第9話

イギリスについてから二日目、私は昨日の出来事が忘れられない。お父さんは仕事に行ってこの家には私と玲音しかいない。私は美容師になるためにイギリスに来た。

美容師専門学校に行きたかった。だから、お父さんにそう話すことにした。

「ねぇお父さん、私さ、美容師になりたくて、美容師の専門学校に行きたいんだよね。

美容師の専門学校って、中卒でもはいられるらしくて、今度日本に行ったときには一応高校卒業テストするし、いずれは高卒になるつもりだけど、早めに専門学校いっておきたくて…」


「そうか、そんな夢があったんだ。よし、いいぞ行こうどこに行きたい?」

「え?いいの?やったー!そんなこと言われるとは思わなかったから、何も考えてなかった…じゃあ考えておくね!」


私はお父さんに了解をへてすごく嬉しかった。私は色々調べた。私はすごく有名な学校に行くことにした。私は学校へ行った。みんなでヘアスタイリスト実習をしていたとき、カラーで私だけうまく染められなかったり、カットで微妙にガタついてたり。そんな日がたくさん続いた。私はやめようかとも思ったけれど、夢を追うことを決めた。そして

「日本に行っても変わりない」

それを心に持ち続けて頑張った。


「ねぇ玲子大丈夫?最近寝てなくない?体に悪いよお母さん心配するよ?」

玲音はそういった。

「いや、大丈夫。まだ行ける、」

「だめだよ、もし今何かあって玲子が死んじゃったら絶対成仏できないし、この世界に来たときに色々な問題に直面するよ?!」


玲音は私を本当に心配しているようだった。

「具体的にどういう問題よ」

私はそう聞いた。

「え、今話すの?まぁ、いっか、いつか話すことになるし。実は俺達幽霊は、幽霊でも寿命みたいなものがあって、平均何年とかそういうのが決まってるわけじゃないんだけど神様が僕達の寿命を決めるの。それで数年前神様に呼び出されて俺は神様のところに行った。


そしたら、あと5年それくらいで君を仮成仏させる。そう言われた。その5年後っていうのが3ヶ月後のことなんだけど、もし玲子が幽霊になったら俺みたいに新しい恋をして神様に仮成仏されてまたこの世に流されたらいいんだけど、本当に残しがないと流されない。だから幽霊になってからはデメリットのほうが多いと思うよ。俺は玲子にちゃんと成仏してもらいたいんだ。」

玲音は熱く話してくれた。

「そっかわかった。じゃあ明日は休日にするねしっかり休むね」


私はそう言った。

「でも、よく考えるとあと3ヶ月で玲音の命は尽きる、それまでに玲音とちゃんとした絆を気づきたい」

私はそう思った。そして次の日また次の日とどんどん玲音との時間も消えていった。そして前日。


「あのさ、玲子俺明日いっぱいでこの世から消えるんだ。ごめんね」

玲音はそういった。

「仕方ない。でも、私は玲音と一緒にいたかった。」


そう自分の思いをしっかり伝えた。

「でもまだ希望はある、仮成仏だからもしかしたらまた戻ってくるかもしれない。真面目に仕事してるときに遊び行ってもいい?」

私は玲音とはなれることにやっと実感がわき悲しさで涙がこぼれ落ちた。


「うん、まってるね…」


私はそう言い、その日は寝ることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る