第30話 あの日、この日! (1)
「はぁ」、
「あああ」、
そして「辛れぇ」だよ。
あの日の俺はね。
だってさ、みなも知っての通りで、午後のホームルームも終え、帰宅の準備の俺に沙紀の阿保が。
俺への別れ、離別……。
『私達二人は元々合わなかったのよ。だから和也別れましょう。そしてお互い会う人を探して、一からやり直そう』と。
沙紀が涙ウルウルの別れならばいいのだが。
アイツ! 沙紀の奴は! もう既に!
好きな人! お付き合いをしてもいいと思う人ならばいいよ。
でもさ、あの阿保、ビッチ、セフレ女は──。
俺との別れをちゃんとしていない間に、大学生の家庭教師に口説かれ、俺はNTR──!
そう、もう既に大学生の兄ちゃんに寝取られ二股状態……。
と、いってもさ!?
俺自身は沙紀に奴にやらせてもらっていない状態……。
と、言うか?
アイツの乙女! バージンを!
家庭教師に盗られているから、沙紀の奴は一股状態なので、俺は部外者……。
三角関係にもならない立場! なのにさ?
アイツ! 沙紀の奴は!
俺が隣の席の山本……。
それとアイツの幼馴染の大田!
そして俺の新しいクラスの女子数人と。
この情けない男……。
彼女を寝取られた俺のことを推すJKの少女達!
そう、実は、こんな情けない男の俺だけれど、学園内では、イケメン四天王の一人でね。
まさにグッド、タイミングではないが?
俺を推す女子達は、沙紀と早く別れろ! と呪いの言葉を毎日唱え、詠唱していたみたいだから。
沙紀と俺が別れたっぽい? と言った話しを聞きつけ。
俺の新しい教室へと押しかけだよ。
お昼の大休憩──。
ランチタイムと言う奴に。
自身の気持ちが優れない。
そう、沙紀達の会話……。
【山田】と言う名字がやたらとでるのと。
アイツ、沙紀のスマートフォンがひっきりなしに、ブルブルとバイブだよ。
あの卑猥な大人のおもちゃのようにね。
その都度、あの馬鹿、阿保は、この後大変なこと。
そう、沙紀のことが想像もできなかったこと。
と、言うよりも?
アイツ自身が、自分の所持品だから。
自分の記憶の隅から忘れられることが起こるとは知らずに。
俺の方をチラチラと見る──!
それも?
この俺さまと離婚、離別もちゃんとしていない癖に。
ニヤリと意味深に……。
じゃ、ないな?
俺を侮り、嘲笑うから。
「沙紀、山田を見て笑わない!」と。
井上に注意をされ。
「沙紀、あんた。未だ山田と別れていないんでしょう? なのに、何で? あの家庭教師に、こんなにも電話やメールをさせる訳?」と。
俺に気があり。
落ち込む俺のことが心配でならない、大田が沙紀へと不満を漏らしていたと思う?
だから沙紀の奴は調子気に。
「ああ、わかっているって、蘭は……。放課後に和也と話しをするから」と。
沙紀の奴は、あの時! あの時点では!
蘭や俺に平然と悪態をついてきた。
だから二人はガンのつけ合い、飛ばし合いの、一触即発状態になっていたのか?
その辺りは、俺自身も沙紀達の様子を見て窺がった訳ではないから、よくはわからないけれど。
「ちょっと二人共~、やめなさいよ~」と。
澤田の二人の間に割って入る台詞。
「沙紀、早く、電話してきたら、彼氏が待っているんでしょう?」
井上のこんな台詞。
俺まだ沙紀とは別れていないのに、アイツの電話、L〇NEの相手は、もう彼氏扱いか。
「マジで歯痒い!」、「ほんまに歯痒いけぇ!」と。
俺が広島弁で、小さな声で呟いていると。
「山田君、どうしたの?」と。
「何か独り言を呟いていたみたいだけれど。一体何があったの?」、
「何か世の中に不満があるの?」と。
俺の隣の麗しい、無表情の少女が。
そう、山本が確か、こんな感じのことを俺に尋ねてきたと思う?
