最終話?それが人間というもの

『あきら、あきら? まだ繋がってるの?』


「ああ、繋がっているよ。星の力のおかげさ! 775!!」


『ああ、良かった。ンッツ、安心して私たちもまだ繋がっている、からぁぁ〜!』


「まったくもって安心できないよ!? 776!!」


『こちらは、ンンッツ、いま、アッ、アッ、アッァァアアアアア! 大変なことになってるの! イグッツ!』


「大変なことになってるね!? いまさらだけど!! 777!!!」


『次元の裂け目からとてつもない光の嵐が飛び交ってるの。ああ、いよいよ私たちも最期かなぁ……アンっつ!? 最期の交信だからってそんなに激しくぅ、激しくしないでぇええー!』


「魔神王! 僕はおまえを倒してその次元の向こうに行く……。えっ? 滅びゆく世界でザマァされるならばそれで良いではないか、なぜ命を賭けて戦う、だって?」


『あきら? あきら、誰と話してるの? 浮気しちゃ……んんっつ、もうダメェェエエエエ、堕ちちゃう! 堕ちちゃうぅぅうう! アッ、アッ、アッ!』


「たしかにそういう考えもある。寝取られて、それから自分以外の誰かの運命の手でザマァされて。それを見て溜飲りゅういんを下げるというのは一つの救いなのかもしれない……」


『ヤマトダメェー、いまは、ンンッツ、突いちゃだめぇ……アッ、アッ、アッ』


「でも違うんだ、魔神王。その悪夢は自分で乗り越えるしかないんだ。どれほど辛く悲しい現実だとしても、自らで寝取りの連鎖を叩き切らないといけないんだ!!!!」


『アッツ、ンンッ! ナカにそそがないでぇー!』


「ナカとか言ってるよぉぉおおおおおおおお!? ……すまない取り乱した。待ってくれてありがとう魔神王。クローゼットの中で幼馴染の恋人が寝取られている現場を覗き見して黙っていてはいけない。ラブホテルで幼馴染恋人が別の男と一緒に腕を組んで出て来ても、その場から逃げ出してはいけない!!」


『も、もうだめぇ……、あきらぁ……、ごめんね? アンッツウ!』


「そこから逃げ出せば、クラス1の美少女から再び付き合うことができてもまた同じ寝取りの連鎖が続く!! だから、そこから飛び出してしっかりと決別しないとイケないんだぁぁああああああああああああああああああ、パンパン聞こえるけどぉおおおおおおおおおお!!!!!!」


『イッちゃううううーーー!!! イっちゃううううううううううう!!!』


「……そうか、わかってくれるか魔神王。ふふ……、こんな出逢いでなければ僕らは親友ともとなれたかもね。幼馴染彼女を寝取るような親友などではなく……」


『はぁはぁはぁ……、あぁ……、アァ……』


「……ああ、そうだ、宿敵ともよ。存分に闘おうぞ! そして僕は真実に向き合う。それこそが、それこそが人間ヒトというものなのだ、魔神王よ! 行くぞぉぉおお!!!! 僕は、僕は寝取りの運命を超える、超えてみせるんだ。いまを生きるためにィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!」


『イクぅぅううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううッッ、あきらァァアアアアアアアアアアアアア! アッッツ!』

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