第13話 今度は俺が元カノから告白を受けた日の話を聞いて欲しい(4)

 だから俺は、と言うか?


 あの時の俺は大田の奴の気持ち。


 そう、こんな鈍感な俺に対して、想いを寄せてくれていたあいつの気持ちに気がつくことができずに。


(大田の奴は最初から終わりまで、何だか様子が可笑しかったけれど。一体あいつはどうしたんだろうか?)


 俺はバカで阿保だから。


 自身の頭の中で呟きつつ、首を傾げながら。


 カバンの中に残りの教科書、ノートを詰め込んだ記憶があるよ。



 ◇◇◇


「ふぅ、やっと終わった」と。


 俺は独り言を呟けば。


 自身の机の中にあった教科書、ノートを詰め込んだ。


 学園指定のカバンを持ち。


 元カノ沙紀……。


 そう、まだビッチ、セフレJK女子では無い頃の、沙紀の許へと、俺は足早に向かう。


 阿保だから。


 ここで沙紀ではなく、自身の背に哀愁を漂わせながら。


 俺の許を去った大田の奴の背を追いかければ。


 俺はこんな悲しく……。


 でも、腹が煮えくりかえるほどの荒々しい気持ちにならずにすんだ可能性……。


 幸せになるルートがあったかも知れないのに。


 俺は沙紀の麗しい容姿に惑わされ、魅入り、虜になり、阿保だから。


 大田が俺へと暗く、影を含んだ顔、容姿で教えてくれた体育館の裏へと。


 スキップ! ランラン! と向かう。


 あの時の俺は、大田の様子が変なことを気にもしていたが。


 俺も入学式の時に一目見て気に入り、魅入った沙紀のことが気になった仕方が無い方が勝っていたから。


 二年後にビッチ! セフレの沙紀にうそをつかれ、騙され、捨てられるとも知らずに。


 俺は脳内お花畑で、沙紀のいる場所へと向かうと。


 アイツ! 沙紀の奴の麗しい姿が俺に瞳に映るから。


「新宮寺さん、ごめんね」と。


 俺は大袈裟に『はぁ、はぁ』と息遣い荒く。


 そう、如何にも走ってきたように沙紀へと告げた記憶がある。


「うぅん、山田君大丈夫だよ」


 沙紀の奴は確か、息遣い荒い俺に対して、可愛く自身の首を振りながら告げてきた記憶があるのと。


 俺はそんな可愛い様子の沙紀を見ながら。


(マジで新宮寺さん、可愛いなぁ)と。


 俺は自身の心で呟いた記憶があるのと。


 沙紀の奴が俺に何の用があるのか、俺は知っている! 分っているにも関わらず。


 俺は阿保だから、沙紀に対してわざとらくね。


「新宮寺さん、俺への用事って何かな?」と。


 俺は広島弁を出さずに気取って告げた記憶があるよ。


 二年後にとんだ阿保! ピエロ! になるとも知らずに。


 俺は沙紀へと気取って尋ねる。


「あっ、あの、ですね、山田君……」


 俺に対してクソ生意気態度をとる前の沙紀は、こんな感じで、大変に初心でさぁ。


 自身の両手、指先を使用し、俯きながら、モジモジと俺に呟いてきた記憶があるよ。


 だから俺は、初心で可愛らしい沙紀……。


 中坊の時に、俺の身近にいなかったタイプの初々しいアイツに対して、直ぐに見惚れ、自身の顔を緩めた記憶がある。


 だから俺はこの時点で大田のことは、自身の頭の中から、消えてしまっているから。


 沙紀の初々しい言葉に対して、「うん」と頷いたよ。


 それも、自身の顔の筋肉を緩めないようにしながら凛々しくね。


 沙紀が俺の緩んだ顔のニヤケ面をみて失望したらいけないと思いながら。


 俺は耐えに、耐え忍びつつ。


 沙紀の奴が、俺のことを騙す為に可愛く、いじらしく、モジモジちゃんになっているから。


「新宮寺さんは、C組だよね?」と。


 俺は可愛く振る舞う沙紀の奴が中々、俺に言葉を返してこないから話題を変えるために。


 俺は沙紀や大田から、アイツのクラスが何組を聞いてもいない、教えてももらっていないのに告げたものだから。


「えっ! なんで山田君は私のクラスまで知っているの? もしかして蘭から私のクラスがC組だと聞いたの?」と。


 そう、ここでやっと冒頭のシーン……。


 俺と沙紀とが、二人だけで初めて親密に会話をした日……。


 体育館の裏で咲いている桜の木の花びらが、春風に吹かれ、舞い踊る中での淡く甘く。


 そう、大変に初々しく、甘酸っぱい日の冒頭のシーンへと戻ってきたのだが。


 まあ、とにかく沙紀の奴は俺さまに、自身のクラスがC組だと当てられて大変に驚愕をした記憶がる。


 それもアイツは?


