掛け合いセリフ 41~60
41.作戦遂行
a「お前,今俺に会いに来るのがどれだけ危険なことかわかっているのか!?」
b「危険は承知の上だよ!でも,あの日を最後に2年間何の連絡も無かった!今回の件でやっと兄さんの居場所を見つけたんだ!」
a「俺が何故2年間お前に何の連絡も寄越さなかったのか分からないのか!?お前がこちら側の人間だとバレたらどうする!?」
b「分かってるよ!俺だって兄さんの気持ちを踏みにじりたい訳じゃない!だから会うことは諦めてきたよ!でも今回は違う!」
a「……何があった?」
b「敵はこの騒ぎに乗じて兄さんを消すつもりだよ。それも確実に消すために,かなり慎重な準備を重ねてる。」
a「なるほど。奴らは余程俺のことが気に食わんらしいな。」
b「当たり前でしょ!兄さんが奴らから救った人の数を考えてよ!奴らにとっては兄さんが最も目障りな存在なんだから!」
a「それで,どんな手を使ってくると?」
b「分からない。各セクションに割り振られた仕事はたった一つ。何のためかも聞かされていない。全容を掴んでいるのはおそらくボスだけだ。決行は3日後。俺には最終調整がまだだと言って先延ばしにするしか出来ないんだ!」
a「それだけ分かれば充分だ。あとはこちらで対処する。お前は自分の安全を考えろ。俺のことは気にしなくていい。」
b「でも!」
a「安心しろ。俺の言葉じゃ不安か?」
b「不安に決まってるでしょ。無茶しかしないんだから。……でも分かった。兄さんたちを信じて俺は作戦を遂行する。」
a「ああ。お前はお前の任務を全うしろ。」
b「分かってる。長居は危険だし,もう行くから。……兄さん,死なないでよね。」
42.正義の心
a「また戦が始まるそうだ。何故人は争い合うのだろうか。」
b「人が皆,正義の心を持っているからじゃないかしら。」
a「どういうことだ?正しくあろうとすれば,争わないのではないか?」
b「『正しさ』と『正義』は別物ってことよ。」
a「だが正しさの主張なら分かり合えるはずではないか。」
b「誰かにとっての正義は誰かにとっての悪。大抵の争いは正義と正義がぶつかり合って起こるのよ。」
a「結局は皆,正しくあろうとするのか。ならばいつか,互いを分かり合える日が来る。この戦はそうであって欲しいな。」
b「(本当に何も知らないのね。正義のぶつかり合いなんて,永遠に分かり合えないのよ。あなた,私が復讐のために,私の正義を果たすためにあなたのそばにいると知っても,分かり合えるなんて言えるのかしらね。)」
43.子供の我儘
a「お願い,この人を殺さないで!」
b「何故だ!そいつは俺たちが追っていた奴だぞ?任務のために接近した,まさかそれだけで情が沸いたとでも言いたいのか!」
a「そうだよ,その通りだよ!この人が何人も殺してきた凶悪犯だってことも,排除対象だってことも全部わかってる!だけど,それが全てじゃないはず!」
b「何故そこまで肩入れする?そいつと生きて,お前は何を見た?」
a「別に特別何かがあったわけじゃないよ。でも私は,この人を失いたくない!」
b「何?」
a「私だって,見逃せなんて言ってない!でも即刻処刑は絶対間違ってる!」
b「それが1番確実なやり方なんだ!大人になれ!」
a「……どうして,どうして大人にならなきゃいけないの?私,まだ14だよ。過酷な任務が多くても,まだ子供なんだよ。これまでずっと我慢してきた。たった一つの我儘も,私には許されないの!?」
44.Top Secret
a「待って!彼のこと,口外しないで!」
b「何でお前がアイツの肩持つんだよ。」
a「彼,私の友人の家族なの!だから,公表することであなたに得があるとしても,私がここで引く訳にはいかないわ!」
