第2話 高校三年生の始業式の日は厄日だった? (1)

 うぅ、歯痒い。歯痒い……。


 アイツ、沙紀の奴が俺の許へと帰りたいから許してくれと言っていた事はみんな嘘偽りで~。只この俺様の事を揶揄して蔑視、嘲笑い為だけに二人で仲良く相談をしていたのだな~。


 ああ、マジで俺は元カノ沙紀の奴にまんまと騙された。


 俺はアイツの事を少しでも可哀想な奴だな~と思うのではなかったと。


 俺達の前方──。白いユーノスロードスターの車内でイチャLOVEしている二人の横顔、背を見ながら後悔をする。


 だから幼馴染の由美が恐れ慄くぐらいの顔へと、俺は変貌してしまうのだが。


 そもそも何故こんな事が起きたのか? と申せば。


 あれは数週間前の終業式……。


 それも俺の高校生活最後の年になる三年生の始業式の日に、こんな事件……予期せぬ出来事が起こった。




「お~い、皆~、おはよう~!」、

「おはよう~!」、

「今年もよろしくなぁ~!」


 数週間前……。始業式がおこなわれる朝……。 あの日の俺は、元カノ沙紀にこっぴどくフラれるとは思っていない。


 だから俺は久し振りに会う同級生達に対して朝から大変に御機嫌良く大袈裟に、自身の手を『ワ~イ!』と振り、笑顔を振り撒きながら朝の挨拶をして回ったのだ。


 今年こそは学園一の美女を彼女に持つ俺の願望だった。沙紀と同じクラスになり、隣の席……15センチ以下の距離で、今年は授業中でもイチャLOVEしながら授業を受け、二人の仲を更に深めたい。


 そして俺の願望だった沙紀の初体験……。


 そう、女の子の一番大切な物をできれば頂けたら良いな~? 程度の願望はあった。


 だってこの二年間……。二人の仲が更に深まるチャンスは何度もあった。


 でも沙紀の奴が結婚初夜迄自分の初めては待って~! 大事にしておいてよ~! その方が和也も嬉しいでしょう~? と、いつもふざけた事を抜かしてきた。


 そして俺自身も沙紀の奴があの大学生の家庭教師と浮気をして、俺の事をあっさりと捨て──。女の子の大事な物迄捨てる行為……。


 くそッたれな、あの二人が犯罪行為をするとは俺自身も思ってもいないから。

 あの頃の俺は、それでも構わないと思っていた。


 でも今の俺は沙紀に捨てられたから後悔をしているよ。馬鹿正直にアイツの事をアニメのフィギュア様みたいに大事にするべきではなかったと。

 まあ、俺が恨みつらみを漏らしたところで話しを元に戻すけれど。


 あの日の朝の俺は、その後……。数十分もしないうちに沙紀の奴から沢山の同級生達が居る前で悪態をつかれ、恥をかくとは思ってもいないから。

 俺は同級生達に愛想を振り撒き散らし、ニコニコ、ニコちゃんで、三年生のクラス分け表が張りだされている場所迄、同級生達へと手を振りつつ移動をしていく。


 すると「おっ!」だ。


 そう、三年生のクラス分け表が張られている場所へと移動の最中の俺の瞳に元カノ様の容姿が映るから。


「お~い! 沙紀~! おはよう~!」


 あの日の朝の俺は阿保だから超機嫌良く、元カノ沙紀へと大袈裟に手を振り、朝の挨拶をしてしう失態を犯してしまう。


 アイツ! 沙紀の奴は! 三年生のクラス分け表に自分が大嫌い、目にも入れたくない男……。


 そう、この俺様の名前があるからアイツは唖然、呆然……開いた口が塞がらない状態で佇んでいるのにさ。


 あの日の朝の俺は、沙紀の奴に新しい彼氏ができているなんてこれっぽっちも思っていない。


 だから俺は沙紀の奴へ愛想良く、自分の手を上げ──。


「お~い、沙紀~!」


 あの阿保に手を振りながら声をかけたのだ。


「今年は俺達二人、同じクラスになれたから本当に良かったな~」とも、俺は嬉しそうに言葉も付け加えてだったと思う?