 自身の両目の瞼を大きく開け、可愛く装いながら、俺の言葉を返してきたから。


「うぅん、新宮寺さん、違うよ」と。


 俺は自身の首を振りつつ沙紀へと告げれば。


「俺達の入学式の日にさ、C組にとても綺麗で可愛い娘がいるのが。俺の目に映ったから誰だろうと思っていると。俺の耳にクラスの男子達の、新宮寺さんへの好意的なひそひそ話しが入ってきたから。俺はその後も聞く耳を立てて聞いていたんだよ。すると俺の耳に今度は君の苗字や名前が……。そう、と言う名だと入ってきたから。俺は覚えていたんだ」、


「それに今日の大休憩の昼食時にも、大田の奴が君のことを『沙紀』と呼んでいたからね。『ああ、やっぱり、俺の隣にいる綺麗で可愛い娘は新宮寺沙紀さんなんだな』と、俺は思ったんだよ」と。


 俺が沙紀に対して満身の笑みを浮かべながら説明をしたと思うから。


 アイツの俺への好感度は一気に上昇! うなぎ登り! と言う奴でね。


 アイツは更に、自身の両目の瞼を、大袈裟なくらい大きく開けながら。


 アイツの可愛い唇を自身の華奢両手の掌で覆い隠しつつ、大変に可愛く。


 そう、俺にぶりっ子しながらアイツは、驚きを隠せない様子で。


「えぇ~、うそ~? 山田君が私のことを入学式の頃から可愛い。綺麗だと思っていて、くれていたなんて信じられない~」と。


 沙紀の奴は、純情な俺のことを騙そうと小悪魔的に振る舞う。


 そんな沙紀に対して俺の方はと言うと?


 表面上は前ではクールなイケメン、伊達男を装いつつ、魅せながら。


 自身の歯!


 それも真っ白い歯をキラリと輝かせ!


 イケメン! 王子さま笑みを。


 沙紀に振る舞い、気取って魅せながら。


 実は?


 俺自身の脳内ではね?


 俺は自身の目じりを下げ、顔の筋肉を緩ませ、鼻の下を大変に長く伸ばしながら。


(デッ、へッへへ)


 と、大変に気持ち悪い笑み。


 そう、俺はいやらしい笑みを浮かべている状態だった記憶がある。


 まあ、如何にも?


 俺はアニメやマンガ、ライトノベルのラブコメ物語の、主人公ヒーロー達への、からの告白タイムイベントによく似たシーンを満喫、堪能をしたと思う。


 約二年前の俺はね。


 だから俺は本当にバカと言うか?


 俺自身がまだ幼く、純情だったのだと思う。


 だってこの時の俺は、沙紀の大変に大袈裟……。


 まあ、如何にも?


 沙紀が俺によく見られようと、自分自身で意図的に演じていた振る舞いに対して。


 俺は元々彼女から音信不通……自然消滅と言う奴で、フラれたばかりでね、心に傷を負っている最中だったから。


 沙紀軍師が計略した邪な策……。


 そう、の中に出演する偉大な軍師さま達……。


 他人の心の隙──虚を突くのが上手! 美味い! 軍師さま達……。


 のような恐ろしい策を発動し、俺を傀儡しようと企ててきた。


 だから俺は、沙紀が練った策にまんまとかかり。


 沙紀に対して満身の笑みを浮かべつつ。


「うん、実はね。そうだったんだよ……」と告げ。


「俺は新宮寺さんのことを遠目からだけれども。君のことを俺は見詰めつつ。綺麗だな! 可愛い娘だな! あの娘彼氏いるのかな? と。俺はついついと思ってしまったよ。本当にごめんね」、


「わっ、はははっ」と。



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