だから俺は「何もないです」と、山本に告げ。
俺は不服のある様子で、山本や沙紀、大田、井上、澤田……。
その他のメンバー達へと背を向け、窓の外……。
また懲りもしないで、自身の背から、『プッ!』と沙紀の奴が噴き出しそうになる哀愁を漂わせながら。
俺は授業の合間の休憩を過ごした。
するとさ、お昼の大休憩なったから、俺は食堂へと移動──。
他人の熱い眼差し。
どうせ、俺が沙紀にフラれることを嘲笑っている奴等の視線だろう!? と。
俺は思いつつ食堂で下を見つつ、ラーメンを食べた。
そして教室へと戻った。
できるだけ、他人……。
俺のことを嘲笑っているだろう、クラスメイトや沙紀、井上や澤田達とは目を合わさずに。
まあ、俺の机までの移動の最中に。
「おい!」
「山田!」
「お前大丈夫か?」と。
直人や山下、大島……。
その他、俺と仲の良いメンバー達から声がかかるが。
「ああ」とか。
「大丈夫」と。
俺は声を返したかな?
でッ、その他にも大田、山本……。
それとクラスの女子数人からも。
「山田、大丈夫?」
「山田君」と声がかかったかな?
でも、その時の俺は、何故クラスの女子数人からも声がかかったか、全く理解ができないでいたけれどね。
◇◇◇
「山田いる……?」
俺が食堂でラーメンを食べて教室に戻り、机を枕に不貞腐れつつ、外の景色……。
そう、学園のグランドで仲好さそうに、手を繋いで歩くカップル達の様子を遠目から見つつ。
(クソが! チャラチャラ、女と手を繋いで歩くな。石を投げんぞ! コラッ!)と。
俺が大変に冷たく、冷めた目と気持ちで見詰めていたと思う?
すると大変に暗く、重たい声音で、女子が教室に俺がいるか? と。
誰かに尋ねる声がしたから。
(……ん? 誰だ?)と。
俺は思いつつ声の主を確認しようとしたら。
「山田ならば先程、教室に帰ってきたよ」
「今ならいるよ、瑠偉ちゃん」
「ほら、あそこ?」
「あっ、ほんとだ!」
「ほら、瑠偉! 見てみて! 山田帰っているって……」と。
俺のことを見つけ、探していたから嬉しい?
まあ、俺が初めて耳にする声音や名前じゃなくて。
俺がよく知っている名前や声音が聞こえてきたから。
俺は声のする方へと視線を変え、気だるげに。
「篠田、田中、矢島、栗田……。えぇ~と、その他、どうした?」と。
俺は元のクラスメイトの女子達……。
そう、沙紀のツレ達の次くらいに仲がよかった女子達数人の姿見えたから。
そいつらに、『どうかしたのか?』と。
俺は尋ねたと思うよ?
それも俺は、こいつらも。
俺が沙紀にフラれるのを嘲笑いにきたのだろうと、直ぐに思ったと思う?
だって篠田のグループはいつものように、俺に沙紀と別れたか? と尋ねていたメンバー達だから。
(うざいな、こいつら)と。
俺は思っていた。
するとやはり、篠田達も、俺の期待通りの行動──。
ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべつつこちらに。
そう、あいつらは、俺に対していやらしく笑いながら向かってきていたと。
俺が勝手に思い込んでいただけでね。
あいつら、俺の許までこようとすれば。
どうしても沙紀達の近くを歩きながら向かうようになる訳で。
篠田達が悪態をつくように、いやらしく笑っていた対象者は、俺ではなく、沙紀へと薄ら笑いを浮かべていたみたいで。
篠田達のグループは沙紀の傍をわざとらしく歩き。
アイツの傍までくるとさぁ。
「新宮寺……。山田と別れたんだよね?」と。
あの時の篠田は、沙紀に対して尋ねたのか?
それとも再度沙紀本人に、俺と別れたことをちゃんと認識させるために告げたのかは。
俺自身にも解らないけれど。
篠田達は沙紀を揶揄……と、言うよりも?
アイツに喧嘩を売るように告げ? 尋ね? するとさ。
沙紀の口から、今更のように「えっ!」と驚嘆が漏れるから。
「新宮寺……。『えっ!』じゃ、ないでしょう? 『えっ!』じゃ! 山田と別れるんだろう。山田とはちゃんと! 先程山田が居ない時に、教室内で、大きな声で、皆なに聞こえるように言っていたんだから。別れるよね? 山田とはちゃんと?」
篠田の奴は沙紀へと、俺と別れる! 別れた! の再確認をちゃんとさせた。
それも沙紀に急かすように告げた。
それも篠田は完全に沙紀へと喧嘩腰──!