「…………」


 でも沙紀の奴は俺の呼びかけに対して全くと言って良い程反応を示さなかったと思う。



「お~い! お~い! 沙紀~?」


 俺の言葉に反応を示す事もなく、相変わらず走馬灯でも見るような顔で、呆然と佇む沙紀の許へと自分の首を傾げつつ近寄れば。

 俺はこの後大変な事になるとも知らずに。


「沙紀、どうしたんだ? ボーッとして……。まさかお前、風邪で熱でもあるのか……? それとも生○痛の痛みでボーッとしているのか……?」


 俺はまさか沙紀の奴が自分の事を毛嫌い……。バ○キンマン扱いをしている男……。ゴキブリに対して憎悪を募らせ、殺虫剤で瞬殺したい程憎まれているとはしらないから。

 俺は沙紀のもう可愛らしくも何とも無いおでこへと軽々しく自分の手を当てながら尋ねてしまう失態を犯してしまうから。


 思春期でもある沙紀の奴は、自身が気に入らないオスである俺に、自分のおでこを触られて自衛本能……。


 あの阿保の大事な翔君の身体を守る為に『パチン!』だ。


 俺の手を沙紀の奴は思いっ切り叩き払う。


 それも俺の事をアイツは憎悪を含んだ目……。


 俺も二度と忘れねぇからなぁ~! お前があの時に俺へと向けた憎悪を含んだ冷たい目と重く荒々しい声音……。


 そう、アイツの俺への敵意ある声音で。


「和也ー! 私の身体に勝手に触らないでよー!」


 沙紀の奴は俺達の周りに同級生達や新しいクラスメイト達がいるにも関わらず怒声を吐いてきたのだ。


 アイツ、沙紀の奴はまだ俺との別れ話もちゃんとしていないし、同意も得ていないのに怒声を吐くから。


「えっ!」

「あっ!」

「どうしたの?」

「神宮寺さん?」

「神宮寺?」


 俺と沙紀の周りにいる同級生達が一斉に自身の首を傾げた。


 でも俺は沙紀から憎悪を含んだ悪意ある攻撃と仕打ち……。


 もうそれこそ? あの時のアイツ、沙紀の奴は……。


 今でこそ『ヘラヘラ』と俺に愛想よく笑い、寄りを戻したいとふざけた事を告げてくるのだが。


 あの時のアイツは俺に対して絶対に~~~、殺意があったに違いないと俺が思うぐらいの悪意ある態度を沙紀の奴が同級生達に見せるものだから。


「沙紀~、どうしたの~?」

「山田と喧嘩~?」

「沙紀と山田~、一体何が原因で二人は喧嘩をしたの~?」


 沙紀の親友達が声を出しながら俺達の許へ近寄ってきたのだ。


 だから俺は沙紀のツレ達に「俺は沙紀に対して何もしていない」と、自分の頭を振りながら告げ。


「只沙紀の奴が新しいクラス表を見て走馬灯でも見詰めるように呆然と佇んでいたから。沙紀の奴が熱でもあるのかな? と思って、オデコに手を当てたら。沙紀の奴に凄く嫌がられ、拒否され、怒鳴られて……。俺自身も何が何やら分からない状態なのだよ……」と。


