14
翌日、解凍された右腕が手術台に載せられた。データの精度を競い合った時のように、少しずつ解体されていく。高志はパイプフレームのカメラで腕全体を撮影し、手持ちカメラで細部を補足した。
剥がされた筋肉などの各部分は弓子が受け取り、3Dスキャナでモデリングデータが採取された。撮影が終わったパーツはパックに詰められ、冷凍庫に戻される。青いマーカーで記入される分類名も、弓子の判断に任されていた。撮影の区切りでは、膨大な量のメモリーカードを弓子が整理していった。
高志は冷凍を繰り返すことを嫌い、一気に右手の記録を終わらせると宣言した。2人は交代で仮眠を取りながら、解剖作業は4日間で終わった。
その間、〝天の声〟は全く聞こえなかった。2人のチームワークが円滑に機能し始めたことを見て、安心したようだった。特に高志は、集中力を高めて里奈の死体に挑んでいる。里奈という最高の素材を得て、プロの魂をたぎらせているようにも見える。こんな時の高志は黙っていても最高以上の結果を出すのだ。余計な口出しをして意欲を削いではならないという配慮は、弓子にも当然に思えた。
右腕が細分化されて冷凍庫に収まると、高志は言った。
「これから2日間休暇だ。自分の部屋で自由に過ごしていいよ」
確かに疲れが溜まっている。だが、弓子は〝天の声〟の反応が気がかりだった。
無意識に天井を意味上げる。
「でも……」
高志は白衣のポケットに両手を突っ込んで、不遜に天井を睨んだ。
「いいな? 僕らだって人間だ。休まなければ続けられない。焦れば、いい物はできない」
不服そうな声が降る。
『仕方ないだろう。だが、今後もこのペースを守れ』
もはや〝天の声〟は高志に逆らえない。
高志は不敵に笑った。
「守るから、今回は料理を取り寄せろ。佐野君も休暇だからな」
声は答えなかった。主導権を奪われたことが腹立たしいのだろう。
高志は肩をすくめて弓子に言った。
「以前、人体の解剖図を何冊か要求した。僕の部屋に届いているはずだから、君に預ける。気味悪いかもしれないけど、基礎知識を持っていてくれると助かる。筋肉の名前が分かるだけでもいい。強制はできないけど、できる範囲で勉強しておいて」
弓子は不安げだった。
「いいんですか……? あんなことを言っちゃって……」
部屋のドアの鍵がリモートコントロールで外される音がした。
高志はにやりと笑って、また天井を見た。
「寿司だ。ドバイにも寿司職人はいるんだろう? 本格的な、日本風のすしを取り寄せてくれ! ラクダの肉なんか載せるなよ!」
やはり反応はない。
「だから……」
高志は声を潜めた。
「怒ってもいないじゃないか。ま、寿司は来ないだろうけど、休暇は勝ち取った。労働者の当然の権利だ。さあ、休もう。僕も、眠る」
そう言った高志はさっさと部屋を出て行った。
弓子も仕方なく自室へ戻った。
シャワーを浴びた弓子は、いつの間にか眠っていた。ノックの音で目覚める。
ドア越しの声がした。
「もう寝てる? 開けていい?」
高志の声だ。弓子はあわてて跳ね起きて髪を撫で付ける。ベッドサイドの眼鏡に手を伸ばす。
ドアが開いた。
「悪いね、寝てたのに。鍵、かかってないよ」
弓子はベッドに座ったまま、眼を伏せてつぶやく。
「かけたって、どうせ監視されてるし……」
「ま、そうだね。ルームサービスだよ」
言いながら、高志は2段になった手押しのワゴンを押して部屋に入った。下には分厚い専門書が積まれている。上段は、2つの寿司桶だった。
高志はベッドに腰掛けて笑った。
「ここだけは久々の日本だ。生もの、食べられるよね?」
弓子も笑うしかなかった。
*
その後も同じような工程が続いた。
次は左腕だった。
