第29話 高校三年生にもなれば、こんな言い訳される日もあるよ(1)

(はぁ~、どうするかな?)


 と、思う俺だった気がするよ?


 えっ! 何でかって? 


 そりゃ、俺の口から言わなくても、みなさんが知っている通りだと思うけれど?


 俺はあの日! この日に!


 放課後を待たずに沙紀にフラれた訳だけれど。


 その合間に、俺の隣の席のショートカットがよく似合う無表情、無感情な少女……。


 そう、つい最近のラブコメには、一人は必要なヒロインキャラクターである山本加奈から告白を受けた。


 俺のことが彼女は一年生の頃から好き! 愛しているらしくてさ!


 俺のことが余りにも好きらしくて、彼女我慢できずに。


 俺の耳をガブリ!


 そしてチュ! をしてくれる暴走をしでかしてくれた。


 だから俺の許カノ沙紀が、じゃなく。


 そのツレ!


 俺の女友達!


 俺のマブダチだと!


 今日の、今日まで思っていた!


 これも今のラブコメには必需品──。


 必要ヒロインキャラクターの一人である、お色気、お姉さまタイプのボン・キュ・ボンのヒロイン……。


 まあ、負けヒロインと言ったイメージの強い大田蘭……。


 まあ、実際、一年生の時に、俺を沙紀に奪われた実績を持つ蘭が何故か憤怒!


 そう、山本加奈に食いつき! 吠え!


 二人は険悪なムード!


 クラスのみんなが見守る中で一触即発状態へと陥るのだが。


 俺があの時に、二人の険悪なムードを断ち切るために、美人でお姉さま……お色気キャラの蘭へと、冗談交じりで。


『大田も俺とキスをしたいのならば。キスをするか?』と尋ねれば。


 あいつ実はさぁ?


『や、山田したいのならばうちはキスをしても良いよ」と。


 自身の顔を、まだ校内の隅々で咲いているだろう、のようにピンク色に染めつつ。


 あいつはモジモジ、ソワソワ、腰をクネクネと官能的……。


 まあ、落ち着きなくしながら、多分、あいつ! 大田のファ、ファーストキスと言う奴をくれるって、と説明をしたら。


 あっ!


 俺は、『あっ!』と驚嘆を漏らしてしまう。


 だって山本加奈……。


 まあ、これからは短縮で加奈と呼ぶけれど。


 俺ってあの時に加奈からファーストキスを頂いたことになる。


 だってあいつ、あんなにも飢え勝っちゃんのように、ガツガツ食らいついてくるけれど。


 加奈は正真正銘の乙女ちゃんだからね、と。


 俺が、加奈がバージンだと説明をしたところで話しを戻すけれど。


 蘭が俺にキスをさせてくれると、なりふり構わず告げるものだから。


 俺と沙紀の離婚! 離別は決定した!


 今まで蘭は、沙紀に遠慮して、俺との仲を友達以上の関係まで踏み込んではこなかったけれど。


 加奈の告白と!


 実は恋人宣言!


「山田君! 私のファーストキスを奪ったのだから責任とってくれるよね?」と。


 蘭が俺とキスをしてもいいと可愛く告げたらこの通りでね。


 自分はもう既に俺とキスをしたから恋人宣言──!


 だから沙紀が今彼を学校近くに、俺への当てつけで呼び!


 俺が憤怒!


 もう少しで沙紀の今彼を殴りそうになった時に、加奈が近くに居て、俺を慌てて止めた言う訳でね。


 この日を境に加奈は俺のストーカーの如く着いて回るようになるのだが。


 加奈の恋人宣言を聞いたからと言って。


 あの時の蘭も二度目は無い、ではないが!


 あいつも売られた喧嘩は買いましょう! と。


 フンガァ~! フンガァ~! と。


 綺麗なお姉さま、鼻息荒いですよ。


 せっかくの美貌、麗しさが台無しですよ。


 うっふん! と、俺もなるから。


 俺の冗談で二人の喧嘩は止めたのは良いけれど。


 沙紀の離婚宣言を、俺が自身の耳で聞く前に。


 俺の押しかけ恋人宣下と告白も同時に受けてしまったから。


 俺は「はぁ~」だよ。


 この通りの大きな嘆息が、自身の口から漏れ、肩を落としつつ。


(どうしよう?)と。


(山本と大田の件はどうしたらいいのだ?)とも思いつつ。


 俺は自身の学校指定のカバンの中に、机の中にある教科書とノートを入れながら。


 二人に対して、そう答え、接するべきかを。


「はぁ~」と何度も大きな溜息を漏らしつつ思案……。


(沙紀のことで落ち込んでいる暇がねぇ、なぁ、多分?)


「…………」と。


 俺は思いつつ帰宅の準備をしていると。


「和也、ちょっといいかな?」


 俺の元カノ、二股疑惑もあるビッチ! セフレ女!


 そう、沙紀の奴が俯き加減……。


 俺の顔を真面に見ることもできないだろう。


 お前は!


