四章 痛み

鬼達は笑う

「おい見ろよ」


「はは、やべー」


「動くなよー! 動いたらただじゃすまねえからなー!」




 言いながら俺達は悠々自適に下駄箱へと戻る。笑いを堪えきれない俺達をよそに、他のクラスや学年の生徒達はある者は同じように笑い、ある者は興味ありげに、ある者は異様なものでも見るような視線を向けた。




 バタバタと教室に戻ると、既に先生が教壇の前に立っていた。


 俺は窓際の自分の席に座り、国語の教科書とノートを机の上に並べた。準備をしながら私は窓の外を確認した。




「マジかよあいつ」




 やったのは自分達だ。だが実際にその姿を見ていると哀れな事この上なかった。自分は絶対にそっち側にまわりたくないと心底思った。




「あれ、武市君はまだ戻ってないの?」




 ――あいつなら外でコオリヅケですよ、先生。




 いよいよ俺は笑いを堪えきれそうになかった。


 ちらっと先程まで一緒にこおりをやっていた他のメンバーの顔を見た。




 皆同じように笑いを堪えていた。

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