パイプフレームのカメラや3Dスキャナの操作は弓子の分担に変わっていった。高志は解剖と接写に神経を集中させた。
そして、左脚、右脚へと解剖が進む。4日から5日間、仮眠を取るだけで解剖作業を続け、合間に2日間の休暇を取る。そうして2人は四肢の解体と基礎データの収集を終えた。
その間に要求した食事は、神戸牛のステーキとチェーン店のカツ丼、そして正体不明の肉が入った、自称〝スッポン鍋〟だった。
*
解凍された里奈の胴体を前にして高志がつぶやく。
「こいつはちょっと、手強い」
弓子がうなずく。
「仮眠を取れば、大丈夫。しっかり休んでますし」
高志がメスを握る。
「長引くようだったら、交代できちんと眠るようにする」
「はい」
「じゃ、始める」
高志は里奈の右乳房にメス入れた。解凍されて柔らかさを取り戻した乳房が揺れる。命が消えてもなお、形が崩れずにピンと張り切っていた。ほのかに暗いピンクがかった乳首も、緩んだ感じを与えない。高志は息を詰めながら、乳房の周囲を切り込んでいく。周囲を何周か切ると、乳房は胴体から外れた。高志はそれを弓子に手渡した。高志はすぐに左にメスを振るう。
弓子は乳房を3Dスキャナで撮影した。指先を吸い込むような柔らかな感触が残る。何度か位置を変え、バリエーションを撮影していく。そして、取り出した乳房を手術台に置き、左乳房も撮影する。
高志はいったんソファーに退き、呼吸を整えていた。メスを使う時は、今でも緊張するらしい。
撮影を終えた弓子が左右の乳房に並べると、高志はもう一度大きく息を吸ってから、ソファーを立って硬度計を取った。2つの乳房に向かい合う。ここだけは、解体前に硬度を測定する手順になっていたのだ。硬度測定を終えた高志は、乳房の分解を始めた。
丸く切り取られた右乳房の皮がゆっくりと剥がされた。乳首を中心にして、脂肪の固まりが輪のようになっている。それを無言で弓子に手渡す。
弓子は剥がした皮膚をアクリル版にセットし、撮影した。
高志は作業の節目でカメラを取り、細部を接写していく。里奈の乳房は皮をはがれても、ボウルを伏せたような均整がとれた形状を保っていた。高志はその乳房を真っ二つに割った。
弓子はつぶやく。
「そんなに荒っぽくていいんですか……?」
高志はうなずいた。
「乳房は、脂肪と乳腺の塊だ。いくらでも細分化できるが、再構築できる能力が今のハード側にない。残念だがこれも断面の画像を撮っておいて、マッピングで擬似的に再現する意外にないだろう。もっといいアイデアが浮かんだら、再度解剖しよう」
弓子は高志の接写が終わると、2つに割れた乳房をパックに詰めて冷凍庫へ入れる。もう片方の乳房も同様に処理された。
手術台には、里奈の胴体が残った。
首と手足を失い、さらに両の乳房を切り取られた胴体。胸部に貼り付いた二つの赤い円が、道化師の目玉のように見える――。
弓子も、もはや生命活動を連想できなかった。里奈は、単なる物体に変わっていた。悪趣味なオブジェのようだ。里奈は肉体を破壊されることで、荘厳な美しさを急速に失っていく――。
切断面からにじみ出す血液とアルコールを拭き取る時、かろうじてそれが生命を持っていたことを意識するだけだった。
それが、悲しい。
高志も冷静さを失うことはなくなった。喉の切り口にメスを当てると、ゆっくりと胸の下まで切り裂いていく。さらに肩から肩へ、深い切り込みを入れる。
弓子も、解剖に慣れていた。競技を合計すれば、5回も同じことを繰り返してきたことになる。
