七章 鬼

鬼の懺悔

 私はあなたを守り切れなかった。


 ずっと立ち直って欲しいと祈り続けた。




 あなたは悪くない。何も悪くない。


度々あなたに話しかけ、あなたの氷を解かそうと必死だった。




 でも、あなたは死んでしまった。


 救えなかった。




 絶望した。


 私は自分の無力さを呪った。




 そして失われてはいけない命を消した人間を憎んだ。


 でも、私には憎む事しか出来ない。それ以上の事は何も出来ない無価値な存在だ。


 それどころか、私は結局目を背けるように故郷を離れた。




 耐えられなかった。


 あなたが死んだこと。


 あなたを救えなかった自分の事。


 全てを奪っていったあの場所も。




 そんなふうに逃げた卑怯な私。


 なのに、あなたは私を責めなかった。




“僕のお願いを聞いて欲しいんだ”




 それどころか、あなたは私を頼ってくれた。


 何だってする。あなたの為なら。


 何だって。








“あいつらを消して欲しいんだ”

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