 俺は大田と澤田、井上の三人へと自身の顔色を変えながら首を振りつつ、自分には解らないと説明をしたと思う。




「和也~、どうした~?」

「皆、どうしたの~? 仲良く集まちゃって……何か遭ったの?」




 怪訝な表情でいる沙紀以外は、俺も含め皆困惑をした顔で佇んでいると。


 俺の親友直人と沙紀の親友の一人、木下富美が仲良く腕を組み、ラブラブしながらこちらへと、声を出しつつ向かってきた。


「えっ! いや、俺も良く分からないけれど。沙紀の奴が機嫌悪くて……」


 俺は困惑した表情で直人へと告げれば。


「そうそう」

「そうなんだよね」

「何で沙紀ちゃんは不機嫌なのかな……?」


 俺に続き、太田と澤田、井上も困惑した表情や自分の首を傾げた顔をしつつ直人と木下に告げたのだ。


「そうなんだ……」


 直人は俺達の説明を聞き、この場にいる者達のように困惑した表情や首を傾げる訳でもなく、何故か不自然に苦笑いを浮かべながら言葉を返してきたのだ。


 だから俺はその時に『直人の様子が何だか可笑しいな?』と瞬時に思う。


 すると直ぐに、直人が何故、自分の顔を引き攣らせつつ、苦笑いを浮かべたのかは答えがでる。


「えっ、沙紀。まだ山田に言っていないの? もう新しい彼氏が出来たから別れるって……」


 そう、沙紀の奴は以前から仲が良いカップルの二人……。直人と木下富美に俺と今彼の【真田翔】だっかな?


 そいつと俺を二股……。天秤にかけ、どちらと付き合う方が良いか? と尋ねていたみたいなのだ。


 向こうはHK大の大学生……。家庭教師……。年上イケメンお兄さまで車持ち……。。


 そして俺の方は理数科がある学園のヲタクの高校生で、彼女からL○NE電話やメールが着ても直ぐに反応をしない、理系のガリ勉男……。


 まあ、顔の方は、一応は我が校のイケメン四天王一人だけれど。他の三人のように我が校の校訓……。文武両道に反して只のガリ勉野郎と、親に内証で自分の教え子に手を出した犯罪者の兄ちゃんとどちらが良いか? と尋ね、相談……。


 沙紀の奴は春休みの後半ぐらいに既に答えを出していた。


 だから木下に、新しい学年での高校生活……。高校三年生が始まるまでにはちゃんと『別れる』と告げるようにと言われていたみたいだ。


 でも沙紀の奴が翔君とのラブラブな長いL○NE電話、メールばかりしていて忘れていたみたいでね。


 この電話の犯人は、あの犯罪者家庭教師ではなく。全部俺になっているらしい。


 だから俺は、アイツ! 沙紀の奴が出戻りしたいと言っても許さない!


 それに他人の物へと平然となるような女は俺はいらないのだ。


 俺自身、中坊の頃に尻が軽いヤンキー姉ちゃんとお付き合いをしていて大変に苦労した記憶がある。


 それから俺は絶対に処女! バージンの女子でないとお付き合いをしないと決めている。


 だから沙紀の前に付き合っていた幼馴染彼女……。高校の進学と共に音信不通になったあいつも俺の許へと戻りたいと、地元のツレ達に言っているみたいだが。


 俺はあいつのこと沙紀同様許さない……。


 まあ、俺が愚痴を漏らしたところで話を元に戻すけれど。


 木下の話を聞き。


「沙紀、どう言う事だ?」


 俺が荒々しい口調であの阿保へと尋ねると。


「沙紀、どう言う事……? あんた、山田と絶対に別れないって言ったわよね? 結婚だってするんだと……。それぐらい好きだから、うちにごめんって言わなかった……?」


 俺よりも大田の方が沙紀に対して怒りをあらわにした顔……。声音……。大田は沙紀に対して今にも食いつきそうな勢いで尋ね始めるから。


 俺の怒りをあらわにした問いかけに対して、この場にいる者達は誰も注目すらしてくれずに。

 俺は一人ポツンと惨めに佇む羽目に陥るのだが。


 そんな最中でも沙紀と大田は、他人の目を気にせず言い争い……。幼馴染の二人が俺の事で喧嘩を始めだすから。


 俺は二人が喧嘩をする様子を「おい」と時々声をかけながら観戦……。様子を窺っていたと思う?