しかし胴体の解剖は、これまでと順序を変えると知らされている。内臓は腹腔内に絡み合って収まっているため、外周から順に取り除くと、支えを失なって位置関係が崩れるからだ。それを防ぐためには、まず前面の筋肉――大胸筋や福直筋などを取り外し、胸骨を切り取り、腹腔に臓器を納めたままの状態で位置関係を撮影していく必要がある。記録を残しながら、上部にある臓器から切除していくのだ。内臓が空になった後に皮膚を剥ぎ、撮影し、最後に骨の保存にかかることになる。
高志の指示が飛ぶ。
「じゃあ、カメラを取って」
今回、弓子は一眼レフデジカメを手動で操作する手はずになっていた。パイプフレームカメラでは移動が困難なためだった。
弓子はラテックスの手袋を外すと、素手でカメラを握って、確認を求める。
「こうですか?」
高志は弓子がデジカメをしっかり構えていることを確認し、うなずいた。
「シャッターを切る時は、脇を締めるのを忘れずに。気が緩むと空き気味になる。じゃあ、開くよ」
胴体を横切るようにメスを入れた。里奈の胸部は、両開きの扉のように切り込みを入れられたのだ。高志は時折メスを差し込みながら、胸部の右側を開いた。手術台を照らす強力な照明の中に、筋肉の束が浮かび上がる。高志は左側も開けると、身を引いた。
同時に弓子が身体を乗り出した。素早くデジカメを向け、シャッターを切っていく。
高志が言った。
「そのカード、Macに入れてみて。今の画像をチェックする」
弓子はうなずいてカードをMacに入れ、内容を転送した。
「〝写真〟で見られればいい」
弓子は画像を閲覧できる状態にして、椅子を立った。
代わって高志が進み出る。手術中の外科医のように両手を前に上げ、身を乗り出す。しばらく画面を見つめる。
弓子は息を詰めて判定を待った。
高志はようやくうなずいた。
「練習した?」
「部屋で、少し」
「ブレはない。これはこれで使える。でも、これからアップを取る時は、もう半歩近づいて。この場所を撮影するんだ、という明確な意志を持ってシャッターを切るんだ。すぐに慣れるよ」
弓子は素直にうなずく。
「はい」
弓子は素人だ。没にされないだけでも嬉しい。しかも、高志の指示に従えば、必ずより良いものができると分かっている。
高志は手術台に戻った。
次に大胸筋の一部を切り離す。大胸筋は、3Dスキャナでスキャン後、表面の画像を撮影した。高志は弓子にカメラを預けたまま、大胸筋を手術台に戻し、それを教材にして接写を指導していった。
胴体の解体を始めておよそ3時間後、そこには白い胸骨と肋骨の群れが露出していた。弓子は身体全体を大きく動かしながらデジカメを操作し、腹腔を取り囲む骨の組み方を様々な角度から記録していく。高志は何度かデータを確認したが、その後は弓子に接写を完全に任せた。充分習熟したと認められたのだ。
その間に高志は、小型のノコギリを準備していた。弓子がデジカメを置くと、肋骨にノコギリを近づける。
肋骨は、脊柱――すなわち背骨から左右12本ずつ出ている。背後から胸を取り囲む、カゴのような構造なっているのだ。そこに蓋をするような形で、体の中心に縦長の胸骨が被さっている。この2種類の骨をつないでいるのが、肋軟骨だ。胸骨と肋軟骨は一体となって、魚の中骨のような形状で人体の上体前部を覆っている。さらに肋骨と肋軟骨の間には、肋間筋と呼ばれる薄い筋肉が膜状に張られている。肋間筋はリボン状の筋を3層に重ねた構造で、呼吸時に肋骨を引き上げる働きを持つ。
肺や心臓などの臓器は、これらの骨と筋肉に守られた胸郭に納められている。
高志は肋骨をノコギリで示して説明した。
「骨と軟骨の接合部分は正確にモデリングしたい。むりやり外して損傷を与えたくないんだ。だから、肋骨を切断することにした。堅い肋骨ならモデリング時にデータをつなぎ合わせやすい」
