第8話全ては陰謀だったんだ
「ゆかり。聞こえるか?」
『あきら! 無事だったんだね! 心配したんだから……あれ? でも呼び掛けなくても交信が来るとよく気付いたね?』
「気配を感じてね」
『気配? 交信の気配なんてあるの?』
「ふっ……、寝る前にくるとわかっていれば逆探知をかけるのは容易い……。これでゆかりたちの位置は割り出した」
『あきら? さらりととんでもないこと言ってない?』
「スーパーコンピューター富岳をハックして演算式を書き換えて割り出した。その間、富岳を使用予定だった東京大学研究室には僕が自分で演算したものを差し替えておいた。ゆかりたちの位置は富岳でも演算式が追いつかなかったから、僕が補足で9割ほど演算しなおしておいた」
『何言ってるかわかんないけど、あきらが人間を辞めたことはわかったよ。それより! 昨日あれから大丈夫だった!?』
「ああ、うん。彼らは問題ないよ。彼らは政府が仕掛けた陰謀に注意喚起を行う秘密団体だ。世間では陰謀論だなんていうけど、今回のゆかりたちの異世界転生も彼らが言うには政府の仕業というんだ。彼らの名前を言えないから、僕は彼らを真実を伝える集団、真実教と呼ぶことにするよ」
『大丈夫? あきら、疲れてるんじゃない? ストレスとか……あんっつ! ちょっとダメよ、ヤマト。いま大事な話を……あぁん! だぁ〜め、アッツ!』
「うん、現在進行形で巨大なストレスが掛かってるよ」
『ほんと? ゆっくりと休まないとダメよ、だめぇえええええええええ!』
「えぇぇ〜……」
『ご、ごめんね、交信の感度が良くない、みたい……アアン! イイ!!』
「別の感度はバツグンに良いみたいだね?」
『なんの……こと? ンッ、手短に伝えるね? いまこちらの世界は異次元を超えた魔神の襲来で大変な……アッ、アッ、ダメ、ヤマト、ダメェ……』
「うん、キミたちが別の意味で大変なのはわかったよ」
『そうなの、大変なの。だから交信もあと何度できるか、アッ、アッ、アッ』
「うん、リズミカルに聞こえてくる言葉とパンパンという音がだんだん加速していってるね? いっそ僕は冷静になってきたよ」
『そうなんだ、あきらはすごいね……あきらがこっちの世界に一緒に……ンッ、いてくれたら、私……ヤマトの、ものに……1つになんて……アッ、アッ、ダメ! ヤマト、悔しいからって興奮しないで、加速しないでェェエエエエ!! アーーーーーーーーーー!』
「ゆかりぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
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