 ◇◇◇








(ここまで)


 俺は落ち込み下を向き、沙紀の奴は多分まだ俺のことを憎悪を含んだ顔で睨んでいたと思う?


 そして他のメンバー達……。大田と澤田、井上の三人は沙紀の奴が何故俺に対して憎悪を剥き出しにして睨みつけているのかも分からないから困惑した様子でいた。



 そんな最中に助け舟ではないが、俺の親友直人と沙紀の親友の一人





 実は俺!? あの日、沙紀と会い。アイツの肩に手を当てる前にさ、もう既に新学年のクラス分け表を見ていた。


 だから事件が起こる迄の俺は大変に御機嫌麗しく、愛想良くいたのだ。

 俺の想い……。アイツ、沙紀の奴と俺がお付き合いをしたのは高校一年生の入学式が終わり新学年、新学期が始まり三日もしないうちに、沙紀の奴から『好きです! お付き合いをしてください!』と告白を受け。俺達二人はお付き合いを始めた。


 でも翌年の二年生の時は、俺は沙紀の奴と同じクラスになる夢は叶わず……。俺達二人は肩を落とし、落ち込んだ。


 でも高校生活最後の年……三年生で夢が叶う……。


 そうドラマやアニメ、マンガのヒーローとヒロインのように、赤い糸で結ばれた二人……運命的な二人……と、言った感じで俺達二人の夢が叶い、成就したと思っているから。


 俺は沙紀の奴が唖然、呆然……。別れる気でいる元彼と同じクラスになる事で絶望感に浸り……。この世の終わりがきた! とでも言いたい顔をしている事に俺は嬉しさの余り気がつかず、沙紀の肩を馴れ馴れしく叩き──!

 無反応なアイツのおでこに手を当て──!


「沙紀、どうした? 熱でもあるのか?」


 あの日の朝の俺は尋ねてしまったのだ。

 無反応なアイツの事等放置して、俺自身は勝手に教室へと移動していれば。

 俺は沙紀の奴から憎悪を含んだ顔と冷たい目と声撫で罵声を吐かれる悪態を皆……。


 同級生達が多々居る中で吐かれなくてもすんだのに……。


 でも俺は良い子ちゃんだからアイツ、沙紀の事が気になり、心配になり。アイツが風邪でもひいたのではないか? と思い。

 俺は自身の顔色を変えながら。






 まあ、今はあの状態……。白いユーノスロードスターの狭い室内の様子を見れば分る通りで、俺は後悔をしている。


『クソ~、ぶち殴ってやろうか~』と少し広島弁がでるくらいにね。


 でも始業式の日の俺は、この後に人生最大の厄災が俺の許へと堕ちてくるとは思わないから。


 俺と不仲の奴等にも愛敬振り撒いて回ったよ。


 この後そいつらには俺大爆笑……。腹を抱えて笑われてしまうのにさ。俺は阿保だから愛敬を振りまきつつ、三年生のクラス表が張られている所……。


 地獄の番犬ケルベロスが佇み待ち構えているとも知らずにね。



 ◇◇◇


(ここまで)







 俺は自身の真横に立ち並び声をかけてきたクラスメイトの少女へと、にへらと笑いながら言葉を返した。


 だって俺が元カノと別れようと言った訳ではないからね。


 そう、実はさ、こちらの方をチラチラと気にしながら見ている阿保なJKの美少女様はね。俺の元カノでさ。俺はアイツの白馬の王子様にNTR・寝取られ・犯罪行為で奪われたと言う訳……。


