第37話 あの日の夜! (2)

 だから俺は、自身の頭に血が昇り! 火山が大爆発したかのように憤怒だよ!


(はぁあああっ! 沙紀~! うそをつくなよ。うそを~! お前今日ぉおおおっ! 太田や井上、沢田に健ちゃんとか言う名前のクソ阿保との関係~! キスとかしたのか? と問われて『うん』と頷いたのを~! 俺が聞いていないとでも思っているのかぁあああっ!? 沙紀~! お前は声がデカイのに~!)と。


 俺はスマートフォン越しから沙紀へと更に怒声を吐けば。


(沙紀~! 二度と俺のスマホに電話をしてくるなぁあああっ! このクソビッチ! セフレ女がぁあああっ!)とラスト叫べば。


 プチンだ!


 俺は慌てて通話を切り──L〇NEも電話も着信拒否……。


「あのクソが、俺に何もくれなかった癖に。他の男には、一番大事な物をやりやがって……」、


「沙紀……。アイツも、あの女と一緒だ……」と、俺は独り言を呟けば。


 アイツもこれからは、誰にでも安易に身体を許すような女になっていくのだろうな……。


 俺は、そんなことを考えると。沙紀のがことが憎くて悔しい反面……。何だか俺の心の中は、切なくて悲しいよ。


 だから俺は、当分の間は他人と話しをしたくはないと思いつつ、自身のベッド──布団を被りながら不貞腐れていると。


「和也~!」、


「和也~! 和也~~!?」と。


 二階の部屋からでなく、下の階──。階段の下から俺のことを叫ぶように呼ぶ声が聞こえてくるから。


 (もう、くそ、うざいな。マジで信じられん)と、俺は思いつつ。


「なぁ~に、お袋~?」と叫びつつ尋ねれば。


「沙紀ちゃんからぁ~。珍しく~。家の電話に、電話ぁ~。和也~、沙紀ちゃんがぁ~。あんたに~。電話を代わって欲しいと言っているからぁ~。早く電話に出なさい~。和也~」と、家のお袋……。


 そう、沙紀の奴は、俺がアイツのことを着信拒否にしたから。俺のスマートフォンにかけても連絡──。会話……。


 沙紀の奴が俺に対して言い訳ができないからと、下の部屋にある一般電話へと直接かけてきたようだけれど。


 俺は二度とアイツ! 沙紀の奴と話しをする気がないから。


「お袋悪い~。沙紀の奴には~。俺はもう寝たぁ~と、伝えてくれるかな?」


 まあ、俺はお袋に、沙紀との電話に出たくはないのだと。遠回しに告げるのだけれど。


 家のお袋さまは、俺の意図をあっさりと読んで、わかってくれたから。


「じゃ、和也~。あんたの口からぁ~。沙紀ちゃんに言いなさいよ~。もう別れたいから電話をかけないでくれと……」、


「母さんさ、和也~、あんたが中学生の時に、お付き合いをしていた年上の彼女の~。志乃ちゃんの時にも苦労したのだからぁ~。今回は嫌だからねぇ~。自分で何とかしなさいよ~。和也~」と。


 家のお袋さまは、階段の下から俺に対して、声を大にして叫びつつ、自分のことは。自分でするようにと諫めてくるのだが。


「母さん~、頼むよ~」、


「沙紀に俺はもう寝たと告げて~。今後沙紀から電話が鳴ってもとらないでよ~。お願いだから~」と、声を大にして叫ぶから。


 多分、俺の声──台詞は、沙紀の奴に全部聞こえているとは思うけれど。


 俺としては、その方が好都合なので、ワザと大きな声──。電話の向こう側にいる沙紀へと聞こえるように叫んで。


 その後は慌てて自身のベッドの布団の中に潜り込んで、自身の身体だけではなく、頭も覆い隠し。


(アイツ! 沙紀の奴はバカじゃねぇのか? ほんまに切れちょぉるけぇ)と思えば。


「沙紀ちゃん、ごめんねぇ。和也はもう寝たみたい……」


 家のお袋が沙紀へと笑い誤魔化しながら告げ。


 プッチン! と電話を切る音も、俺の耳へと聞こえたから。


 俺は安堵……。自身の胸を撫で降ろした。


 だからあの日の夜の俺は、これでやっと誰に邪魔をされる訳でもなく。受験勉強ができるはと思いつつ、ベッドから降りて、自身の机へと向かい。


「よいしょっと」と、俺は声を漏らしつつ、学習机の椅子に座り、棚から大学受験の問題集とりだせば。


「問題でもやるか」と独り言を呟きながら、ページを開けば。


 トン! トン! と、俺の部屋の扉を叩く音がするから。


 俺は(ん? 何だ? 誰だ?)と思えば。


「お兄ちゃん」と妹の声がするから。


「ん? どうした?」


 俺が妹の美智子へと言葉を返せば。


「沙紀さんから電話……。それも電話の向こうで沙紀さんが泣いている」と告げてくるから。


「えぇ~!」と俺は大変に迷惑そうな声音──。


 そう、スマートフォンの向こう側で、『本当にアイツは泣いているのか?』と、俺が悪態をつきたくなる相手──。沙紀の奴の耳へと聞こえるぐらい大きな声で迷惑! 嫌がりを見せる悪態をつけば!


