第20話 魔法国家セレブレイの謎
ミイとの知覚共有があるが、何か有った時の為に出来るだけ近くで待機する事にした。
別れて直ぐにミイからの映像が送られてくる。途中で潜んでいる3人の猫族の獣人がいた。洞窟を見張っている者達だろう。
ミイが洞窟に着いたようだ。入口からゆっくりと山壁に沿って回り込んでいく。
明かりが灯っている大きな建て物が有る。
「いつの間にこんな物を」
ミイが近づき、爪を使って壁をよじ登る。窓から見えて来たものは……何だ?……武器を作ってる。
「これはヤバい。ミイ、直ぐに帰ってこい」
「ご苦労さん」
「にゃにゃ」
急いで街へ。
ギルドに入ると例のごとくギルドマスターの癖にレパルドは依頼掲示板横の椅子に座っていた。
「早かったな、どうだ……」
「レパルド、不味いぞ」
「ど、どうした、慌てて?」
「奴ら武器を作ってる」
「なっ、武器……つまり何処かを襲う気って事か」
「……だと思うが……冷静に考えるとな……」
「ん?」
「どうも引っ掛かる。まとまりすぎているって言うか、変に統一されてるって言うか」
「……つまりだ、こう言いたいのか?誰かが後ろに付いていると」
「考え過ぎかもしれんが」
「いや、あり得るな。まぁ、それは後で考えるとして奴らを放ってはおけない。覚悟を決めて行こうと思う」
「そうだな」
ーーーー
「知っての通り連中はパワーアップしている上に死なない、十分に注意してくれ」
「おう!」
翌日、皆の打ち合わせが終わり洞窟への出発は一時間後になった。
「シンさん、大丈夫でしょうか?」
「魔道具の数が少ないのが問題だな。いざとなったら全て時空間に落とすつもりだが」
「中でゆっくり元に戻すつもりですね?」
「ああ、他の冒険者も一緒に落とせばスキルもバレないしな」
慎重に森を進み、途中で見張りの冒険者と合流する。
「何か変わった事はないか?」
「いえ何も無いです」
「よし、予定通り作戦を開始する」
洞窟の入口を抑えるパーティーが位置に着く、残りは全て裏の建物に向かった。
皆が揃った所でレパルドが指で開始の合図をした。
魔道具を持った冒険者が建物を取り囲み、扉を特大のハンマーでドワーフの冒険者が叩き壊す。
先ずは反応を見る。出てきた所を捕まえるのだ。
………………。
「何だ?反応が無い」
「俺が見てこよう」
「頼む」
いつでも時空間に落とせるよう準備して扉へ……。
「えっ」
「どうした?」
「まぁ、来てくれ」
「ああ、……はっ?」
誰も居ない、もぬけの殻だ。
「おい!どうなっている、ニャラ」
「そ、そんな筈は誰もこっちには来なかった。なあ、みんな?」
「ああ、保証する」
「間違いない」
「しかしだ、この先は山壁で、森を出るにはお前達の前を通るしかないんだぞ」
「レパルドその連中を責めるな、こっちに来てみろ」
「分かった」
建物の裏に有ったのは大きな魔法陣。
「なっ!」
「やられたな。元奴隷のあいつらがこんな事を出来るわけがない、後ろに何者かがいるのは決まりだ」
「くそっ」
落ち着きを取り戻したレパルドは、周りの調査を皆に命じた。
一番驚いたのはあの洞窟だった。ミスリルの鉱脈が有ったのだ。
「奴らこれを使って武器を作ってたのか?」
「そうなるな。それも教える奴がいたって事になる」
「かなり深刻な問題だ」
「ここをどうするつもりだ?奴らまた来るかも知れんぞ」
「ううっ、領主と相談する」
ーーーー
「シン、協力感謝する。で、どこに行くんだ?」
「一旦、銅板の事でシスターに会いに行く」
「そうか、また来てくれ」
「分かった」
「銅板の解読待ちって事ですね」
「そうだが時間がかかるだろうから、龍の谷に行く」
「龍の谷、ドワーフの国の先の山奥ですね」
「また大冒険だ」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「シスター・テレサにお会いしたい」
「畏まりました。こちらへどうぞ」
シスターから貰ったメダリオンを見せると奥の部屋に通された。
少し経ってシスターが入って来たのだが、暗い顔をしている。
「どうしました、シスター?」
「それが……」
「セレブレイが銅板を返せって言って来たんですか?」
「そうなの、どんなに説明してもダメそうなの」
「何でまた……キクリア様も銅板が不浄の門の場所を教えてくれるって言ってくれたんですが……」
「やっぱりそうなのね」
「それでいつ返すんです」
「セレブレイの人達が取りに来るそうよ」
「とすると、後ここに来るまで1ヶ月以上はあるか……」
「そうね、引き続き説得はしてみるけど」
「何で急に、だいたい大変な事が起こっているって言うのに何を考えているんだ」
「陛下の話だとセレブレイの体制が大幅に代わったらしいのよ」
「そんな事が、……神父様はなんと言っています?」
「もうすぐここに来るわ」
「そうですか」
「遅くなってすまん」
「神父様」
「シン、大変な事になってしまった」
「セレブレイはどうかしてます」
「うむ、確かに何か引っ掛かるな。しかし返さない訳にはいかない。出来るだけ古代文字を解読するしかない」
「……仕方ないですね」
ーーーー
「シン様はこれからどうするつもりでしょう?」
「大丈夫よ、シンさんはきっと何とかしてくれる」
「そうよシンシア」
「はい」
どう考えても怪しい。あの奴隷達の事といいセレブレイの態度も、……何かが蠢いている気がしてならない。
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