第31話 親衛隊? (1)

「ちょっと、お前何をやっていん、だ!」と。


 俺が驚愕しつつ、自身の頬を押さえながら。


 そう、俺の頬にまだ微かに残る、篠田の柔らかい唇の感触を味わったと言えば。


 みなは俺のことを少し変な奴だと思うかも知れないけれど?


 だって仕方がないじゃないか!


 俺は思春期真っ最中と言うか?


 高校生三年生だから、俺自身もそろそろ思春期って終わりなのかな?


 だって大学生になって思春期の少年って言わないよな? と。


 まあ、くだらないことを思いつつ俺は過去の出来事……。


 あのクソビッチ!


 俺に自分から喧嘩を売ってきて、イモを引いた!


 あの大学生の家庭教師とイチャイチャラブラブして、俺に当てつけのように魅せてきた、沙紀の阿保……。


 絶対に許さねぇ、アイツにフラれた日の話しなのだが。


 俺の口から先ほど少しばかり説明をしたとは思うけれど。


 俺の学校には、女子生徒達が推す、イケメン学生……。


 そう、二高の四天王と呼ばれている男子が四人いてね、俺自身も沙紀の尻に敷かれていた状態だから。


 自分自身も四天王の一人! 一角だったことをすっかり忘れていた。


 また俺が忘れていると言うことは?


 俺を公衆の面前──。


 それも早朝……。


 クラス分けの表を見て──!


 みなが歓喜! 落胆!


「やったぁあああっ!」


「あああ」と声を漏らしている最中に。


 俺に対して悪態をついたものだから、この通りで。


 俺の親衛隊のリーダー? 隊長?


 まあ、俺自身もよくわからないけれど。


 去年まで、俺と二年続けて、同じクラスで、何故か俺に愛想の良かった篠田が!


 俺が沙紀にフラれたと聞きつけ、新しいクラスへと殴り込み!


 いきなり沙紀の奴と口喧嘩を始め!


 周りに止められて、俺の許へと嬉しそうにくれば。


 親衛隊のメンバー達とじゃんけんを始め。


 まあ、ラブコメでよくあるパターンって奴?


 篠田! リーダー様が!


 本当に勝利して!


 俺の頬にブチュ! と、お注射──! ブチュではなく!


 俺の頬に本当にしたからこの通りだ!


 俺にしては二年ぶりぐらい?


 いや、もう少し前かな?


 異性の柔らかい唇の感触を、自身の頬で味わい堪能をしてしまったから。


 俺は最初唖然、呆然……。


 俺もさ、高校に入学してからは、沙紀に拒否を食らってからはしてはいない行為だけれど。


 中坊の頃は、自身の彼女……。


 付き合い始めてばかりの、彼女の唇をいきなり奪っては、相手を唖然! 呆然! とさせ。


 彼女の目が点となっている様子を見ては。


 ケラケラと笑う、悪態振りを魅せてはいたけれど。


 自分が逆……。


 そう、いきなりされると。


 俺自身の頭の中は真っ白……。


 まさに鳩が豆鉄砲を食ったような顔へと変化していると。


「篠田がぁあああっ! 山田にキスしたぁあああっ!」と。


 俺の前の席の山下が声を大にして叫びつつ、クラスのみなへと告げると。


「「「「「嘘~?」」」」」


「「「「「ほんと~?」」」」」


「「「「「ほんまに~?」」」」」


「「「「「やだぁ~!」」」」」


 と、最後には男女のケラケラ笑う声が、俺の新しい教室内へと響くと。


 ドン! と。


 自身の机を叩く大きな音が、教室内へと響くと。


 みんな『シーン!』だ。


 家のクラス内が「…………」と沈黙を始めて。


「篠田さん! 貴女! 何をしているの!」


 俺の真横の席の山本が篠田へと怒声を吐くから。


 今までシーン! と静まり返っていた教室ないが。


 またワッ! と、騒めき始めだすのだった。



 ◇◇◇



「えぇ~、何? もしかして山本? うちに怒っている訳?」と。


 自身の机を叩き、猛然と抗議をアピールした山本へと。


 篠田が薄笑いを浮かべ……。


 そう、あの時の篠田は勝ち誇った顔! ドヤ顔! と、言う奴を山本ンにしていたと思う?


