7
高志は最初に3Dスキャナの解析ソフトをMacにインストールした。スキャナ本体とMacをコードで接続する。
次にクローゼットから次々とパイプを運び出し、手術台の横に運んだ。弓子はジョイント金具をツールボックスに移し、手術台に置く。
高志はしばらく部品を眺めて動きを止めた。考えているらしい。弓子はその姿を黙って見つめていた。これが話しかけてはいけない状況だということは、直感的に分かる。
高志は不意に小さくうなずいた。作業の全体像を頭の中で組み上げたようだ。長いパイプを縦に置き、ツールボックスからジョイントを選び出して六角ボルトで軽く締めた。動き始めると迷いなしに作業を進めていく。次に短めのパイプを手術台に乗せ、縦のパイプに付けたジョイントで挟み、ねじを仮止めする。手術台の反対側に回ると、横置きのパイプの端に縦のパイプを組み付ける。
手持ち無沙汰に作業を見ていた弓子がつぶやく。
「器用なんですね」
何をどう作ればいいのか分からないので、手の出しようがない。
高志は手を休めずに応えた。
「物を創るのが好きなんだ。ここに用意してあるパイプのセットは、事務所で使っていたのと同じだし。組み立てにも慣れている」
高志は次々に部品を選び出し、同じ枠組みをもう1つ作っていく。
「手伝います?」
「ここを持ってて」
弓子は枠組みの1つを支えた。高志は2つの枠組みをつなぐようにパイプを渡してジョイントで止める。さらに数本のパイプを付け足すと、見る見るうちに手術台を覆う立方体の枠が出来上がった。
高志が自ら説明を始める。
「このフレームに、デジカメとライトを固定する。いろんな方向と高さから一斉に撮影すれば、効率的に質の高いデータが取れる。カメラは一度に6台程度使おうと思う。さらに手持ちで細部を補足していく。そのデータを、君が整理する。僕は、用意されたデータでモデリングを始める」
「モデリング?」
聞いたことがある用語ではあったが、平面のデザインしか経験がない弓子は正確な意味を知らない。
「形を造る作業だが、その辺の説明は後で。実際に作業しながらの方が理解しやすいだろうから」
「倉庫にあった3Dスキャナではできないんですか?」
「納得できる精度が出せるかどうかが、まだ分からない。あの機種には表面の色合いを撮影する機能も付いているが、解像度が低すぎる。どっちみちデジカメで詳細な画像を揃える必要があるから、作業は無駄にならない。後で3Dスキャナも使ってみて、従来の方法と比べてみようと思っている。どの機材を使えば一番高い精度が出せるか、どう組み合わせれば作業効率が高まるか、最初の段階で方針を決めたいから」
高志は手際良く仮止めしたパイプの位置を調整していく。
「こんな撮影って、いつもやっているんですか?」
高志は自嘲的な笑いを漏らした。
「生きてる人間の手なら、撮影や計測もする。でも、切り取った〝腕〟からデータを起こすなんて始めてだ。どうやって手に入れたのか……考えたくもない。不気味だよね」
弓子は、腕を見せられたショックで一睡もしていない。目を閉じれば、文哉の事故まで思い出してしまう。
「不気味って言うより、怖い……。切るなんて……」
「多分、誰かが死んでいる。でも、そんなことって世界ではありふれたことだ」
「平気なんですか?」
高志は肩をすくめた。
「無力だから。パンデミックや飢餓や殺し合いは、日本人にはなじみが少ない。テロでさえ、僕らにとっては他人事だ。それでも、世界中で年間10000万件に迫るテロリズムが起こっているそうだ。きっと今だって、どこかで爆弾が炸裂している。僕が悩んだところで止められない。身近な人を守るだけで精一杯だ」
「でも……」
高志は不意に手を休めて、弓子の目を覗き込んだ。
「昨日は眠れた?」
見つめられた弓子は目を伏せた。
「ええ……まあ……」
「っていうか、食事とか、ちゃんとできてる?」
実際は、食事は喉に押し返される。入れたところで胃が受けつけない。喉を通るのは、冷蔵庫に詰まったドリンク剤や栄養補給ゼリーだけだった。切断された人体を見たことも、もちろん始めてだ。ここで目覚めてから異常な事態ばかりが起こるが、その全てが弓子の神経を容赦なく締めつける。
――なぜこんな目に会わなければならないの……。
高志は、酒に酔ったように昂揚している。だがそれも、痛み止めによる一時的なものだろう。性器を切断されたのだ。物理的な傷はもとより、男にとって精神的なダメージがどれほど大きいかは計り知れない。
文哉の自殺以来、女であることを忘れた弓子には、分かるような気がする。日に日に大きく、重く育っていく、その苦痛が……。
――なぜ高志さんはこんな目にあったの……?