最初に、切断場所を横切るように細いマーカーで線を引く。線の両脇に、連番を記す。データを結合する際に間違えを防ぎ、ねじれを避けるためだ。次に線の真ん中にノコギリを当て、切る。ノコギリは軽く引くだけでどんどん骨に食い込んでいった。高志は内臓を傷つけないようにゆっくりと作業していく。
弓子は大型のスポイトを持って待機していた。もう一方の手には、アルコールを入れたペットボトルが握られている。高志がノコギリを引くと、切断した骨にボトルからアルコールを注ぎ、血液や骨の切り屑と一緒にスポイトで吸い上げる。吸い取ったアルコールは、足下のバケツに捨てた。
2分ほどで一番上の1本が切断された。
高志はメスで肋間筋を切り、次の肋骨にノコギリを当てた。2本目を切断すると、弓子が内部を清潔にする。流れ作業のように、同じ工程を繰り返していく。よどみない共同作業を続けておよそ30分後、里奈の肋骨は完全に切り取られた。
ノコギリを置いた高志は、ゆっくりと胸骨を持ち上げた。腹腔内が露出する。
手を休めた2人は、じっと里奈の内蔵を見下ろした。
肝臓、肺、心臓――艶やかに光る臓器が立体パズルのように整然と収まっている。人体模型そのままの光景だ。
弓子は自室で見た人体図鑑を思い起こし、既視感に捕らわれた。もはや、不気味さや恐怖は感じない。人体への畏敬が、解剖が進むたびに強くなっていく。
高志が息を呑んだ。
「これが里奈さんか……」
弓子も同じ気持ちだった。
高志が内臓にこそ個性があふれると語った時は、実感がわかなかった。だが、高志は正かった。目の前にある内臓は、明らかに里奈なのだ。他の誰でもない、里奈そのもの――。
弓子は、高志が苦しみながらも解剖に臨んだ気持ちを理解できたような気がした。架空のデータで人体を構成してきた高志にとって、実物の人体に出会うことは千載一遇のチャンスだったのだ。犯罪には違いない。社会的には許されない行為だ。だからこそ、プロであればあるほど、誘惑に勝てない悲願でもあるはずだ。江戸時代、禁を犯して腑分けを始めた蘭学者に似ている。高志はまさに、デジタルエイジのフロントランナーなのだ。
高志は胸骨を3Dスキャナで撮影すると、弓子に差し出した。大きさはA4の雑誌ほどで、意外なほど軽い。指先に力を込めれば、割れてしまいそうだ。弓子は高志から胸骨を受け取り、改めて実感した。人間の身体は、これほど華奢な部品からできあがっている、壊れやすい存在なのだ。
弓子は接写を終えた胸骨を袋に入れて名称を記入し、空の冷凍庫に納めた。すでに4台の冷凍庫が四肢のパーツで満杯になっている。
高志は言った。
「内蔵を外す」
弓子はうなずき、再びデジカメを取った。高志の作業中に、指示を受けた場所を撮影するのだ。
高志はメスを握り、内臓に手を差し入れた。大きく目立つ臓器の下に指を入れ、わずかに持ち上げる。肝臓だ。
高志がつぶやく。
「この下を撮影して」
弓子は身を乗り出して、カメラのレンズを高志の指に近づけた。アルコール臭が強まる。
高志が持ち上げた肝臓は、太い血管につながっている。その接合部分をフレームに入れると、さらにわずかに接近してからシャッターを切った。角度を変えて、2枚のカットを納める。
高志はうなずくと、メスを動かした。肝臓が体内から切り離されていく。右葉と、それより小さな左葉が一体になってはがされる。
メスを置いた高志は、両手で肝臓を持ち上げた。思わずつぶやきが漏れる。
「重い……」
弓子も、胸郭から取り出された肝臓の大きさに驚いていた。高志の両手からはみ出している。里奈のように細身の女から、それほど大きな臓器が出現するとは予想できなかった。高志は肝臓を洗ってから、3Dスキャナで撮影した。
肝臓を受け取った弓子は表面を接写し、袋に納めて冷凍庫に入れる。その間高志は、心臓の切り離しに向けて体内の観察を進めていた。