 だって篠田の奴は、親衛隊のリーダー様らしく、俺に久しぶりの、柔らかい感触……。


 学校の売店で売っているプリンや豆腐って……。


 学園の売店では販売をしていないからコンビニだ! コンビニ……。


 コンビニエンスストアで販売しているプリンや豆腐とは違う柔らかい感触……。


 そう、この世の物とは思えないような、あの独特な柔らかさを。


 元カノからとうとう最後までキスをさせてもらえなかった。


 俺も笑えば、歯が命のイケメン顔だけれど。


 沙紀の奴は、最後まで拒否を貫き通し、自身のファーストキスを、あの大学生の家庭教師へとやりやがって!


 俺は絶対に許さねぇ! と。


 沙紀と、あのビビリの大学生が、自身の車──。


 ユーノスロードスターの運転席と助手席で、イチャ、イチャ、ラブラブしているのを見た後で、自身の心に強く、誓うと説明をしたところで。


 俺の愚痴話を元に戻すけれど。


 まあ、あいつ! 篠田の奴のファーストキスか、どうだかは、俺もわからないけれど。


 久し振りのキス──!


 篠田の柔らかい唇の感触を思い出しつつ、俺が自身の顔を緩めていると。


「篠田さんは何で? 山田君の意志とは関係なしに、そんな事をする訳?」と。


 山本は篠田に罵声を吐いた。


 まあ、吐いたのだが。


 その日の勝利者一番手……。


 本当は大衆の面前……。


 そう、俺達、新三年生が注目する中で。


 元彼の俺へと悪態をついて──!


 その日の午後、夕焼けこやけの音楽、サイレンと共に、この俺さまをフリ! 学園一の注目株──!


 ザ! 二高一の高値の花! ヒロインに君臨する予定──。


 次の日から、校内を威風堂々! 形の良いオ〇パイで、胸を張り、歩く、大奥の女性ひとになる予定の沙紀が、篠田達……。


 そう、俺の親衛隊……。


 以前から沙紀とは犬猿の仲に当たる、篠田の出現──。


 あいつの俺へのキス攻撃に寄って掠れ。


 山本のこの憤怒で更に掠れ、過去の物となりつつある。


 だって山本に不満を言われた篠田は。


 山本のチイパイよりも大きなオ〇パイ!


 そう! 大田の姉御よりも少しばかり小さいオ〇パイで、山本へと胸を張って魅せつつ。


「山田が喜んでいるのだから、別にいいじゃかぁ?」と、威張って告げると。


「山田も喜んでいたわよね?」と。


 俺に尋ねてきた。


 だから俺も急遽──。


 沙紀のことで落ち込むどころではなくなった記憶があるよ?


 だって篠田が凄い顔! 鬼! 般若面のように、俺のことを睨みつつ、同意を求めてきたから。


 あいつ! 篠田に、キスを丁寧! 優しく! 『チュ!』としていただいた。


 ラブコメの主人公と化している俺としては、篠田に対して、『嫌です!』、『困ります!』、『勝手にそんなこと……。不純異性交遊はしてはいけません!』と。


『篠田お前! 生徒手帳にも校則として記載されていないか?』と告げ、尋ねることなどできない。


 だから俺は篠田に「い、いや。だ、大丈夫だ!」と告げたと思うから。


「そうだろう、そうだろう。山田はうちにキスされて嬉しかっただろう」と。


 篠田大明神さま?


 篠田天照さまは、上御機嫌さまになったと思う?


 でもさ、山本加奈さまは、本当に恐ろしいJK少女ひとだからね。


 凄い形相……。


 そう、まるで鬼娘、鬼婆?


 いや、嫉妬に狂った清姫さまかな?


