第9話 人体実験

 ウルム村に着くまで、途中の街に着くとギルドに必ず寄る事にしているのだが、どのギルドでも犯罪や揉め事が増えたと皆が言う。


どうも最近は嫌な話しばかりだ。そして今、馬車は盗賊に襲われている。今日はこれで3回目だ流石にうんざりだ。


今回は盗賊の人数も多い様なので、護衛に加勢する事にした。もう夕暮れで、早くしないと街の門が閉まって入れなくなる。


「リサ、レナ、ちゃちゃっと終わらせよう」

「了解です」


盗賊の中に魔法の得意な奴が居る見たいで、護衛の連中が苦戦している。ここからは距離が有るので、俺の時空間では射程外だ。


「ミイ、ライに言って、あそこの奴ら始末してくれ」


「にゃにゃぅ」


直ぐに小さな竜巻が、ファイアーボールとウォータージェットを撃って、仲間を援護している奴らに進んでいった。


竜巻は4つに分かれ、2人を呑み込んで行く。4つの風の渦は瞬時に紅く染まって、バラバラになった手、脚、頭を吐き出して行く。


「う~ん、切れ味抜群だね」 「にゃう」


仕事を終えてライが帰って来た。良い仕事には報酬を払わないとね。ミイとライには、コジュケイ鳥の丸焼きを進呈する。


リサ、レナも帰って来た。決着がついたようだ。


「すいません。お客様方、今の襲撃で馬車の車軸が歪んでしまって、まともに走れそうもないんです」


「すると夜営になるのか」

「仕方がない」


「あっちに灯りが見えるぜ」

「家か?行って見よう」



それは大きな、お屋敷だった。


「貴族のお屋敷か?」


「いや、この辺に貴族の屋敷なんて、聞いた事が有りませんが」


取り合えず、ノッカーで扉を叩く。出て来たのは40歳位の色気の有る女性だった。


「如何されました」

「盗賊に襲われて、馬車が壊れてしまいまして」


護衛のリーダー、ベケスが交渉する様だ。


「まあ、それは大変、下男に修理させましょう。今夜は泊まって行って下さい」


「すいません、ありがとう御座います」


中には2人の女性がいた。30歳位か、胸元を強調したドレスを着て、これもいい女だ。もう1人はリサ達と同じ感じだ。うん、可愛い。


「お食事を用意致します。こちらでお寛ぎ下さい」


「お世話になります」

「困った時はお互い様です」



この部屋に居るのは護衛の4人、御者、商人2人、俺達3人の10人だ。


「俺は一番年上がいいな」


ベケスが口火を切る。


「リーダーは年増が好きだからな。俺はやっぱり一番若くてピチピチがいい。兄さんもそう思うだろ」


俺に話しを振ってきた。


「俺は、こう胸の大きい2番目の女が、痛い……」


両脇に座っているリサ、レナに脇腹をつねられた。見ていた商人が大笑いをする。くそっ!



「皆様、お食事の用意が出来ました」


メイドが呼びに来たのでついていく。部屋には豪華な料理が並んでいる。


「私どもは普段、イドの街で治療院を営んでいますが、母の病が思わしくないので、こちらですごしているのです。今日の料理は母に合わせて、皆様にも疲れがとれる様、薬膳料理になっています」


「それはすまない。料金は払います」

「気にしないで下さい」


料理は美味かった。確かに力が湧いてくる気がする。



ーー


「お姉様、奴らは来るでしょうか?」


「必ず来ますとも。催淫剤をたっぷり入れたんですもの」


「活きの良い実験材料が、たくさん手に入って良かったですね」


「女2人はどうします?」


「いつもの様に、地下に飼育中のゴブリンとオークの苗床に致しましょう。どんな子が産まれるか楽しみです」


ーー



どうも寝付けない、興奮しているのか?なんか、こうムラムラすると言うか、元気なのだ、愚息が。


食事の後、あの女に囁かれた言葉が頭の中でグルグル回る。


「鍵を掛けないで、待ってる。2階の奥の部屋よ」


辛抱たまらん、これは行くしかない。部屋を出て階段へ向かう。廊下を曲がるとリサ、レナがいた。


「シンさん、何処へ行くのです?」

「さ、散歩だよ」


「怪しいです。私達だってあの年になれば、胸だって大きくなります。ねえ、お姉様」


「そうです。行かせませんよ。レナ、脱がしなさい」


「はい、お姉様」

「こら、止めなさいって」


俺のズボンを脱がそうとする2人。いつもと様子が違う。


揉み合っている内に俺の愚息が、レナのオッパイや太ももにあたって擦れる。最後にリサのお尻のくぼんだ所にスッポリと嵌まった。同時に俺はあまりの気持ち良さに、不覚にも愚息は果ててしまった。


何と言う屈辱。青くさいガキじゃ有るまいし。30歳にもなって、こんな事で果ててしまうなんて。


いや、待て俺は14歳だったよな。……なら仕方ない。無理やり自分を納得させ、ズボンの中は気持ち悪いが、お陰でスッキリだ。


「こら!いい加減にしなさい」


おもいっきり2人の尻を叩く。


「「イターイ!」」


「何するんですか、シンさん」


「正気に戻ったか?では2人とも、ズボンから手を離して貰おうか」


「えっ、きゃっ!」

「私達は何をしていたのでしょうか?」


「これは、一服盛られたかな。食事だな」

「薬ですか」


「にゃん」

「誰か来たか。2人とも中へ」


時空間に入って様子を見る。メイドだ、どこに行く?ミイに跡を着けてもらう。


「シンさん、あっち」


ベケス達に御者、商人達が2階に上がって行った。


「あいつら羨ましい……じゃない、危ないな」

「そうですよ、もう」


「どうします?」

「うん……」


ミイからの視覚映像が頭に入って来た。地下に何が有るんだ。……………………


「ううっ」

「どうしたんです?」


ゴブリン、オークが何で?このツギハギだらけの生き物は何だ?


檻の中に人か?……何てこった。ここまで酷い事が出来るものなのか。


「シンさん?」


「今から2階の部屋に突入だ。リサ、女どもは直ぐに意識を刈り取ってくれ」


「は、はい」



こんなに気分が悪くなったのは初めてだ、許さん。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る