そうして2人は、仮眠を取りながら里奈の内臓を分解していった。
*
3日間の休暇のあと、弓子は再び高志と合流した。
手術台には、里奈の首が置かれていた。2人が首を見下ろしてから、早くも5分近くが過ぎている――。
不意に高志が言った。
「これからが一番つらい作業だ。君は、外れてもかまわない」
弓子は高志を見つめた。
「1人でできるんですか?」
高志は数秒間考えた。
「分からない……」
「その間、何をしろと? 休養はたっぷり取りました」
「それはそうだが……」
「でも、あなたには休む気がない?」
高志はじっと弓子を見返した。
「僕には理由があるから。君は違う。これまで充分以上に頑張ってくれた。これからは耐え難さが増す。事故の記憶が蘇るかもしれない。この段階まで耐える必要はない」
「いまさら……」
高志は目を伏せた。
「そのとおりだけど」
「1人でできますか?」
「自信はない」
「それなら、わたしもやります」
高志が弓子を見返す。
「いいのかい?」
「やります」
高志はうなずいた。
「分かった。じゃあ始めよう」
*
首の解剖には6日間を要した。高志は慎重に作業を進め、細分化もこれまでより細かく行われたのだ。最後にカウンターに残ったのは、歯がついたままの下顎の骨だった。
高志は崩れるようにソファーに座り、言った。
「それを冷凍したら、解剖の段階は終わる。よくつき合ってくれた」
弓子は下顎を9台目の冷凍庫に納めた。そして、対面するソファーに腰掛ける。
弓子には、高志の感謝の言葉が本心から出たものだと分かっていた。里奈の顔の皮膚を剥ぎ、筋肉を1つ1つ取り去り、眼球をえぐり出す――延々と続く拷問のような作業に、高志が神経をすり減らしていることは明らかだった。
弓子は知っていた。
顔の解剖を始めた頃、高志は休憩のたびにトイレに駆け込んで嘔吐を繰り返していたのだ。吐くものなど、残っていないのに。そして、弓子の顔を見ると背筋を伸ばして再びメスを握った。プロとしての意地に支えられて、高志はかろうじて正気を保っていたのだ。
弓子は、自分がいなければ高志は里奈の解体を放棄していたかもしれないと思っていた。もちろん、弓子にとっても楽な作業ではなかった。立ち続けていられたのは、里奈が蘇る時を待てるからだ。それでも、耐えることが少しずつ容易になっていた。頬の皮膚をはがす時も、目を逸らさなかった。
気を抜けば呑み込まれる――そう恐れる瞬間さえ、思い返せば一度も訪れなかった。いつの間にか、文哉の亡霊は消え去っていたのだ。
高志が作業の第1段階の終了を宣言した今、弓子は深い放心状態に陥っていた。じっと床を見つめる。
――わたし……自由になれたのかもしれない……。
弓子はその事実に、唐突に気づいた。これまで自分を縛ってきた呪いから解放されたのだ。だが、特別の感慨はない。喜びも湧かない。体も神経も、疲れ果てているからだろう、と思う。
それでも、1歩前に進めたことは分かる。
高志も長いため息をもらした後に、続ける。
「ありがとう……。思った以上にハードだっ……た……」
高志はうつむいて、不自然に言葉を切った。
弓子は顔を上げて高志を見た。
うなだれたまま、すでに寝息を立てている。ようやく緊張を解き放ったのだ。
弓子がつぶやく。
「子供みたい……」
弓子はソファーを立って、高志を横たえた。高志は起きなかった。
同時にドアの鍵が開く音がする。
弓子は高志の寝顔を確かめて微笑んでから、自室へ向かった。弓子にも、睡眠が必要だった。
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