イジメと未遂
電車に揺られながら、私はぼうっと流れる景色に眺める。でも、見ているだけでその景色の情報は一切頭には入ってきていない。
――今日もダメだったか。
いつになったら、みーちゃんとちゃんと喋れるのだろう。
「ただいま」
「おかえりなさい」
母は帰ってきた私に特に深く何も聞いては来ない。ただ静かに見守ってくれている。それもとてもありがたかった。
「今日はどうだった?」と毎度毎度聞かれたら、私の精神も消耗されていくばかりだろう。こうして毎日みーちゃんと向き合えているのは、母の支えあってなのだ。
いや、支えなんてものではない。全ては母のおかげなのだ。
私の訪問が成り立っているのは、母の力がなければ無理だった。理解がなければなしえなかった。
私は母の愛に心底感謝している。そしてその気持ちを、私は無駄にしたくない。
だから向き合い続ける。
彼女と。
*
女子高校生 意識不明の重体
○○高校に通う女生徒、生田美弥子(17)さんが意識不明の重体で病院に搬送された。調べによると、生田さんは後頭部を鈍器のようなもので強く殴られたものと見られ、警察では事件として捜査を続ける方針である。
意識不明の女子高生 加害者はクラスメート 原因はイジメか
先日、何者かに頭部を殴られ意識不明の重体となっている生田美弥子さんの件について調べを進めていた警察は、今日未明、同高校に通うクラスメートの女生徒を殺人未遂の罪で逮捕した。
調べによると女生徒は生田さんを含むクラスメート数名からイジメを受けており、それが原因で今回の犯行に至ったとみられているが、詳しい内容については今後の捜査で明らかにしていく予定である。
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