻息荒く、土下座している俺の背に馬乗りして、ハイヨ~! ハイヨ~! シルバ~! と叫びそうな勢いで、背を揺らしながら不満を漏らしてきた。


 だから俺は加奈に、「加奈?」と声をかけ。


「お前、つい最近、俺の枕元に化けて出たと言うことはないよな?」


 俺は後ろを振り向き、にへらと笑いながら加奈へと尋ねると。


「未だ和也の許には化けてでていない!」、


「でも私を捨てるのならば化けて出てやるか、和也を殺して私も死ぬか? 和也の大事なところを包丁で切り落としてやる!」と。


 俺自身、何処かで聞いたことのなる事件の猟奇的なことをまた平然と告げてくるから。


「加奈……」と、俺が呆れた声音で呟けば。


 ガブリ! と、加奈に噛まれた。


 だから俺は、クラス中の皆が注目する中で、「うぎゃ、あああっ!」、「ぎゃぁあああっ!」、「痛い! 痛いよ~! マジで痛い~!」と、自身の背に加奈を背負ったまま、教室の床を海老のようにのたうち回るけれど。


 クソ男の俺のことを庇う者等、誰もいない。まあ、いないからね。俺は更に「うぎゃ、あああっ!」、「ぎゃぁ、あああっ!」と加奈に、ペェ~ロ! ペロペロ! と生き血を舐め舐め、吸われながら絶叫を吐いていれば。


「……でッ、和也? 元カノ……。じゃなかった。元々カノジョだった娘は、あんたに、何て言っているの?」と。


「どうせ、その娘達は、うち等三人の関係は、和也から聞いているのでしょう?」


 蘭が一応は、プンプンと不満を態度に出しつつ尋ねてきた。


 だから俺は、「えっ!」と驚嘆を漏らし。馬乗りの加奈……。とうとう俺の背でお尻を叩きながら。


「はいよ! はいよ! シルバ~!」と、クラスの連中が、俺達のことを注目する中で、やり始め出したのだ。


 そう、まるで沙紀の奴に、自分達の仲を魅せつけるように、加奈は俺のお尻をポンポンと叩くのだが。


 そんな加奈の様子を俺と蘭は無視……。加奈の好きなようにさせながら俺は蘭に「うん」と頷き、絵美と由美の要望を伝え始めるために、自身の口を開く。沙紀の奴がこちらを嫉妬、憎悪を含んだ目で睨みつけているとも知らずにね。



 ◇◇◇

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