episode3.0 〜リアルと青春。高校生の今を発信!〜

迎えた登校日。

幸か不幸か、乗り込んだバスには学生と思わしき人が一人もいなかった。

もしや、初日から遅刻したのか?

或いは、実は登校日じゃなかったのか?と心配になったが、メッセージには確かに今日が登校日だと書いてあった。

受験日以来の登校道。忙しないサラリーマンや横断歩道に並ぶ小学生たち。そんなのを横目に校門からの一直線を小走りで向かった。

自分の番号の下駄箱に靴をしまい、教室に向かった。予定よりも早く教室に向かったが、教室から笑い声が聞こえてきた。

中に入ると男子が3人、女子が4人後方で談笑中。

あれ?なんか仲良さげのような気が…

今日までほとんどの人が初対面のはずなのに…推薦組か何かの関わりでもあったか?

どうしてだろうなんと思考を巡らしている間もどんどんクラスメイトが入ってきて、幾つかのグループを形成していた。

…俗にいう詰んだというやつでは?

頭を抱えてはや5分、気がつくと自分と似て一人で座っている人を発見。

話しかけてみようかな…

そう思ったのも束の間、他のクラスメイトがその人と話をし始めて、そこでもグループができていた。

お…おかしいな…こんなんじゃ、部活の再興どころか、夢に見てた高校生活が…

誰とも会話することなく高校初日を終えた。

初日は午前授業だったっていうのもあるが、何も考えることのできないまま滝の様に時間が流れていった

帰り際に小耳に挟んだことからして、どうやらSNSのグループが存在しているらしく、そこで仲のいいグループが形成されていたようだということだった。

噂に聞く、参加してない残りの一人っていうのも多分僕だ…恥ずかしい。

さぁて、明日からまず何を始めればよいのだろうか。

そんなことを考えているうちに日が暮れ、そして夜ご飯を食べた。

学力テストがあるとか言ってたので、一応勉強しておいたが全く気乗りしない。

こんな時に電話でもしながら勉強なりゲームなりできる友人がいれば…

あ、あいつ!

中学の頃よく遊んでた友達が1人。せっかくだ。相談でも、してみようか…

電話をかけてみるも、出る気配もなく、オンラインにすらなってない。

あきらめて、”詰んだ”とだけ伝えて寝た。

それから10分も経たないうち歯を磨いて寝た。

次の日、”乙”とだけ書かれたメッセージが送られてきたとさ。


次第に、そんなふうに過ぎ去っていく時間の中が嫌になった。

もう一週間か、二週間か経った。以前会話する相手もなく、長くなった時間割に一層の嫌気が刺していた。

何をしても無駄なような、無力感とでもいうのだろうか。自分が何をしようが、周りが談笑しようが

…何も、感じなくなった。

そのまま三ヶ月が経った。


こんな時に出会いだったり、ビッグイベントだったりする、俗にいうターニングポイントというものが訪れてもいいと思う。


…ふとカレンダーを見ると11月と書かれていた。

「11月。ああ..誕生日ももうそろそろか」

それ以上でもなく、それ以外でもない。

だけれど、言い訳にするには最も適した日だろう。

それから久しぶりに思案した。

これまでの半年。何をしてきて、何をしたかったのか。

そういえば、部活の再興とか誰かとの研鑽みたいなのがしたかったような気がする。

久しぶりに自分の作った作品が入っているファイルをダブルクリックした。

見返せば悪寒するものもあれば、納得のいくもの、手直しがしたいもの、未完のもの。

それらの全てが三ヶ月前で止まっている。

「さて、どれから手をつけようか…」

小さい頃は、誰かと遊んだりもしたし、秘密基地作ったりお泊まり会なんかもしたっけな。

一から思い出すのも兼ねて、ゆっくりと見返した。

…あの頃みたいな自由さと活発さ帰ってこーい。内心ではそんなことを考えていたりした。

ふとスマホに目をやった。

「創造!映像甲子園…なんだこれ」

ネットニュースの広告に書かれていた映像の大会らしきもの。

せっかくだし…ね。

応募しなけりゃ始まらん訳ですし。

応募要項を見ると、高校生なら誰でも良いらしい。

…って、このテーマって!?

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