b「お前,オレよりアイツを選ぶのかよ!」
a「そういう話をしてるんじゃない!私にはあなたしかいないわよ!…………あ,いや,そうじゃなくて……」
b「ハッ,やっとその口から聞けたな。」
a「……バカ。分かってたんでしょ?」
b「さぁな。」
a「最悪。言うつもりなかったのに…。」
b「さっきの話,お前がそこまで言うなら聞かなかったことにしてやる。」
a「……そう,ありがと。」
b「……いい顔するじゃねぇか。」
a「…!!ちょっと,いきなり何すんのよ!」
b「ゴチソーサマ。じゃ,あとは頼んだぜ。」
45.乾杯
a「今日は,〔a〕ちゃんの初任務成功祝いです!レモンサワーと梅酒とブランデーとどれがいい?」
b「おいコラ,テメェまだ二十歳前だろーが。酒に手ェ出してんじゃねーよ。」
a「え,意外…」
b「あぁ?何がだよ。」
a「いや,法律全く守んないくせにそこは守るんだ,と思って。」
b「あん?喧嘩なら買うぜ?」
a「いやぁ滅相もございません。でもなんでそこは守んの?」
b「テメェなんでそこに年齢制限があるのか分かってねぇのかよ。まだ18のガキの体には毒だっつってんだよ。この先に響いたらどうすんだ。」
a「え,〔a〕のこと心配してくれてんの?やだぁ〔b〕大好き!」
b「あー!分かったから,んな毎回引っ付くんじゃねぇ!」
a「ふふふーん。でもねぇ,アルコール準備したの〔b〕の分だけで,〔a〕の分はちゃんとノンアルコールで準備してます〜」
b「テメェ,最初からそれ言えよ!」
a「だって〔b〕が珍しくやさしーから嬉しくてつい。んで,何にする?」
b「はぁ。じゃあブランデーで。」
a「了解。はいどーぞ!じゃあ乾杯!」
b「はいはい乾杯。」
46.擬似姉妹
a「本当に行くのね?」
b「もう決めたことよ。私がここにいては,あの子たちを巻き込んでしまう。それだけは嫌なのよ。」
a「あの子たちに感謝しなきゃね。私以外,誰も信用してこなかったあなたが,誰かのために戦おうとするなんて。」
b「私も驚いたわ。まさか自分の中にこんな暖かい感情があるなんて。」
a「いいことじゃない。私はどっちのあなたも好きよ。」
b「そう言って貰えて嬉しい。あなたのこと,本当の妹のように思っていたわ。それじゃあ,行くわね。」
a「ええ,気をつけて。」
b「ありがとう。あなたに会えてよかった。また会いましょう。」
a「約束よ。何かあれば私を頼って。彼と一緒に迎えに行くわ。」
b「そうする。彼のこと,大事にしなさいよ。」
a「分かってるわ。あなたのことも,ちゃんと伝えておくから。」
47.遺品
a「クソッ!このロックさえ解除出来れば中の人たちを助けられるのに!」
b「どいて,私がやる。」
a「…お前,間違ったら犯人に気づかれるんだぞ。大丈夫なのか?」
b「フッ,誰が私に教えたと思ってんの?サイバー犯罪対策課のエースだよ?」
a「え?お前,それって……」
b「そーよ。この前アンタが解決した事件の犯人。暴力団組織から潜入していたITの天才で,サイバー犯罪対策課のエース,そして私の恋人だった男よ。」
a「そう,だったのか…」
b「あぁ,勘違いしないでね。あなたの事はこれっぽっちも恨んでないから。あれだけ派手にやればバレるっつーの。」
a「あいつ,あの後消息不明らしいな。」
b「表向きにはね。」
a「何?」
b「甘いわね,消されたに決まってるでしょ。あの組が警察に顔を晒した奴を野放しにしておくと思う?」
a「それは,そうだな。」
b「ま,そんなわけで私のハッキングスキルは確かだよ。アンタだって,アイツの罪を暴くのには苦労したでしょ?」
a「あぁ,そうだな。開けられるんだな?」
b「当然。あの人の技術に間違いはないって,私が証明してやる。」
48.Yes, my master.
