第6話事故防止

『ごめんね、あきら。起きてる?』


「ああ、うん。寝る前だけど気にしないで。今日は由緒正しき高尾山の上にあるお寺のてっぺんで、座禅をして涅槃の先にある真実の悟りを開いたよ。とりあえず坐禅を組んで空は飛べるようになったかな」


『あきら? とりあえずお寺のてっぺんは登っちゃダメよ? 怒られるから』


「ああ、そうだね。でも秘匿された涅槃開眼書を貰ったから、超波動のチカラに目覚めてエネルギー波を放てるようになったからご機嫌なんだ」


『あきら? 次第に人間辞めてない? 大丈夫? ……ん、なにヤマト? 俺もゆかりに波動エネルギーをぶっ放すぜ? 調子に乗らないの! 私がこうやってヤマトと、んっつ、交信してるのは、ンッ、幼馴染で恋人のあきらと話すためなんだから……』


「その交信をしないと僕たちが話せないとか、ほんと罪深いね? ナムー」


『んっつ、だから楽しんで、んっ、ないから……チョット、あっ……、だけだよ? アッツ!』


「うん、楽しんでるよね?」


『……あきらと話せて楽しいのはたしかだよ。あっつ!? 急に激しくシナイデ!? 嫉妬? ねえ、嫉妬!?』


「うん、ちょっと殴りに行っていいかな?」


『ふふ……、逢いに来てくれる? でもダ〜メ……。トラックにはねられてもこの異世界に来れる確率はないよ。この世界の転生者は私たちしかいないみたいだから』


「ああ、そういう意味じゃないんだけど、それでいいや」


『ふふ……夜だからテンションがおかしいね。夜のテンションは……ほんとキ・ケ・ンンンッ!』


「こっちはいつでも夜だけどね?」


『この更新という危険なものにいつも惑わされる……、押しちゃダメ! そう思うのにいつも反応が聞きたくて暴走してボタンを押しちゃうの』


「ボタン式!? 交信はボタン式なの?

あと交信を別の言い方してたよね!?」


『……気のせいよ。言葉だけだとなかなか伝わらないね。絵付きで見せられたらいいのに、アッツ、そこダメ!』


「絵付きだと2000%アウトだろうね。いっそ確定してないはずの今でさえアウトなんじゃないかと思って恐怖に震えているよ」


『もうダメェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ、気持ちいいぃぃいいいいいいいいいいいいい!!』


「気持ちいい言っちゃったよ!?」


『アアアアアアアアアアアアアアァァァアアアアアアア!!!』


「ゆかりぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」

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