うわあああ

 彼女を床ドンした。つまり、押し倒してしまった。事故だ。そんなつもりはなかった。ただただ健全なおうちデートをしていただけなのに。ドジを踏んでカーペットに足を引っ掛けたその拍子に……。

 何が起こったのか分からずきょとんとしてる愛らしい顔が目の前にある。安心してくれ、俺も全く同じ気持ちだ。いや、何も安心できるわけないよな。どうしよう。

 目を見合せ、一秒、二秒、三秒……。……引き際を見失った。今ここで「ごめん」などと言って離れるのはダサすぎる! かと言って強行突破は絶対にダメだ。ああっ、うじうじしてるのが一番ダサくてダメだろ!

 最適解が分からず長考していると、彼女の足が俺の足に触れた。冷たくて柔らかい感触に左足が包まれ、求められているのではと自分勝手な解釈をしてしまう。うるうるした瞳で上目遣い、無抵抗、はだけた襟元から水色の下着が見えている。……これ、本当に自分勝手な解釈か?

 心拍数と体温がどんどん上昇していっているのがはっきりと分かる。それに対して平気そうな顔しすぎでは?


「……なに、してるの」




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今回の使用単語

「おしたおし。ちょうこう。みずいろ」

兵庫県豊岡市付近の海上です。

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