 俺はさ、山本……。


 いや、加奈の恐ろしい形相を見て、自身は畏怖……。


 加奈に震え、慄きながら。


「な、何で、山本さんは? 僕のことを、そんな顔をして睨むのかな?」、


「わっ、ははは」と。


 俺は加奈に対して、冷や汗をかきつつ笑い誤魔化した記憶がある。


(ここまで)


 まあ、あるけれど。


 ユーノスロード事件とでも呼ぼうか?


 沙紀の今彼、大学生の柔な頬へとチョン! あら、嫌だ~、うっ、ふふふ! と妖艶に笑って魅せましょうか? と、思っていた俺の頬をバチン! とビンタして止めてみせた──。


 まあ、山本加奈さまだから、俺の顔をジロリ! と睨み。


『後で覚えていろよ! 山田~! その頬! 包丁か、カッターナイフで後で削ぎ落してやるからなぁ~! 覚悟していろよ~!』とでも、言わんばかりな、冷たい目で俺のことを睨みつつ。


「私が山田君の事が好き! それも一年生の頃から好き……。山田君と真宮寺さんとが別れるのをずぅっと待っていたの。だから篠田さんが、山田君の頬へとキスをするのを見て、私が怒るのは当たり前!」、


「……でしょう、山田君?」と。


 山田加奈さまは、俺への愛の告白をしてきた。


 だから沙紀が俺の側にいるのではなくて、加奈が俺の側にいて、頬を叩き。


 俺を我に返し、戻してくれたと言う訳だから。


 そんな加奈が、このまま俺のことを見逃すと言う訳がないのと。


 このまま、篠田の独り勝ちを加奈もさせる気は、サラサラないから。


「山田君!」と。


 俺に声をかけてきたから。


「ん?」と、加奈に言葉を返せば。


「うん!」、


「んッ!」、


(な、何だ、この状態は?)と、俺が自身の脳裏で呟けば。


「「「「「あぁ、あああっ!」」」」」


「「「「「えぇ、えええっ!」」」」」


「うッ! な、何してんの~! 山本わぁあああっ!」と。


 篠田率いる親衛隊の絶叫と共に。


 篠田の絶叫を交えた加奈への問いかけが終われば。


「「「「「嘘~!」」」」」


「「「「「本当に~!」」」」」


「「「「「信じられねぇ~!」」」」」


「「「「「信じられないよ~!」」」」」


 と、俺の新しいクラスメイト達の絶叫! 問いかけが飛び交うくらいの行動をね。


 山本加奈さまは、篠田率いる親衛隊の、目の前でしてみせた。


 そう、俺に『愛 LOVE ゆぅ~!』と、加奈が告げたかどうだか忘れたけれど。


 山本加奈さまは、自身の羞恥心を完全に破棄、捨てして──。


 みなの前で接吻! チュ~! と、言う奴……。


 それも大人の濃厚の物をしたから、俺の親衛隊の隊長さんらしい篠田は「きゃぁ~!」と可愛く絶叫を上げ──!


 俺と加奈の柔らかい唇を強引に外すのだが。


 加奈の奴は、『ごちそうさま!』とでも言わんばかりの、満足顔でね、自身の顔色を青ざめている篠田の顔をチラリ! と見て、ニタリ! と、自分の口の端を吊り上げ、妖艶に笑うものだから。


 先ほどまで加奈に勝ち誇っていた顔をしていた篠田なのだが、今度はあいつ泣きそうな顔を始めだすのだ。


 だから俺は『あっ! 篠田?』と声をかけようとしたら。


 俺の口から「あっ!」で、「うごっ、うぐっ」、「レ○、レ〇」だよ。


 そう、今度は、篠田の奴は、恥じらいある、乙女の、威勢の……。


 愛する彼への、可愛いチュ! 君とチュ! 愛しているわ、チュ! と、言う奴ではなく。


 山本加奈さま……。


 俺のファンクラブ、会員№~! 何番だか、俺は知らないけれど?