 まあ、そう言った深い訳があるから俺は先程から怪訝な表情でアイツ等二人……。俺の元カノとアイツの今彼の事を実は、自身の奥歯を『グッ!』と噛み締め睨んでいる訳だ。


 まあ、できるだけ、周りに平素を装いつつ、悟られないようにしたつもりだったけれど。


 俺の異常……。憤怒している事に気がついたショートカットが良く似合う美少女山本加奈は更に自身の唇を開き。


「でも神宮司さん、山田君の許へと帰りたいと言っているのでしょう?」と尋ねてきた。


 でも俺の両目、瞳にはまだ二人……。元カノ沙紀とアイツの今彼との仲慎ましい様子がはっきりと映るっているから『ふぅ~んだ』だと不貞腐れているから俺は「知らねぇ」と山本へと言葉を返した。


「だってアイツに別れようと告げたのは俺ではないし。いざアイツが俺と別れようとしたら。自分の予想に反した状態に俺がなったから帰りたい。出戻りしたいと言って我儘をいるだけだから。俺はアイツのいい加減さに呆れているからねぇ」と。


 俺は隣の席の山本に対して八つ当たりをするように告げた。


「……でも和君? 新宮寺先輩からまだ別れると言った言葉をはっきりともらっていないんだよね?」


 俺と山本の会話を立ち聞きしていた幼馴染の年下美少女様……。


 そう、良くあるラブコメシネマやアニメ、マンガ、ライトノベルの妹美少女ヒロイン様達にも引けをとらない。リアルな美少女様由美が俺へと尋ねてきた。



(ここまで)




 でもさ、俺が最初に元カノ様へと別れようと告げた訳でもない。


 それにアイツ、沙紀の奴が俺に復縁をしたいと告げてきても。俺に対して当てつけのように彼氏を通学路へと呼びつけ、車を停車させ、待たせ。自分が到着すれば。自分達の仲慎ましい様子を俺に平然と魅せて──。出戻りしたいはないぞと俺も思うから。沙紀の戯れ事は俺は知らねえし。聞くなと山本に言いたい衝動に駆られるけれど。


 俺が山本に八つ当たりをしても仕方がないから、沙紀の事は無視……。放置……。二度と話しかけてくるな~と思う俺なのだが。皆は俺の不満、愚痴、嘆き……。俺と元カノ沙紀との事や。只今の俺の状態……。美少女様二人を両翼のように並べる俺の様子を見れば。


『何事?』

『今迄何が起きてきた?』

『別に元カノいらないじゃん?』と思うに違いないから。


 俺に起きた出来事……。


 そう映画やアニメ、マンガ、ライトノベルの主人公達のような、【ざまぁみろ】の、元カノ様が後悔して、出戻りしたいと泣き喚く。今日──この場迄の物語を今から話しをするから聞いて欲しい。



 ◇◇◇


「俺にそう、尋ねられても困るよ。俺がアイツと別れると言った訳ではないから」


 俺が困った顔で彼女へと言葉を返せば。


「ああ、そうだよね。ごめん」


 彼女は、俺に対して大変に申し訳なさそうに謝罪をしてくれた。


 そんな様子の彼女に俺は、


「いいや、いいや。別にいいよ。俺はもう、アイツのことなんて気にもしていないから」と。


 自身の頭と手を振りつつ。


 俺は気にしないで欲しいと告げる。


「山田君、そうなんだ?」


 俺の知り合いと言うか?


 俺のクラスの女子が首を傾げるから。


「うん」と俺は頷く。


「和君には由美がいるから良いわよね?」


 すると今度は、俺の側にいるもう一人の少女──。


 まあ、幼馴染と言う奴になる。


 俺の家の近所の後輩のJK少女が。


 少しばかり落ち込み、自身の肩を落とす俺に、優しく微笑みかけながら励ましの言葉をくれた。


 だから俺は、自身の後輩、幼馴染ちゃんへと。


「ありがとう」と。


 えへっ! と。


 僕泣かないもん! と言った感じの様子──振る舞いでお礼を告げる。


 まあ、告げるのだが。


 俺の頭の中では?


