第4話 高校三年生になれば、お猿さんになることもあるらしい? (1)
「あらあら、和君って、冗談ではなくて本当に。新宮寺先輩をあのイケメンお兄さんに
俺達三人の前方にいる二人──。
沙紀とあのイケメン男の仲慎ましい様子を、俺の幼馴染の少女が見て怪訝な表情をする訳ではなく。
俺の幼馴染の少女はね。
沙紀にフラれたことで心に傷を抱え。
精神的な苦痛を抱え込み。
病魔に侵されそうな俺に対して、近所のバカ娘は、止めを刺すように。
ケラケラ笑いながら俺に呟いてきた。
だから俺は更にガーンだ!
自身の脳内を木槌でカーン! と叩かれたどころではない。
鉄製の小型金槌で自身の脳内を叩かれた気分だから。
自身の顔色を真っ青にさせながら俺は、自分の両手、掌を使用して──。
俺は自分の顔を覆いい、隠すのだが。
俺の馬鹿な幼馴染の少女──。
こいつの俺への容赦のない中傷する言葉の方はまだ止まらず、終焉を迎えている訳ではない。
「……でッ、和君は新宮寺先輩と二年ぐらい付き合っていたけれど。あのイケメンのお兄さんと新宮寺先輩ぐらいにラブラブするぐらい仲良く、親密になるような事。行為の方はしたの?」
俺の幼馴染のバカな後輩は、こんな恐ろしいことを平然とまた問いかけてきた。
「はぁ~、俺がそんなことをする訳ないだろうと、言うか? 俺は沙紀とは手を繋ぐぐらいで。俺はアイツの肩や腰! それとアイツの二の腕に、俺の二の腕を絡めたこともないし。アイツの手にもほとんど言ってよいほど触れ、触ったことなどないぞ! あの男みたいになぁ! だから当然俺と沙紀とは接吻、キスすらしたことなどないし。それ以上の関係にもなったことなどないに決まっているだろう!」
俺が真っ赤な顔──。
お猿さんがキッキ! と荒々しくしているような表情で。
幼馴染の馬鹿へと不満を漏らした。
「山田君って、本当にかわいそうにね。シクシク」と。
今度は俺のクラスメイト、隣の席に座る美少女さまが。
沙紀に何もさせてもらえないままフラれ、捨てられた俺のことを可哀想と、憐れんでくれた。
それも自身の瞳をウルウルと潤ませながら。
自分の華奢な両手を自身の薄い胸元の前で、握り締めながら。
俺に可哀想な人と呟いてくるから。
(うわぁ~! 頼む! 頼むよ! そんな憐れんだ者を見るような眼差しで、俺のことを見ないでくれ! 頼む! お願いだ!)、
(でッ、ないと? 俺は困る! 困るのだよ!)と。
自身の脳裏で叫びながら。
表の顔は、相変わらず、お猿さんのように真っ赤な顔だから。
「うぎゃぁあああっ! ぎゃぁあああっ!」と。
俺は自身の髪を、己の両腕の指を使用しながら気が振れたように。
『グチャクチャ』、『ワシワシ』と。
俺はお猿さん化しているから。
キッキ! と荒々しく、乱れ、狂いながら。
俺は地団駄を踏み暴れ! 叫び! 騒いでいると。
「和君と新宮寺先輩って、友達以上恋人未満の関係だったんだね。だから新宮寺先輩の彼氏だと一人で思い込み舞いあがっていた和君って、本当に可哀想な男の子だったんだね。シクシク、可哀想……。可哀想な人」と。
俺の近所のクソガキ! 幼馴染のあいつが!
最後に自身で泣き真似まで始め出しながら。
俺の揚げ足をとりつつ、揶揄しながら止めを刺してきた。
だから俺は、「うぎゃ! うぎゃ!」と更に地団駄を踏みつつ、お猿さん化しながら暴れた。
本当に情けない男だった。
だから俺達三人の前方に二人で仲良くいるバカカップルの二人……。
そう、俺の元カノ沙紀と。
俺から沙紀をNTR して奪ったイケメン男! 大学性の兄ちゃんの二人は。
気が振れたように乱れに、乱れ。
お猿さんのように暴れ、地団駄を踏む情けない男の俺のことを。
二人は仲良く遠目──。
白いユーノスロードスターの車内からチラリと見詰め。
「ふっ」と鼻で笑い。
その後は「クスッ」と薄笑い。
でッ、最後には二人で。
「きゃ、ははは」
「わっ、ははは」
と、大笑い! 高笑いまで追加もされ、コケにされた俺は──。
本当に自分が愚か者で情けない男だと、自分自身でつくづく思う。
◇◇◇
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