a「先日もお話した通りです。私の能力が必要とされるなら,それが何であっても構いません。」
b「それが例えば犯罪に利用されるとしても?」
a「綺麗事で成される偽善に利用されるくらいなら,明確な意思をもった悪意に利用される方がいい。その方が私は自分らしいと思えます。」
b「その言葉を聞いて俄然興味が湧いてきました。あなたの能力は勿論ですが,私はあなた自身を評価しますよ。」
a「!……この力もこの身も,全てあなたのもの。お望みのままに,如何様にでもお使いください。」
b「おや,随分大袈裟なことを言いますねぇ。これだけの会話で,あなたは何を見出したんです?」
a「私の能力に目をつけた人たちはこれまで何人もいました。私自身,価値は自分の能力にあるのであって,その力がなければなんの価値もない。そう思っていました。ですがあなたは,私個人を見てくださった。身を尽くす理由はそれだけで十分です。」
b「成程。やはりあなたを選んで正解でした。これからは私のためだけにその力を使いなさい。」
a「御意に,ご主人様。」
49.その背を押して
a「もしもし課長,今お時間いいです?先程聞いた彼女を迎えに行く役目,こちらに任せていただけませんか?あ,いえ,私ではなく彼に。対価として先日お話のあった任務,私がお引き受けします。はい,はい,ありがとうございます。それでは後ほど。……はい,そーゆーわけだからお迎えよろしく。」
b「お前,何でわざわざ俺に……」
a「あんた,結局謝れて無いんでしょ?しかも3年間。あの子は何とも思ってないでしょうけど,けじめは付けとかなきゃ。」
b「……そうだな。でもまさか,お前が俺のためにそこまでするとは。あの任務,お前相当嫌がってただろ。」
a「別にあんたのためだけじゃないわよ。私,あの子をもう泣かせたくないの。そのためなら自ら血を流すことも泥を被ることも厭わないわ。」
b「……恩に着る。借りは必ず返す。」
a「囚われのプリンセスを救い出すのは勇敢な王子様って相場が昔から決まってるのよ?泣かせたら許さないし,即刻処刑してやるから。」
b「分かったよ。じゃあ,行ってくる。」
50.エゴ
a「聞こえますか〇〇さん。あなたの単独行動を容認した覚えはありません。戻ってください。」
b「断る。俺はお前の手足じゃない。命令される言われはない筈だ。」
a「分かってるんですか。その装置を起動すればあなたは死ぬ運命にあるんですよ。」
b「分かってる。だが同時に奴も殺せる。万民の安全を願うならこれが最善策だ。お前も分かってるだろ?」
a「確かにそれが1番確実な方法です。でも私は,あなたも彼女も救います。彼女にはちゃんと罰を受けさせる。死ぬ事で解決出来ること思わないでください。」
b「なるほど。俺にも罰を受けさせるってわけか。じゃあどっちのエゴが強いか勝負だな。」
a「待ってください!まだ話は……。必ず,彼らを止めてみせる。もう悲劇を繰り返さないために。」
51.オペレーション
a「第5区画通信遮断!内部はおそらく全壊だ。」
b「ルート変更!ナビは任せたわ。」
a「了解!そのまま直進,南倉庫の奥を左折。」
b「南倉庫ね,了解!遠いったらありゃしない!」
a「速度上げろ!そのスピードだと敵に追いつかれるぞ!」
b「フン,アタシのバイク舐めないでくれる!?加速するよ!」
a「ッ待て!まずいな。その先の第3区画はガスが充満している可能性がある!そこで右折して回り込め!」
b「このスピードならひと区画分くらい呼吸せずに通り抜けられる!そのまま突っ込むよ!」
a「おまっ,無茶しやがってこの脳筋!」
b「ここのインフラ止めなきゃ事件は終わらない!アタシが止めないで誰が止めるんだよッ!」
a「お前の仕事は俺がハッキングして回線切るまでの時間稼ぎだって言っただろうが!誰も手動で止めろなんて言ってねぇ!クソッ,こっちの仕事増やしやがって!」
b「とりあえず突っ込むから後よろしく!あ,ナビは継続してよね!」
a「だぁぁぁ!人の話を聞けこんのバカ女!!」
52.影の一族
a「どう思う?若の決断。」
b「自分が上に立つのではなく,新たな主を得る。思うところが無いわけではないだろう。あいつは19年間,時期村長として育てられてきたのだから。」
a「まぁ,そうだよね。その割に早い決断だったけど。」
b「それはあの方が我らの主に見合う力をお持ちだからだろう。」
a「私はあの方に出会えてよかった。村から落ち延び,未来を見失った私たちに,あの方は力を与えてくれた。だから私は今お兄ちゃんたちと一緒に戦える。守る喜びを教えてくれたのはあの方だから。」
b「同感だ。俺も若の選択には十分納得している。だからこそ,若が迷わないようにしなければならん。」
a「お兄ちゃん,そういうに得意でしょ?」
