高校三年生の新学期になれば、こんな不幸、厄災、怪奇現象が俺のように誰にでも普通に起きるのだろうか?

かず斉入道

第1話 プロ―ログ(彼女をNTRされた俺の事など放っておいてくれ!)(1)

 これってよくある話し、出来事じゃないかな? と、俺は脳裏で思いつつ。


「ああ」、「はぁ」と、俺は嘆き、溜息をつく。


 だって、よく見てくれあの光景。


 あの二人の様子……。


 そう、只今白馬に跨る、王子様に、ではなくてね。


 俺自身が、「あっ、はははっ」と笑っていられる。


 まあ、俺自身も冗談が言えるほど余裕がある訳ではないが。


 俺達が、と言っても。


 この場にいる俺を合わせたJKの少女達二人を足して三人──。


 その三人の目線の先にある物。


 そう、真っ白なの、助手席のドアのノブを握るイケメン兄ちゃん……。


 そう、白馬の王子様と言う奴に。


 白いロードスターの扉をガチャン!


 そしてギィー!と、鈍い金属音を出しながら優しく丁寧に。


 車のドアを開けてもらい。


「お姫様、どうぞ」と。


 イケメンの王子様のキザナ台詞をもらいつつ嬉しそうに。


「うっ、ふふふっ。沙紀の王子さま、本当にありがとう」と。


 その気になって、大変に御機嫌麗しい様子で微笑みながら。


 こいつマジで馬鹿か? と、思うような台詞を平然と返す。


 アホなJKの少女の姿が、只今帰宅途中である。


 俺達三人の目に映る。


 だから俺と今日は偶然に一緒に帰宅の途につく。


 メンバーのJKの少女がね。


 俺の真横へと慌てて立ち並び。


「山田君、本当に新宮寺さんのことは良いの?」と尋ねてくる。


 でも俺が元カノと別れようと言った訳ではないから。


「俺にそう、尋ねられても困るよ。俺がアイツと別れると言った訳ではないから」


 俺が困った顔で彼女へと言葉を返せば。


「ああ、そうだよね。ごめん」


 彼女は、俺に対して大変に申し訳なさそうに謝罪をしてくれた。


 そんな様子の彼女に俺は、


「いいや、いいや。別にいいよ。俺はもう、アイツのことなんて気にもしていないから」と。


 自身の頭と手を振りつつ。


 俺は気にしないで欲しいと告げる。


「山田君、そうなんだ?」


 俺の知り合いと言うか?


 俺のクラスの女子が首を傾げるから。


「うん」と俺は頷く。


「和君には由美がいるから良いわよね?」


 すると今度は、俺の側にいるもう一人の少女──。


 まあ、幼馴染と言う奴になる。


 俺の家の近所の後輩のJK少女が。


 少しばかり落ち込み、自身の肩を落とす俺に、優しく微笑みかけながら励ましの言葉をくれた。


 だから俺は、自身の後輩、幼馴染ちゃんへと。


「ありがとう」と。


 えへっ! と。


 僕泣かないもん! と言った感じの様子──振る舞いでお礼を告げる。


 まあ、告げるのだが。


 俺の頭の中では?


(頼むから二人とも! 俺のことなど放っておいてくれよ!)


 と、泣きながら告げたい衝動に駆られているぐらい。


 俺は心傷している。


 だってバカップルな二人の片割れの方……。


 そう、先ほど白馬の王子様に、白いロードスターの、助手席の扉を開けてもらい。


 嬉しそうに乗り込んだ。


 馬鹿で阿保なJKの少女の方がと。


 俺がここまでを説明すれば。


 みんなは、俺の言いたいことを察し、悟ってくれたと思う。


 そう実は?


 遠目から誰が見て、確認しても。


 大変に馬鹿そうに見え、ノリが軽そう。


 そしてチャラチャラした女馴れしている。


 まあ、大変に女癖が悪そうだが。


 容姿だけは大変に良い大学生の兄ちゃん。


 まあ、先ほど、白いロードスターの助手席に乗り。


 今も白馬の王子様と仲慎ましく、御姫さまごっこをしている様子を。


 俺達の方をチラチラと魅せつける、馬鹿なJKの少女──。


 でも容姿端麗で、超がつくほどの麗しいJKの美少女さまは。


 実は俺の元カ・ノ・ジ・ョさまと言う奴でね。


 それもさ、つい最近までと言うか?


 ほんの数日前までは、俺の彼女だったJKの少女なのだ。


 そんな二人が元カレの俺の存在って奴無視しながら。


 白いユーノスロードスターの車内で、イチャラブを、ところを魅せつけてくる。


 それが偶々、偶然なのか?


 それとも行為的?


 悪意に満ちた感情で、俺にあてつけがましく魅せているのかまでは。


 俺自身もあいつら二人が何を考えて、車道の脇に車を停め。


 イチャラブしているのか? までは理解ができないが。


 あのクソ馬鹿!


 そう、俺の元カノ【沙紀】だけれど。


 アイツの新しい白馬の王子さまのお迎えが、この辺りならば学園の先生達に露見する確率が少ないから。


 アイツの今カレの愛車である、白いユーノスロードスターをこの場に停車させたのかも知れないけれど。


 ここは、俺も通学路で使用していることを。


 あの阿保は知っている訳だから。


『沙紀、いい加減にしろ!』と。


 俺は怒声を吐きたい衝動に駆られるのと。


『俺から沙紀を奪った色男! お前もいい加減にしろ!』とも言いたい。


 だって俺は元カノ沙紀に、ウム言わしてもらえず別れたと言うか?


 俺は沙紀にうそをつかれ、騙されて別れた訳だから。


 そのことを男の方も。


 そう、沙紀の奴が俺を騙して別れたことを知っているはずだし。


 俺からあの男は、アイツを寝取った訳だから。


 元カレの俺に気を遣うのが普通と言うか?


 それが大きな男の優しさと言う奴ではないか?


 それなのにあの男は女みたいにウジウジと嫌らしく、あてつけがましく。


 俺の通学路で沙紀のことを待って。


 俺に自分達の仲を魅せつけるように振る舞うのは。


 同じ男としてどうか? と。


 俺は思うのと。


 沙紀の奴もいい加減しろよ!


 余り俺に調子のよいことをしていたら。


 お前の彼氏、しばきまわすぞ!


 そして、あのユーノスロードスターもボコボコにして、廃車にしてやるぐらい。


 破壊してやるぞ!


 このクソガキ! ビッチ女! セフレ女が! と。


 俺は罵声を吐き、暴れたい衝動に駆られているけれど。


 俺達は今大事な時期ときでもある。


『ああ~、高〇~、三年生~♪』だから不味いのだ。


 でも、これが、俺が中坊の時ならば。


 金属バッドで車体をボコボコに殴ってやるのにさ。


 でも、それが今出来ない俺だからマジで歯痒いと思うのと。


 やはり沙紀が俺以外の男の甘える様子を見れば。


 俺の両目が自然と熱くなり。


  冷たいものが零れそうになるから。


 頼む!


 俺のことは、放っておいてくれぇっ!



 ◇◇◇






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