One Rebel

「多数決の結果、夏休み中の清掃ボランティアはC組が担当することになりました」


 終業式の後の学年集会。蒸し暑い空気を切り裂くように、委員長と呼ばれている学年代表の女子が舞台に立ってそう高らかに宣誓した。

 うちの高校にはあらゆることを多数決で決めるという変わった校則がある。団結力や協調性を養う目的があるらしい。悪く言えば出る杭は打たれる、個性の剪定せんてい。前時代的な考えだ。

 今回の場合、夏休み中に地域の清掃活動に代表として参加するクラスを集会の時間に多数決で決めることになった。その結果、私たちのクラスが選出された。過半数の投票があったらしい。進んでやりたがった人がクラスに数人いたとしてもおかしな数字だ。

 少し前から気になっていたことがある。最近、こういう良くてポイント稼ぎくらいにしかならない誰もやりたがらないこと程、決まってうちのクラスが担当することになっているのだ。私はA組とB組が手を組んでいるに違いないと睨んでいる。他のクラスメイトたちは気付いているのか分からないけど、卑怯な団結力は必要とは思えない。だから、たとえ一人だけでも声をあげなければいけない。

 私は立ち上がり、舞台に立つ委員長を真っ直ぐに見上げた。


「多数決、やり直してください……!」



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今回の使用単語

「たすう。ぼらんてぃあ。なおして」

岐阜県下呂市付近だそうです。

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