 俺のファンクラブ、会員№1! 一番さまがね、加奈と一緒で、自身の羞恥心を捨て──!


 他人! 他所さまの前で、平然と!


 俺と濃厚なキス……。


 まあ、大人の接吻と言う奴をやってくださったのだ。


 だから俺は驚愕──!


(えっ!)、(えっ!)と、俺が動揺している間に。


 俺は篠田のファーストキスと言う奴を頂いたから。


 俺も驚愕して声がでないけれど。


 加奈の奴やクラスメイト達も、篠田の加奈に『負けてたまるものですか!』の接吻……。


 大変に濃厚で、俺も美味しくいただきました! のチュに対して、開いた口かが塞がらない状態へと陥るのだが。


 篠田率いる、俺の親衛隊達の思い切った行動──!


 もう完全に恥じらいの無い行動は、これで終焉を迎える訳でも無く。


 篠田が終われば。


「はい! タッチ!」と。


 篠田が呟くから。


 俺は(? ?)となるのだが。


 俺が困惑する時間は余り長くは無く。


 次の親衛隊の隊員達が、次から次へと俺にファーストキスを捧げ忠誠を誓ってくれた?


 だから俺は硬直し、接吻マシンと化す!


 もう、まさに、アニメやマンガ、ライトノベルの主人公さまになった気分で直立、不動──。


 俺は自身の身体に電気がビリビリと流れる気分を始めて味わいつつキス! 接吻! と言う奴を続けた。


 まあ、そんな訳だから、俺の横にいる加奈の奴が。


「いやぁ~!」と絶叫を可愛く放つものだから。


 ド~ン! と、また机を叩く音が教室内で響くものだから。


 キスマシーン! と化している俺を見て、ワッ! と騒めいていたクラスメイト達が。


 シーンだ!


「…………」と沈黙をする中で。


「ちょっと! あんた達~!」と。


 蘭が憤怒──!


 そして何故か、沙紀の奴まで。


「篠田~! あんた達~! 何を考えているの~!?」と。


『沙紀、お前の方こそ、何を切れ、激怒しているのだ?』と。


 俺が、だけじゃない。


 クラスメイト達みなが思う罵声を沙紀が吐くものだから。


「沙紀、あんた~、何を考え、叫んでいるの?」


「いい加減にしないと!」と。


 井上と澤田に叱られた上に、アイツはクラスメイト達からも、白い目で見ら、顰蹙を買うような事件が起こり。


 その後は蘭が、加奈と篠田達親衛隊に負けるものかと。


 俺がしたいのならば、させてあげると、耳元で囁いてきた訳だ。


 それも蘭の奴は、自身の顔を真っ赤にさせながら、俺を大胆に誘い、『みん〇あげ〇ゃう』と言うものだから。


 俺の頭はヤカンのようにピー! と沸騰した訳だから。


 俺自身も沙紀に捨てられてしまったからどうしよう?


 俺は本当に情けない男……。


 でも、可哀想な奴だから、俺は本当に切ないよ。


 とっ、ほほほ……と、俺は下を向き落ち込む暇がなくなってしまう。


 だって、その後も、授業の合間の他のクラスの女子達や一年、二年の後輩達……。


 男子達ではなく! ちゃんとJKの少女達だからね、が、さぁ!!


 教室の扉から、俺の様子を窺いにきては、『キャキャ、山田君!』、『山田先輩!』と、黄色い声音を上げるものだから。


 俺は本当に落ち着かないと言った感じでね、精神的に疲れたと思いつつ。


 俺は、その日の授業を終え、帰宅のための身支度……。


 自分のカバンに授業道具を詰め込みながらも加奈や蘭、篠田率いる親衛隊達のことを思案しつつ。


「はぁ~」と嘆息を漏らしていれば、話の冒頭シーンになるけれど。


 沙紀の奴は、自身の顔色を変え、俺に話しがあるから少しいい? と。


 アイツは下を向きつつ、そわそわと、俺に対して落ち着きなく尋ねてきた。


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