第3話 異世界ハーレムのあれやこれや

 ここは中央都市にある小さな道具屋さん。

 暇を持て余す猫人キャットピープルとドワーフ。

 ふたりのおっさんが、どうでもいい事をおしゃべりしています。今日は珍しく仕事をしているみたいです。少し覗いて見ましょう。


■□■


「大猪の皮を387枚?! そんなに買い取れねえよ。え? 相場じゃ皮1枚、銅貨4枚? ふざけんな。お宅らみたいなのでせいだな、相場がガタガタなんだよ。大体、こんなに買い取ったって売れねえよ。いいとこ、全部で銀貨2枚だ。⋯⋯ああ、そうかい、イヤなら他当たりな⋯⋯んだよ、全く」


「なんだなんだ、ロイ。珍しいのう、お主が声を荒げるなんて」


「ドゥラスか。お前こそ裏で何やっていたんだ」


「在庫の整理じゃ。最近、売れ残りが多くてイカンな」


「あいつらのせいだ」


「あいつら?」


「初心者の転生者パーティーだ。あいつら、派手な魔法で初心者の狩場を荒らすもんだから、初心者パーティーの狩場が無くなっちまって困っているんだよ」


「ああ、そうか」


「それによ、何だか【便利箱アイテムボックス】とか言うスキルで、道具屋要らずだってよ。道具屋が必要なやつらは狩場を失い、道具屋を必要としないやつらは売りに来るだけ。どこの道具屋もたまったもんじゃねえよな」


「ああ、そうか」


「ああ、そうかって。随分と反応が薄いな」


「あ? そうか? それよりよ、何であいつらあんなにモテるんじゃ? おかしくないか? やたらパーティーは女ばっかだしよ、どうなってんだ?」


「さぁ?」


「なんだ、あれか、転生者ってだけで、モテるんか? そこに人格とかは無視なのか? 世の中とはそんなにちょろいのか?」


「さ、さぁ?」


「だいたいよ、何でドワーフはハーレムを作れないんじゃ?」


「ん? どういう事?」


「転生者やエルフはモテて⋯⋯それこそ獣人だって、やれケモ耳だのなんだの、もてはやされておろうが!」


「お、おう⋯⋯?」


「ドワーフがモテて何が悪い! そう思わんかっ!!」


「待て、ちょっと落ち着け」


「モテモテドワーフの時代はいつ来るんじゃぁーーっつ!!」


「分かったから、落ち着けって。でもよ、そんな事言っていていいのか? また、カミさんに怒られるんじゃねえのか? 大丈夫か?」


「⋯⋯だ、大丈夫」


「本当か?」


「ここだけの話⋯⋯」


「まぁ、言いたい事は分かるぜ。エール一杯で手を打ってやる」


「⋯⋯内緒な」


「分かった、分かった」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

道具屋での戯言 坂門 @SAKAMON

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