b「俺は若の補佐として育てられた。いわば影のようなものだ。」
a「影,か。なら,私もサポートに徹するよ。一族の生き残りとして,恥じない人間になってみせる。」
b「たとえ村が滅び,新たな主を得ようと,我らは若の影であり続ける。それが我らにできる,死者たちへの弔いだ。」
53.残念
a「何故…,何故俺の親友はああも残念なんだ……。」
b「お前急にどうした。」
a「え,だって先輩もそう思いません?」
b「いや,あいつ仕事のできるイケメンだぞ?逸材じゃねぇか。」
a「それは分かりますよ?けどさぁ,『冷静沈着!聡明!寡黙!スパダリ!』みたいな顔してんのに全然違うじゃん!」
b「可哀想に,お前の中の親友像どうなってんだ。」
a「正反対!『キレやすい!怒ると笑う!要らんことしか言わん!他人に無関心!』っていうクズのデパートなんですよ。」
b「それ堂々と言い放つお前の方がよっぽどクズだわ。」
a「いやぁ,クズの親友はクズってね。えへへ〜。」
b「ごめん,今の話のどこにえへへポイントがあったのか俺にはわかんねぇわ。」
54.俺らの妹分
a「ねぇ〇〇。ひとつ頼みがあるんだけどいいかな?」
b「なんだよ,改まってどうした?」
a「僕がいなくなったあと,君に彼女のことを頼みたいんだ。僕の代わりに気にかけてあげて欲しい。…僕にはもう,彼女の頭を撫でてあげることは出来ないから。」
b「それは,お前は死ぬつもりで奴と戦うってことか?」
a「そうだよ。そうでなければきっと止められない。その方が確実なんだ。」
b「……そうか。けどあいつは,俺が気にかけてやらなくても大丈夫だろ。あいつは俺よりよっぽど強いじゃねぇか。」
a「それは違うよ〇〇。本当の彼女は,明るい笑顔の裏に泣き顔を隠しているような,そんな子なんだ。」
b「……なんでそう思うんだよ。」
a「あの子は,無意識のうちに自分を押し殺している。でもそれに気づいていないから,自分でも知らないうちに傷つく道を選んでしまっているんだ。何があの子をそうさせたのかは分からないし,聞くつもりもないけど,僕にはそう見えているんだ。」
b「そうか。お前がそう言うんなら,そうなんだろうな。……分かった。お前の代わりにはなれねぇが,あいつの事は俺に任せてくれ。俺たちの,大事な妹分だからな。」
a「ありがとう。あの子が強く生きられるなら,僕はそれで十分だよ。」
55.手当て
a「すみません。こんな格好で失礼します。」
b「構わないよ。それにその怪我だ。まだ熱は下がりきっていないだろう?ベッドから出なくていいよ。」
a「お気遣いありがとうございます。それで,報告なのですが…」
b「大体は聞いているよ。爆弾が仕掛けられていたって?」
a「はい。入念に確認してから侵入したのですが,どうやら私が確認したあとで仕掛けられたようです。」
b「なるほど。向こうには凄腕の爆弾魔がいるみたいだね。」
a「私には中にいた人質を守るので精一杯でした。その際に怪我を負ってこの有様です。申し訳ありません。」
b「君の功績は十分だ。人質の解放が今回の最優先事項だったのだから。」
a「ありがとうございます。次は必ず仕留めます。」
b「そうだね。でもまずはその怪我を治してからだ。というわけで,その腕の怪我,僕に手当てさせてもらおうか。」
a「いえ!これは私の不注意が招いた結果なので,貴方の手を煩わせる訳には…!」
b「僕に,命を賭して任務を遂行してくれた仲間を労わせてはくれないのかい?」
a「……ずるいですよ。そんな風に言われたら断れないじゃないですか。」
b「はい,腕を出して。……なんだか懐かしいね。君の手当てをするのも。」
a「私が孤児院にいた頃ですからね。あの頃もいつもお世話になっていましたね。」
b「本当に,無茶するところは変わらないね。僕としてはもう少し自分を大事にして欲しいんだけど。」
a「分かってます。でも気づいたら動いてるっていうか。自分でも止められないんです。」
b「君のそういうところ嫌いじゃないけど,僕はもう大切な仲間を失いたくはないからね。」
a「大丈夫です。私,貴方のために絶対に死なないって決めてますから。」
56.狂犬
a「あははははははは!!余裕かまして説教なんかしてるから撃たれんだよバーカ!どうだ?油断したところを殺られる気分はぁ?って,もう聞こえてねぇか。」
b「遅い,〔a〕。どこで何してたんだ。」
a「だって〔b〕さんが銃持ってこいって言うからじゃないですかぁ。内緒で持ち出すの割と大変なんですよ?」
b「だが持って来れない訳じゃない。それを早くしろって言ってるんだ。」
a「これでも結構急いで来たんですけどねー。ま,いいです。俺〔b〕さんが敵に囚われてるとこ見られたんで満足です。」