 今日の早朝!


 みなの見ている前で、まだ別れるとも言ってきてもいないし。


 俺も沙紀の別れ話を聞いて、了承すらしていない段階で。


 俺にあれだけの悪態……。


 そう、俺が男泣きをしないといけないほどの悪態をついてきた。


 このクソが! アマが!


 俺にしおらしく振る舞いつつ、自身の身体をモジモジ、ソワソワしながら声をかけてきた。


 だから俺は阿保に、「何ようだ?」と。


 今度は俺が元カノさまのことを、自身の目を細め、冷たく見詰め、重い口調で尋ねた気がする。



 ◇◇◇



「実はね、昨日電話……。急に切ったじゃない? あれってさ、家の両親が急に部屋へと踏み込んできたのよね。またお前は、勉強もしないで彼氏とL〇NEばかりしているのか? と」、


「だから私、パパやママに違う、違うと言い訳ばかりをしていたから。私かけ直すのを忘れちゃぁったのごめんね」、


「昨晩のことは怒ったかな、和也?」と。


 沙紀の奴がぶりっ子、カマトト、あざとい様子、振る舞いをしつつ、俺にわざとらしく。


 どうせ今の彼氏から電話がかかり、着信見て慌てて切ったのだろう。


 こんな嘘くさい言い訳をしなくても、俺じゃなくても。


 朝の沙紀の俺への悪態振りを見れば誰で気がつくし。


 もしも両親に怒られたのならば俺が原因ではなく、今彼との長電話や

 ひっきりなしのL〇NEの受け返しで。


 そう、あの日の授業中もひっきりなしに、今彼から愛のL〇NE着信していたし。


 俺にばれる、悟られるのが嫌なのか?


 慌てて廊下やトイレに駆け込んでいたみたいだけれど。


 いい加減にしろよ! アイツ!


 あの時の俺まだ沙紀の阿保とは、はっきりと別れた訳でもないのに好き放題して。


 この俺をバカにしやがっていい加減にしろ!


 このビッチが! と、俺が確か思っていると?


「あのね、和也? ここつい最近、私よくあなたに言っていたじゃない。家の両親が煩いって」、


「だから私塾も辞めた訳だし」、


「それでね、塾をやめて、私は家庭教師に変えたの……」と。


 沙紀が俺にしどろもどろではないが。


 俺と目をとにかく合わせないようにしつつ、家庭教師との浮気を隠しながら。


 そう、沙紀の奴は井上と澤田に。


『沙紀は山田ではなく、家庭教師と付き合って決めたのだから。山田の事や、蘭や山本さんの件はもういいじゃ、ん』


『そうそう』


 と、言われていたのを俺は耳にしているのに。


 沙紀の奴は、俺に言い訳を始めた。


 だから俺もいい加減頭にくる!


 まあ、きた訳よ! あの時ね!


 と、なれば?


 俺の口から沙紀へとでる台詞ってそんなにない訳じゃない?


 だから俺はあの時、あのビッチへと!


「それで家庭教師と浮気をした上に、俺に二股をかけ、どちらがいいかを。お前は悩んだって訳か?」と。


 俺はヘラヘラ笑いながら沙紀へと告げ。


「あっ! そう言えば? お前~?」、


「俺と家庭教師のどちらの選択はなく、もう決まっていたんだよな?」と。


 俺が告げたところで沙紀の奴は慌てて、話しを折ってきたと思うよ。


 まあ、こんな感じでね?


「えっ! 私まだ、翔君にするか、和也にするか、決めていないよ」と。


 大学生の家庭教師のことをアイツはビッチだから名指しだよ!


 それもさ?


 俺まだ別れる! 離別! 離婚をする!


 まあ、婚約破棄(笑) してもいないのにさ、もう翔君の二番手!


 だから俺は直ぐにカッ! ときたね!


「はぁ~! 沙紀! お前いい加減にしろよ! 何が、まだ決まっていない! 二股状態だってぇ~?」、


「と、言うか? 一股か?」、


「毎晩、家庭教師と何を勉強しているのか知らねぇがぁ? 毎日乳

 繰り合いしやがってぇ~!」、


「沙紀~! 俺を舐めんなよ~! こらぁっ!」と。


 俺は先ずは沙紀のことを睨み、その後は怒声を吐いた!


 するとアイツは?


 しまった! いらないこと! 一言多かった!


 そう、自身の口を両手で慌てて押さえ。


 自分の大事! 愛しい!


 大学生の家庭教師のお兄ちゃまの、名前を出す! 出すんじゃなかった! しまった! 


 と、言った顔をすれば。


 その後は確か?


 あの時の沙紀は、俺に怯えた顔をしたと思うよ?


 だからと言って俺はアイツ! 沙紀のことを許す気はない!


 だって俺も、あの日の朝は!


