第3話 俺は高校生らしくプラトニックな恋だった! (1)

(うぅ、うううっ。クソ! クソ! 歯痒い! 歯痒いぞ! 本当にほんまにのぅ! マジであの男、殴ってやるしばいちゃぁろぅか?)と。


 自身の脳内で呻り、吠える俺だから。


 俺の理性があるまでに。


 沙紀の奴と、アイツの今カレは本当に頼むから。


 俺の視界から消えていなくなれ!


 このクソが! アバズレが! バカ女が!


 マジで少しカッコ良い、容姿の整ったイケメンの年上──。


 それも車持ちの兄ちゃんならば、直ぐに自身の尻をいやらしく、フリフリと振りやがって!


 クソビッチ! ヤリマン女! セフレ女に。


 このサセが!


 マジで、くそ! くそ! くそだー!


 だってぇ~! 俺は! 元カレの俺はなぁ~!


 アイツに!


 沙紀の奴に!


 俺は手を繋ぐぐらいしか許可──許してもらえない情けないままでね。


 俺は貴重な思春期……。


 そう、高校一年生から二年生までの大事な、この青春真っ盛りな期間をアイツ! 


 元カノの沙紀と親密!


 深い関係になることもなく清い関係!


 プラトニックラブな関係で!


 俺は終わらせてしまったのだ!


 この高校生活最後の学年である高校三年生になる前の、雪が溶け、川となって流れ。


 日輪の陽の光も、ポカポカと温かく。


 そして陽気に、解放的になってくる季節──。


 そう、この世に生を受けた者達……。


 生きとし生ける物達がね。


 LOVEて。


 共に仲良く過ごし。


 そして交わり、子孫を残し、繁栄をさせていく季節でもある春──。


 恋の季節になりたて、なり始めの春休みに。


 俺はあの白のユーノスロードスターのオープンカーにチャチャラ乗っている。


 女たらしのイケメン兄ちゃんに彼女──。


 沙紀の奴寝取られ、NTRされた情けない男……。


 青春真っ盛りな思春期に。


 馬鹿でのろまな亀吉な、少年になってしまった。


 ドジで鈍間、鈍感な亀でございますから。


 どうしょうもないぐらい、情けない男子の僕ちゃんへと。


 クラスメイトのショートカットがよくお似合いな、可愛い少女が。


 俺の元カノ沙紀のことを。


 このまま放置!


 素知らぬ振りをしてもいいのかと。


 先ほど同情、憐れむ顔で尋ねてきたが。


 俺にそんな顔をしながら尋ねられても困るよな。


 俺は沙紀の奴に騙されて別れた訳だから。


 俺から心離れたアイツに対して手の打ちようがないから。


 俺は自身の心の中で元カノ沙紀への不満を心の中で呻るのと。


 俺からアイツを寝取った男──。


 大学生の兄ちゃんに対して俺は、この場で涙をエンエンと流しながら。


『うぅ、うううっ』と、嗚咽を漏らす訳にはいかないから。


 俺は自身の心の中で。


(クソ! クソー! あのクソ男がぁ! 俺の! 俺の物だったはずの、沙紀の純情! 乙女! バージン! 処女を奪い寝取りやがってぇっ! マジほんまに歯痒い! 歯痒いぞ! アイツ! あの男! 本当に殴ってやろうかほんまにしばいちゃぁろぅかぁ?』と。


 俺は多分、今晩辺りもまた?


 自身の枕を濡らしながら吐く、であろう台詞を、自身の脳内で呻り、吠えていると。


 こんな情けないことを考えている俺に、今度は近所に住む幼馴染の可愛い後輩がね。


 俺に対して大変に酷い言葉……。


 俺にとっては死刑判決、確定の告知と変わらないような、恐ろしい言葉を告げてくる。


 

 ◇◇◇


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