b「うるさい。そもそもお前のミスが原因だろうが。」
a「はーい,すいませんでしたー。」
b「チッ,もういい。さっさと残りも片付けるぞ。」
a「了解です。……雑魚どもが調子乗んな。お前ら全員まとめて殺ってやるよ。」
57.光
a「隊長,頼みがあります。彼のメンタルケアを私に任せていただけませんか?もちろん,私にしかできない仕事があれば必ずやります。ただ…」
b「構いませんよ。私も君に頼もうと思っていました。」
a「……え?」
b「どうしました?そんな驚いた顔をして。」
a「あ,いや,あっさり許可が出てなぁと思って。もう少し渋られるかと思ってました。」
b「確かに,君を手数に入れられないのは痛手です。ウチで1番の戦力ですから。ですが代わりの戦力は用意出来る。1人で君の代わりにはなれずとも,数人いれば何とかなります。私の部下は優秀ですから。」
a「ですが,それはケア要員にも同じことが言えませんか?」
b「ほとんど他人を信用してこなかった,正確に言えば信用出来なかった彼が,唯一無条件に信頼しているのが君ですよ?君以外の誰が彼を取り戻せると思っているんです?私としても今彼を失うのは大きな損失です。君に次ぐ実力者を失うことになる。」
a「……私はそんな大層な人間じゃないですよ。」
b「全く,そういうところは鈍感ですねぇ。まぁいいでしょう。とにかくこちらのことは私に任せて,君は一刻も早く,彼の心の傷を癒してあげてください。」
a「ありがとうございます。必ず取り戻してみせます。ですが,万が一のことがあれば呼んでください。何があっても来ますから。では,失礼します。」
b「……律儀ですねぇ,本当に。その背に宿った芯の強さに,彼は光を見出したんでしょうかね。」
58.銃身の距離
a「お前が俺に勝てるとでも思ったか!?」
b「俺だって力をつけてきた!今までのお前に頼りきったままじゃないんだ!」
a「そうかよ。俺に頼ってりゃいつまでも守ってやったものを!」
b「守られてばっかりじゃ強くなれないんだよ!」
a「あぁ,そうだよ。お前が強くなりすぎないように俺が守ってきてやったんだからなぁ!」
b「……!!」
a「だがな,さっきも言った通りお前じゃ俺に勝てねぇんだよ。戦い方も考え方も,全部俺が教えてやった。お前のやること全部,手に取るように分かるんだよ!」
b「……そうだよ。全部教えてくれたのは義兄ちゃんだよ。だからこれで勝てないならそれでもいい!俺が,義兄ちゃんより強くはなれなかった!それだけの事なんだから!」
a「最初からそう言ってるだろ!お前が,俺に勝てるわけねぇんだーー」
b「じゃあ撃てよ!」
a「…………撃てるわけ,ねぇだろ。どんなに刃向かって来ようと,俺の元を離れようと,お前は俺の……義弟なんだよッ……!」
59.拷問
a「もうやめや。」
b「うるさい離して!この程度で終わると思うな!」
a「アホ,それ以上やったらそいつ死ぬで。」
b「死んだらそれまでよ!こいつの,こいつのせいでアタシは家族も恋人も何もかも失った!」
a「せやから動機を聞き出すために呼んだんやろ。ここで死なせたら何も分からん。」
b「もういいの!どれだけ殴ったって蹴ったって,何も言わないならもういい!アイツらが感じた苦しみよりも残酷な,苦痛の中で死ね!!」
a「アホかお前は。」
b「痛っ……。なんで殴るの……?」
a「死んで終わりなんて,そんな償い方あるかい。そんなん苦しみを終わらせたいだけや。」
b「だって,じゃあこれ以上どうしたらいいの!」
a「何のために俺が来た思てるんや。お前の気持ちも分からんくはないから好きにさせたったけど,そこまでやな。ちょっと待っとき。すぐに落としたる。」
b「〔a〕さん……。」
a「事件を解決して初めて,お前の戦いが終わるんやろ?それやったら途中で投げ出したらあかん。」
b「分かった。ごめんなさい。」
a「よし,ええ子や。あとは俺に任しとき。」
60.看病と本音
a「ごめんね。何から何までしてもらっちゃって。」
b「構いませんよ。反省するなら,無理しすぎて倒れたことを反省してください。」
a「それは……ホントにごめん。」
b「アンタが倒れたら俺が困るんですよ。」
a「何か言った?」
b「なんでもないです。いいからアンタは寝てください。」
a「ありがと。……〔b〕?」
b「……いますよ,ここに。どうせ人に頼るの下手なんでしょ?だったら俺がいた方がまだマシじゃないですか。」
a「ホントにありがとう。じゃあおやすみ。」
b「おやすみなさい。」
a「…………」
b「……アンタが倒れたら,誰が俺を必要としてくれるんですか。」
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