(頼むから二人とも! 俺のことなど放っておいてくれよ!)


 と、泣きながら告げたい衝動に駆られているぐらい。


 俺は心傷している。


 だってバカップルな二人の片割れの方……。


 そう、先ほど白馬の王子様に、白いロードスターの、助手席の扉を開けてもらい。


 嬉しそうに乗り込んだ。


 馬鹿で阿保なJKの少女の方がと。


 俺がここまでを説明すれば。


 みんなは、俺の言いたいことを察し、悟ってくれたと思う。


 そう実は?


 遠目から誰が見て、確認しても。


 大変に馬鹿そうに見え、ノリが軽そう。


 そしてチャラチャラした女馴れしている。


 まあ、大変に女癖が悪そうだが。


 容姿だけは大変に良い大学生の兄ちゃん。


 まあ、先ほど、白いロードスターの助手席に乗り。


 今も白馬の王子様と仲慎ましく、御姫さまごっこをしている様子を。


 俺達の方をチラチラと魅せつける、馬鹿なJKの少女──。


 でも容姿端麗で、超がつくほどの麗しいJKの美少女さまは。


 実は俺の元カ・ノ・ジ・ョさまと言う奴でね。


 それもさ、つい最近までと言うか?


 ほんの数日前までは、俺の彼女だったJKの少女なのだ。


 そんな二人が元カレの俺の存在って奴無視しながら。


 白いユーノスロードスターの車内で、イチャラブを、ところを魅せつけてくる。


 それが偶々、偶然なのか?


 それとも行為的?


 悪意に満ちた感情で、俺にあてつけがましく魅せているのかまでは。


 俺自身もあいつら二人が何を考えて、車道の脇に車を停め。


 イチャラブしているのか? までは理解ができないが。


 あのクソ馬鹿!


 そう、俺の元カノ【沙紀】だけれど。


 アイツの新しい白馬の王子さまのお迎えが、この辺りならば学園の先生達に露見する確率が少ないから。


 アイツの今カレの愛車である、白いユーノスロードスターをこの場に停車させたのかも知れないけれど。


 ここは、俺も通学路で使用していることを。


 あの阿保は知っている訳だから。


『沙紀、いい加減にしろ!』と。


 俺は怒声を吐きたい衝動に駆られるのと。


『俺から沙紀を奪った色男! お前もいい加減にしろ!』とも言いたい。


 だって俺は元カノ沙紀に、ウム言わしてもらえず別れたと言うか?


 俺は沙紀にうそをつかれ、騙されて別れた訳だから。


 そのことを男の方も。


 そう、沙紀の奴が俺を騙して別れたことを知っているはずだし。


 俺からあの男は、アイツを寝取った訳だから。


 元カレの俺に気を遣うのが普通と言うか?


 それが大きな男の優しさと言う奴ではないか?


 それなのにあの男は女みたいにウジウジと嫌らしく、あてつけがましく。


 俺の通学路で沙紀のことを待って。


 俺に自分達の仲を魅せつけるように振る舞うのは。


 同じ男としてどうか? と。


 俺は思うのと。


 沙紀の奴もいい加減しろよ!


 余り俺に調子のよいことをしていたら。


 お前の彼氏、しばきまわすぞ!


 そして、あのユーノスロードスターもボコボコにして、廃車にしてやるぐらい。


 破壊してやるぞ!


 このクソガキ! ビッチ女! セフレ女が! と。


 俺は罵声を吐き、暴れたい衝動に駆られているけれど。


 俺達は今大事な時期ときでもある。


『ああ~、高〇~、三年生~♪』だから不味いのだ。


 でも、これが、俺が中坊の時ならば。


 金属バッドで車体をボコボコに殴ってやるのにさ。


 でも、それが今出来ない俺だからマジで歯痒いと思うのと。


 やはり沙紀が俺以外の男の甘える様子を見れば。


 俺の両目が自然と熱くなり。


  冷たいものが零れそうになるから。


 頼む!


