第2話

 僕は『天使・マイン』

 

 神界の平凡な天使です。

 でも、そんな僕も将来は立派な天使になりたいという想いを抱き、日々色々な神様たちのお仕事のお手伝いをさせてもらってます。

 宇宙に新たに生まれる魂に『ステータス』、『スキル』、『寿命』などを設定する『創造神さま』。

 一度死んだ魂をリサイクルでまた別の生命の器に入れる『転生神さま』。

 本来繋がるはずのない世界が繋がってしまう時空間を管理する『時空神さま』など。

 その事務処理や、サポート、お茶くみ、何でもやって一人前の天使に僕はなるんです。

 そんな僕が今、お仕えしているのは……


『ふわ~あ、今日も疲れたわい。のう、我が天使マインよ。風呂に入ろうぞ』


 全神さまのご息女でもある『女神・エイロスさま』の付き人なのです。

 エイロスさまが今の僕の御主神さまです。

 そしてこの方は僕にとっては、同じ神界に住みながらも全てが異次元の存在。

 お美しい銀色の長い髪。鮮やかな素材で作られた黒いドレスを纏われている。

 スラッとされて、チビの僕の身長はこの方のお美しく豊満な胸元までしかありません。

 ですので、抱きしめられたら僕の頭はぁ……あぅ。


『ほれ、ハグじゃ♡ あ~、マインはめんこくて抱き心地よいの~♡』

『ご、御主神さまぁ、だ、だめですよぉ……』

『よいではないか~、よいではないか~』

『で、ですから僕は……逆セクハラですぅ、あ~れ~!』

 

 今の僕の仕事は『何でも』です。

 お仕事のお手伝い……ほ、奉仕作業……奉仕作業とは、恥ずかしくて言えないのですぅ。

 そして、今日からまた新たな仕事です。


『なんてな。実はおぬしにはまた新たに妾の仕事を手伝ってもらわねばならぬ』

『え、なんです?』

『実は神界の打ち合わせで、創造神と転生神と時空神の懲戒処分が決定したのだ』

『……へ?』

『なんでもあの三人、最近……『この世界面白くしてみようぜ』みたいな遊びをしていてな……それによって気付いたら、宇宙バランスを崩壊させかねぬ生物たちがかなり生まれてしまったようなのだ』


 僕はその三人の神さまの下で仕事をしたこともあったんですけど、そんなことは知りませんでした。



『その世界の文明、力、それらとバランスが取れぬチートを与えたり、勝手に転移させたり、前世の記憶を持たせて転生させたりとか、そういうのが続いたようでな』


『そんなことをされていたなんて……それで、その選ばれた生物たちはどうなっているんですか?』


『そのほとんどが、『人種ひとしゅ』でな。皆、その世界を無双したり、自分を虐げた連中に復讐したり、ハーレムを作ったりしておる』


『あらら……』


『下界の生命の一生など短いので本来なら放置してもよいが、最近下界の連中にチートを授け過ぎて宇宙のバランスが少しおかしくなりかけてるので、調整した方が良いとなり、妾が直々に調整に赴くということだ』


『そういうことでしたか……』


『というわけで、スキルや転生だとか転移関連の仕事をした経験があるおぬしも妾のサポートで一緒に来いということだ』


『なるほど……分かりました、御主神さま! 僕、一生懸命お手伝いします!』


『うむ。では、出発前に……妾とズコバコしようぞ♥』


『へ? あの、え? ……ふぁあああ!?』



 そしてこうなったのです。

 以来、下界……宇宙の星々を巡って、神々がかつて与えたチート回収の旅が始まったのです。

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