 沙紀の奴に、いいようにあしらわれて、怒声を吐かれ、悪態をつかれ。


 その上男泣きを何度もした俺だから。


 俺の沙紀への怒りが、これで収まる訳もないから。


「それになぁ、沙紀? まだどちらにするか、決まってないと言っているけれど。お前授業中や休憩時間に愛しの家庭教のお兄さまからひっきりなしに電話やL〇NEがきてブルブルと震えさせては喜んでいただろう」と。


 俺が沙紀に更に罵声を吐き、悪態をつけば。


「いや、あれは……。あのね、和也……」と。


 沙紀の奴が俺に対して言い訳をしてこようとしたから。


「沙紀、お前なぁ~、大概にしろ? 俺と早朝~。お昼の大休憩までは、俺と早く別れたくて仕方がないから。俺に隠すこともしないで、平然に電話をとっては俺に聞こえるように大学生の家庭教師の兄ちゃんと大きな声で話しをしたり。頻繁にL〇NEを撃ち返していたけれど。山本が俺に告白してきて、大田と言い争いになって。その後、他のクラスの女子や後輩達が、俺とお前が別れたと聞きつけて。俺に言い寄り始めてからじゃないか! お前が急に態度を改めて、今彼と電話やLINEコソコソと俺にばれないようにし始めだしたのは」と。


 俺が朝とは逆で、更に沙紀に対して悪態をつけば。


「まだ、あのひとは、私の今彼じゃないもの」と。


 あの時の沙紀は、引いてダメならば! 押してみろ! じゃないけれど。


 今度は自身の瞳をウルウルと泣き脅し、作戦を決行しようとしたから。


「はぁ~、沙紀? 今度は愛しの翔君ではなくて? 愛しのあのひとか……。本当にお前等不快な……。俺にはキスすら、させてくれなかったのにいい加減にしろよ。このビッチが!」と。


 俺は沙紀に吠えると。


 自身の近くにある椅子に対して、思いっきり蹴りを入れて吹き飛ばしてやった!


 だから教室内で!


 ガチャン! と大変に鈍い音──!


 そう、椅子が壁に激突──!


「きゃ~!」


「ぎゃぁあああっ!」


「な、何だ?


「どうした?」


「びっくりした……」と。


 教室内から、ワッ! と騒めきが立つが。


 俺はお構い無し! 素知らぬ振りをしながら!


「沙紀~、お前の思惑通り、ちゃんと別れてやるから心配するな」と。


 俺はケラケラと笑いつつ、沙紀へと告げると。


「新宮寺! 俺に二度と話しかけるな!」と。


 俺は沙紀のことを名前で呼ばずに名字で呼びながら。


 アイツに離別宣言と。


「新宮寺! 俺は、お前のことを絶対に許さねぇ、からなぁ!」


 俺は沙紀に捨て台詞を告げれば。


『あばよ!』だ。


「ああ、面白くねぇ、なぁ」と。


 俺は不満を漏らしつつ、自身の机を沙紀の目の前で蹴り、悪態をついて魅せると。


「チッ!」と。


 俺は舌打ちしながら、また悪態を尽きつつ教室をでた。


 すると廊下を歩く俺の耳に。


「山田マジ切れ~!」


「あいつ何で怒っていんだぁ?」


「新宮寺の件じゃないのか?」


「ああ、なる程と?」


 俺のクラスメイトの男子達の声が耳へと聞こえてきたかな?


 それから少し経てば。


「ああ、山田。完全に怒っているね」


「うん、そうだね」


 井上と澤田の声も俺の耳へと聞こえてきたかな?


 だから俺は、(クソ! 面白くねぇ!)と、思いつつ廊下を歩いた。


 自身の靴を下駄箱へと取りに行くために。


「沙紀?」


「何、翔子?」


「もう山田の事はほっときな……。元々山田とは別れて大学生の家庭教師と付き合うつもりだったんでしょう?」


「そうだよ! 沙紀! 朝はそんなことを私等に言っていたじゃない」


「それに、蘭のこともあるから、沙紀はいい加減にしない」


「本当だよ。サチの言う通りだよ」


「急に山田がモテ期になったから。あんたも山田が良く見えだしたって思うならば。沙紀、あんた少し変だよ。いい加減にしないと。皆に色々と陰口叩かれるようになってもうちは知らないよ?」


「うん、翔子の言う通りだよ。だから山田のことは放っておいて、蘭にやれば良いじゃん?」


「そうだよ。沙紀! 幸の言う通りだよ! 蘭の気持ちも考えてやりなよ!」と。


 まあ、その他にもさ、沙紀に俺には構うなと。


 アイツのツレ達の、諫めの台詞が、廊下を歩く俺の耳に聞こえてきたと思う?


 でもさ、実は俺──。


 廊下を歩きつつ、沙紀に対してまだ未練がましく下を向き、男泣きをしていたから。


 俺の泣き声で、アイツらがどんな話をしていたのかは?


 俺は実は余りよくは、聞こえてはいなかった。




 ◇◇◇





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