 俺のことは、放っておいてくれぇっ!



 ◇◇◇






(お願い)


 レヴュー・星・感想・ハート等を軽い気持ちで頂けると励みになりますのでよろしくお願いしますm(_ _"m)


(う~ん、それにしても、沙紀の奴は? こんな学園の近くに、自身の彼氏を車でお迎えなどさせて。アイツは一体何を考えているのだ? もしも学園側に露見すればアイツは、校則違反で停学処分になる可能性だってあるのに……)、


(それにアイツの今カレは大学生だろうに。ちゃんと自分の沙紀に悪いことは、悪いと。ちゃんと注意をすればいいのに。沙紀の奴も頭が弱いけれど。アイツの今カレの方も少し頭が悪いんじゃねぇのか?)と。


 俺は目線の先でイチャラブしている元カノと。


 アイツの今カレを睨み、呻りつつ、こんなことを思案しているけれど。


 これはあくまでも沙紀さきの元カレとしてだ。


 アイツが学園の先生達に見つかり停学処分になったらいけないからと。


 俺は心配しているだけで。


 決して俺の目線の先の、イチャラブな二人に対して嫉妬している訳ではないからね。


 ふぅ~ん、だ! 


 ふん! ふん!


 ふん、だからね! と。


 まあ、ツンデレみたいな台詞を漏らす、俺だけれど。


 俺達は只今、大事な時期である。


『ああ~、花の~、高〇~、三年生~♪』だから。


 マジで不味いと思う。


 特に家の高校はね、公立高校なのだけれど。


 真面目な男女の高校生達が通い学んでいる。


 理数科もある進学校と言う奴だから。


 沙紀の奴も学校側にになる。


 をしているのがばれると不味いと思う。


 だから、アイツも彼氏も、車を停車させ──車内でイチャラブがしたいのならば。


 ここではなくもっとハイスクールから離れた場所──。


 平和公園の方にすればいいのだ。


 あの辺は観光客や修学旅行生、カップル等も多いいから。


 車を停車させていても目に付きにくいからいいのに。


 それか?


 車内でそんなにイチャラブを無料でしたいのならば。


 太田川の河川敷にいけばいいのだ。


 俺が中坊の頃──。


 悪さをしていた頃は。


 太田川の河川敷やその周辺の公園で。


 車にハイドロポンプと油圧のシヨックが装着されていなはずなのに。


 男女が車内でハッスル! ハッスル! とS〇Xしまくり。


 ハイドロポンを装着した車のように。


 車体が揺れ、踊っていたのをよく見ては笑っていたし。


 車内でハッスル! している奴等の車の窓をドンドン! と叩いたり。


 車体のタイヤを蹴り、驚かしては。


 自身の腹を抱え笑い楽しんでいた頃もあったけれど。


 まあ、それぐらい。


 カーセ〇クスしている奴等はいたから。


 俺の目の先でイチャラブしている奴等も。


 そちらへといけばいいのにと。


 俺は、自身の眼をウルウルと、濡らしそうになりながら思う。


(うぅ、ううう、悔しい!)、


(でも、せつねぇなぁ……)と思いながら。


 だってアイツ!


 沙紀の奴は!


 春休みを挟む以前の高校二年生の終業式までは。


 俺とアイツは二人で仲良く手を繋いでスキップ、ラン! ララン! とリズム良く、和気藹々と、言っても。


 俺達二人は、本当にスキップ等はしていないからね。


 まあ、その辺はヨ・ロ・シ・ク。(笑)


 と俺が冗談だからと説明をしたところで話しを元に戻すけれど。


 俺の只今の心境は!


 本当に悲しくて! 切なくて!


 今にも泣き出しそうなぐらい悲しい。


 でも二年間付き合った彼女をNTRされた俺だから。


 悔しくて、仕方がない気持ちもある。



 ◇◇◇


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