「うわぁ~、ん。うわぁ~、ん。和也~。ごめんなさい許して~。おねがいだから~」と。


 この俺様──! 一度は自分がいらないと言った男にさ。沙紀の奴は、やっぱり阿保だから。急にモテ期が訪れた俺のことを手放す。女性他人やるのが欲しくなり。俺に泣きながら? 許しを乞うてくるのだが。


 今日の朝……と、言うか?


 これは俺の過去の思い出、シーンと言う奴だから、あの日の夜と説明をしていくけれど。


 俺はあの日の朝──。始業式の朝に、沙紀にさんざん悪態をつかれて、俺自身も泣いたから許す訳もないのと。


 俺は妹のスマートフォンの向こう側で、メソメソ、本当に鳴いているのか? 解らない奴から。いつからかわからないけれど二股をかけられた上にキスやS〇Xの御預けも食らっていたのに。


 アイツ! 沙紀の奴は、あの大学生の家庭教師に、俺にくれなかった物を全部やりやがったんだ。


 そんなビッチなアイツのことを俺は許す気はないし、寄りも戻す気はないのだ。


 だって浮気をする女……。


 そう、浮気癖のある女は大人……。


 そう、芸能人を見ればわかる通りで、おばちゃんになっても平然と旦那を裏切り浮気をして回るからなと。


 俺自身もこの若さで、女の浮気癖に悩まされて、二回までは我慢したが、三回目に別れたことがあるから。


 沙紀もあの時に説明をした通りで、俺が中坊の時に付き合っていた年上女と一切変わらねぇ。


 それに俺には大人になってから! 医者になってからの夢があってね! 俺医者になったら海外の良くあるじゃない? アフリカの諸国等、医者が足りないところにいって、救助活動等をしたいのだ。


 だから俺は一人で日本に置いていても大丈夫な奴でないとないと付き合う気もないし、結婚をする気もない。


 本当はさ、信用できる彼女がいたはず……。


 そう、俺自身過去形になるけれど。俺の幼馴染で、ヤンキーしていた俺を普通の生徒──。


 そう、がり勉になるように導いてくれたあいつも、高校が違えば音信不通……。


 あいつ女子高だけれど彼女ができたんじゃないのかな?


 でッ、あいつと入れ替わり俺の彼女になったのが沙紀でね、アイツ中坊の時も、うそのように彼氏もいなかったらしい。俺としか、異性とお付き合いをしたことがないから。


 俺は沙紀ならば大丈夫だと思えばこのざま、だろう。


 だから俺は、あの日の夜に、愚痴や嘆きばかりを思い、脳内で呟きつつ。


『沙紀~! お前、いい加減にしろよ! 他人の物になったお古を誰がいるかぁ~! 俺にもプライドがあるんだよ~!』と。


 俺が呻り、吠えようとしたら。




「(私、本当に何もしていないよ。あの人とは……。ただあの時は、翔子と幸に見栄を張りたいのと。和也に私のことを諦めさせるための大見えとうそをついただけだよ。本当だから信じて和也……。そして許してよ、和也……。蘭や山本さん、篠田達の許へといかないで、私の元へと帰ってきてお願いだから。和也、頼むから……)」と。


 まあ、沙紀の声だけ聴けば、本当に泣いているように聞こえてはくるけれど。アイツの正面や真横で、俺も実際見ている訳ではないから。


 沙紀が本当に泣いているのか、までは、俺自身もわからないのだが。


 仮にアイツ! 沙紀の奴が本当に泣いているとしても、あの時の俺はアイツのことを許す気など、サラサラないから。


「沙紀~! いくらお前が泣き、喚き、俺に何ど許しを乞うてきても。俺のお前への怒りは、一切収まらない。だから俺は絶対に、お前のことは許す気はないから。今の彼氏と仲良くしろ!」と。


「それ今の俺は、お前のことを考えるだけの余裕もない。山本や大田から付き合ってくれと嘆願もされているし。篠田達は、俺が彼女をつくるのを断固拒否! 許さない! とまでL〇NEで言っているから無理だ!」


 でッ、最後に俺は沙紀へと。


「神宮寺あばよ~。今の彼氏と仲良く、乳くりあって~。責任をとってもらえ~。あばよ~。アデオス~」と告げれば。


 プチンだ!


 そして美智子へとスマートフォンを返せば。


「美智子わるかったな」、


「沙紀のことで迷惑かけた」と謝罪をした。


「和兄、沙紀さんと別れたんだ?」


 美智子が、俺から手渡された、自身のスマートフォンを受け取りつつ、にへらと笑いながら尋ねてくるから。


 俺は「うん」と頷いた。


「和兄が、沙紀さんに優しくないから。他の人に盗られるんだよ」と。


 美智子は沙紀と同じ異性で、アイツと仲がいいから。沙紀のことを庇う台詞を俺に告げ、諫めてきたから。


「まあ、俺がアイツを放置したのもいけないのかも知れないけれど。俺も沙紀の奴も大学受験があるのだから。アイツの親の言う通りで、お互いが足の引っ張り合いをする訳にはいかないだろう。お互い両親に塾や家庭教師と、学費以外の余計な出費負担をさせている訳だから……」


 俺に沙紀の件で、説教をしてきた美智子へと。俺は悪態をつけば。


「ほら、お前も早く、自身の部屋へと戻れ。受験生なのだから」と告げ。


 俺は美智子の背を押し、自身の部屋から追い出した。



 ◇◇◇


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