第10話

「ついに今日だね。」

私は冷静風に言った。

「うん、俺がいなくなる事についてどうおもう?」

玲音はそう聞いてきた。

「…」

私は黙り込んでしまった。


「強がらなくていいんだよ本当の気持ちを言って」

そういった玲音の方を向いて私は思いっきり泣いた。

「辛い、悲しい、離れたくない、そんな気持ちが後をたたないよ。でもさ、玲音がいなくなるんだよ。私が泣いちゃだめじゃん…、玲音がいいように終わりたくて、願い事とか聞きたい…」


泣きながら玲音にそう伝えた。

「そっか、でも、俺は玲子の気持ちが知りたい。」

私は玲音の一言で心が解放された気がした。私は思いっきり玲音に感情をぶつけた。


「好き!大好き!成仏してほしくない!離れたくない!」

私は泣きながらも最後の気力を振り絞って玲音に

「ありがとう…楽しかった。」

そう伝えた。


「うん俺こそ玲子には感謝してる。もしまた生き返ったら絶対玲子のところに戻ってくるから、どれだけ帰ってこなくても待っていてくれ、これが今俺ができる玲子へのお願いだ…」


玲音はそう言いながら私を抱きしめた。

「わかった。絶対待ってる。」

私がそう言うとみるみる玲音は消えていった。


「今までありがとね…」

私は消えかけている玲音にそういった。返事が帰ってくることはなかったが、そう言えて満足した。


「よし!これから頑張るぞ、実習にいこう!…」

実習へ向かったその日からずっと私は玲音に会うために必死に勉強した。そして、数年後。美容師国家試験と、高校卒業テストを私は全力でやり終えた。そこから数カ月後、どちらも合格しているという報告を受けた。私は自然と涙があふれ、

「玲音…、ありがとう」


あふれた涙がこぼれ落ちながらそうつぶやいた。そこからはたまた数年後、私は立派な美容師になり、世界を飛び回っていた。


「Cheers」


一緒に働いている仲間が帰った。私も早く帰ろうと思った。そこでふとドアの方を見た。すると玲音が


「久しぶり、玲子」


久しぶりの玲音に私の心はありえないほど高鳴った。

「うん…」

私の感情は嬉しすぎて泣いたこと、嬉しくて笑ったこと。そこで感情が入り混じった。久しぶりの入り混じりで、私は懐かしい感情も溢れ出し、さらにわけがわからなくなった。

「どうしたの立派な玲子さん、」


玲音にそう言われ私は

「そうだね、しっかりしよう」

そういった。

「おいで」


手を広げた玲音がいってきた。私は強く玲音のことを抱きしめた。

「頑張った。合格した。私は玲音がいないときにたくさん成長したんだよ…」


私は泣きながら言った。


「そっか頑張ったね。すごいよ、」

その時の夜空は見たことがないほど美しく空の海に浮かぶ星はまるで宝石のようだった。

好きな人は幽霊でした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

好きな人は幽霊でした。 尊(みこと) @mikorintan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