第4話 神殿の遺跡
ワイバーンを回収した後、高台を調べると細長い石柱が規則正しく円を描いて並んでいるのを発見した。
古代の人が儀式にでも使ったのだろうか?リサ、レナにも判ら無かった。
他に道も無いので、坂を下って元の道に戻る。オーガファイターの襲撃がひっきりなしに有った。この辺はやっぱりオーガの縄張りなのだ。クィーンやキングが出て来る可能性が有るので、気は抜けない。
森の奥から威嚇であろう雄叫びが、度々聞こえて来るので、早めに夕食を取る事にして時空間に入った。
夕食の後、前から疑問に思っている事を聞いた。
「
「それはですね、今から3000年前の話になります」
3000年前、大災害か魔王が現れたかは、定かで無いが、1度この世界は滅んだらしい。各種族の一握りが生き残って、今が有ると言う事だ。
大災害か、或いは魔王を食い止めたのが、当時の神々で、生き残った各種族の子孫は古の神々と呼んでいる。
古の神々は力を使い果たし冥界の神だけが残り、他の神は消えてしまったそうだ。今の神はその後、生き残った人々の信仰によって新たに降誕した神らしい。
「全然、知らなかった。今度、神父さんに聞いて見よう」
「生き残った子孫の人達の1部にしか、資料や言い伝えが無いので、ほとんどの人達は知らないと思います」
「何か興味が湧いてきたな」
3日目が始まった。直ぐにオーガファイターの集団と出会う。数が多いのでリサがスキルを使った様だ。バタバタと倒れて行く。倒れずに、ブルブルと震えて立ち尽くす奴は、ミイが、覚えたてのウインドカッターで、葬って行った。
頼もしくなったミイの頭を撫でてやる。眼を細めて気持ち良さそうだ。
「神殿の遺跡って、どの辺に在るの?」
「かなり海に近いと思います」
「すると、まだまだか」
「にゃ、にゃう」
「魔物か?」
「女の人ですね」
「違うよ、良く見てご覧」
レベルが一気に上がった。オーガの縄張りは抜けた様だ。現れた魔物はアラクネだった。
レナがファイアーボールを撃つが、アラクネの動きは素早い。俺達を絡め取ろうと糸の束を出す。
出された糸束に、ミイのウインドカッターが食い込むが、切るまでには至らない。相性が悪いのか。
糸束は広がり、俺達に降りかかって来る。
「レナ、火だ!」
「はい」
攻撃を察知したアラクネは、レナに向かって紫色の液体を吐いた。
毒か?仕方ない。地中に造った時空間に、皆で入る。蜘蛛の網は地面に落ちた。アラクネが確認の為、近付いてくる。
ここで決めた方が良さそうだ。アラクネ全体を時空間に入れ閉じる。
キズ1つ無い、アラクネの姿作りの完成だ。
「女の人は綺麗なのに……」
「魔物にも色々と事情が有るんだろうよ。これからは強者の地域の様だから、注意な。頼むぞミイ」
「にゃ」
重苦しい雰囲気の中、俺達は進む、俺も伊達にAクラスな訳ではない、何かが居るのだ。まだ距離が有るのだろう、ミイの感知に引っ掛からないだけだ。
「ぶにゃ、にゃ」
来たか。
前方にキマイラが現れた。何が出ても、やる事は決めていたので、見た瞬間に反射的にキマイラの頭を時空間に入れ閉じた。
キマイラの頭が地に落ちて、胴体が崩れ落ちた。倒したのに、ミイはまだ鳴いている、どうした?振り返ると、キマイラが炎を吐く為に口を開いた。
挟み撃ちだったか、不味い。リサ、レナに直撃だ。俺は泡食ってしまい、距離が有る為、とどく筈がないのにキマイラを閉じ込め様と、時空間を造ってしまった。
結果、時空間はリサとレナ、そしてキマイラとの間に出来てしまった。
「くぅっ!」
ああ、俺は何てバカだ。リサとレナを時空間に入れるか、地面に造って落とせば良かったんだ。
しかし、キマイラの炎がリサ、レナに当たる事は無かった。炎は、間に造られた時空間の中に、全て入ってしまったからだ。
魔法やブレスも入るのか。助かった。リサとレナは会った時と違い、逞しくなっていた。俺が指示をしなくても、炎が消えたと解ると、キマイラに攻撃をしていた。
キマイラは弾け飛んでバラバラだ。余裕が出来た俺は、キマイラの素材が勿体無いと思った。
「良くやった」
「シンさんのお陰でですよ。時空間って、あんな使い方も出来るのですね」
「お、おう。凄いだろ」
びびった事は内緒だ。
自信過剰は良くないが、リサとレナは自信がついてきた様だ。自分で考えて行動が出来る様になったので、連携がとれる様になってきた。やっと、パーティーらしくなって来たかな?
グリフォンやコカトリスなど、空を飛ぶ魔物にも焦らず対応が出来て言う事無し。
森に入って10日目、新たに時空間について判った事が2つある。
時空間創造のスキルレベルは最高で10。現在の俺は3で、時空間を造れる数は10個までだ。
もう1つは時空間の入口の問題だ。俺が造る時に認識した面が出入口になる。その面以外は出入りが出来ない。
まあ、今の所は苦労していないので、問題は無いが。スキルレベルが上がれば、変わって行くのだろうか?楽しみでは有る。
11日目、うんざりする程のマタンゴの集団に囲まれたが、皆で分担して倒しきった。最後の一団を、こんがりとレナが焼いて倒している。いい匂いなので、毒が有って食べれ無いのが残念だ。
「にゃう、にゃう、にゃう」
危険を察知したわけでは無さそうだ。
「シンさん、姉さん、あれを見て」
女神像だ。残念な事に、右の乳房が欠けている。
「ナーシャ様か?」
「はい、そうです」
どうやら着いた様だ。
「本当に在ったのだな」
神殿は、ほとんど崩れていて、壁が僅かに残っているだけだった。周りを探索してみる、と地下に行く階段を見つけた。しかし、瓦礫で入口から奥までビッシリと埋まっている。入ろうと思ったら、全てをどかさなければならない。
大変な作業だ、どうするか?
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