呻り、吠えるものだから。
「別に篠田! あんたには関係ないじゃ、んか!」と。
沙紀も篠田に売られた喧嘩は買いましょう! と、言った感じで。
自身の目を細め、呻り、吠えた。
「これは私の和也との問題だから。篠田には関係ないでしょう!」
沙紀は確か篠田に対して、更にこんな言葉を付け加えたと思う?
だから沙紀と篠田のグループの周りにいた井上が。
「ちょっと、沙紀……」と。
アイツに声をかけ、これ以上の言い争いは辞めるようにと、遠回しに告げれば。
「沙紀も山田と別れるって、先ほど私達に言っていたのだから。篠田さんに強く言われて。そんなにムキにならなくてもいいじゃ、ん」と。
澤田が篠田に尋ね! 確認すること!
俺と別れると言った言葉は、篠田の言う通りで間違えないことだからムキになるなと告げると。
「篠田! あんたらは! 山田推しの親衛隊なんでしょう? 今迄は沙紀が彼女でいたから遠慮して、山田にちょっかい、かけられなかったけれど。沙紀はもう、山田と別れる気でいるから。一々沙紀に対して呻り、吠えて、喧嘩を売らなくてもいいでしょう!」、
「さっさと山田のところに行ったら、篠田?」と。
井上が沙紀の代わりに篠田へと喧嘩を売るな! 早く俺のところへいけと告げたと思う?
(ここまで)
多分ね?
俺もあの時の、沙紀と篠田の一触即発状態……。
と、言うよりも?
俺が沙紀にフラれた! 捨てられた!
これで完全に別れることが確定されたから。
俺自身少し動揺……どころじゃないな?
かなりしたな!
うん! うん! と、俺が首肯したところで話しを元に戻すけれど。
井上に、自分達の許からさっさと立ち去れ! いなくなれ! と、荒々しく言われた篠田の奴だけれど。
沙紀が俺と別れると言った話しを本人の口からではないにしろ。
沙紀のツレである井上から聞けたので、篠田は上機嫌で直ぐに。
「山田~」と。
あいつは黄色い声音で、俺を呼びながら慌てて席へと駆け寄ってきたよ。
他の親衛隊のメンバー達とね。
するとさ、篠田達……。
俺の真横の山本を押し退け、近くにくると。
「じゃんけん! ポォ!」
「あいこで、ホイ!」と。
篠田率いる、俺推し、親衛隊のメンバー達は慌てて、俺の横でじゃんけんを始めだすから。
クラスの者達が一斉に篠田達と俺──山本へと注目……。
あの沙紀も、彼氏からブルブルとバイブレーションがいやらしいおもちゃのように振動して──!
沙紀に早く出ろ! と鳴っていたと思う?
だって井上が沙紀に。
「沙紀、あんた? 彼氏から電話鳴っているよ。出なくて良いの?」と尋ねられた声が。
俺の耳へと聞こえたような気がするから。
それでもアイツ、沙紀の奴は無視して、俺やクラスの者達と同じように篠田達──。
俺の親衛隊の動向を見守り続けると。
「やったぁあああっ! 勝ったぁあああっ!」と。
まさにラブコメの定番ぽくね、篠田が並み居る敵を、己の頭脳……。
駆け引きを駆使してさ、じゃんけんに大勝利した。
だから篠田の歓喜!
「よっしゃ!」と、気合十分の吠えも聞けれたから。
俺の新しいクラスメイト達……。
俺も含めてだけれど。
篠田の気合の入った勝利宣言に対して、パチパチ! と、手を叩き。
篠田の勝利宣言を祝う。
まあ、祝ったのだよ、俺も含めてクラスメイト達はね。
するとさ、篠田の奴は、俺が予想にもしなかった行動にでる。
だから俺は「えっ!」、「うそ?」と、驚嘆を漏らすのだった。
やはり、沙紀を含めたクラスメイト達とね。
◇◇◇
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