だが、繰り返されるその疑問さえ、もはや虚しい。
逃げられない。諦めるしかない。命じられた仕事を終わらせるしかない。そう思っても、恐怖はやはり恐怖だ。
眠れるわけがない。
高志がぽつりと言った。
「僕だってそうだ……。だが、必ず脱出してみせる。子供に手は出させない」
そうなのだ。高志には自分を支え、駆り立てる動機がある。だが、自分には何もない。子供はもちろん、夫も彼氏も、家族と呼べる存在もない。元々孤独な自分が、ただ1つの社会とのつながりだった仕事からも切り離されて、砂漠の国に閉じ込められている。ここは、日本ですらないのだ。
今、頼れるのは、高志だけだ。できることなら、一晩中しがみついていたい。しがみつけるなら、誰でもいい。強い男の胸に顔を埋めて、何も見ないでいたい。イミテーションの自分の部屋で、ひざを抱えて震えることには耐えられない。
だが、その高志の頭は家族でいっぱいだ。自分がすがる余地はない。
孤独は加速するばかりだった。
すべての結びつきを失った自分は、一体、なんなのか――。
どこへ漂っていくのか――。
弓子が漏らす。
「眠れないんです……ずっと……」
高志の応えには少し間があった。
「だと思っていた」
高志も、眠っていないのだ。
「こんなこと、いつまで……」
「まだ、始まってもいない。始まれば、やらなければならないことが山積みだ。仕事があれば、気がまぎれる。疲れれば、きっと眠れる」
高志はそこにかすかな希望を抱き、恐怖を乗り越えようとしているらしい。
「……できそうもない……」
「僕が教える。だから、気持ちをしっかり持つんだ」
「でも……」
何を言っても、答えは分かっている。家族を救うために、アシスタントが必要なのだ。〝天の声〟は言った。〝自殺を試みることもできない。逃げることもできない〟と。
逃げようとすれば、高志が弓子に敵対する可能性すらある。この密室で、唯一の味方を敵に変えるわけにはいかない。
絶対に――。
高志がつぶやく。
「腹は減らないか?」
「別に……」
これまで、高志の食事は欠かさず準備していた。だが、自分の分にはほとんど手を付けず、捨てていた。
高志は改めて弓子の全身を見渡す。
「痩せたみたいだけど」
自分でも感じていた。拉致されてから数日しか過ぎていない。それなのに、監視カメラを気にしながらシャワーを浴びるたびに、下腹が不自然にへこんでいく。雑な化粧で誤摩化そうとしているが、顔色も悪い。
いきなり、涙があふれた。
「こんなこと、いつまで……」
高志は弓子の肩にそっと手を置いた。
「食事、何か作ってもらえないか? サンドイッチとか、簡単なものでいい」
弓子は眼を伏せたままうなずく。
「わかりました……」
何かしていれば気がまぎれる――。
高志は弓子を落ち着かせるために食事を要求したようだった。1人で心ゆくまで泣けということなのか、自分の前では泣くなということなのか。そのどちらかは判断できない。
部屋に戻った弓子は、ベッドに倒れ込むとシーツに顔を押し付けたまま泣いた。数10分後、涙を拭い、化粧を落した弓子はキッチンに立った。
弓子は有り合わせの材料で作ったサンドイッチの皿を持って、グレーの部屋に戻った。カメラのセッティングはすでに終っていた。パイプの枠組みには6台のカメラが組み付けられ、様々な角度から手術台にレンズを向けている。その周囲には4台の照明が白い傘を広げていた。
高志はMacの前に座っていた。椅子を回転させて弓子に微笑みかける。
「ありがとう。まず、食べようか」
立ち上がった高志はソファーに腰掛け、コーヒーメーカーから2つのマグカップにコーヒーを注いだ。1つを弓子に差し出す。弓子はテーブルにサンドイッチを置き、コーヒーを受け取った。仕方なさそうに、対面するソファーに腰をおろす。
高志はサンドイッチを食べ始めた。弓子とは眼を合わせずに、小さな声で話し始める。
「これからが本番だ。まず、あの腕の外側を計測する。でも、それはほんの手始めだ。命令されたのは、腕の内部までの、完全な再現だ。そのためにはパーツに分解する必要がある。早い話、解剖。耐えられそう?」
弓子には、想像がつかなかった。自分が命じられた内容は分かっている。だが、体験したことなどない。ましてや、人体の一部を解剖するなど……。
かつて、恋人の顔の内部を見てしまったことで、弓子の人生は大きく変わった。逃げ道があるなら、迷わず現実に背を向ける。
弓子は両手でマグカップを包んだまま、つぶやいた。
「耐えられない……と思います」
高志は小さくため息を漏らした。
「だろうね。でも、やってほしい。僕の家族のために」
「無理だと思う……」
「それでも、お願いする。助けてくれ。僕のために」
「自信がない……」
不意に、高志の口調が単調になった。
「僕はね、何度も死のうとしたことがあるんだ……」
弓子の視線が、高志に向いた。だが、言葉は返せない。高志が何を言おうとしているのか、理解できない。
高志は弓子の目を見つめてから、つぶやくように続けた。
「小学校の頃から、周囲に馴染めない子供でね……。算数や理科は何の苦労もせずに理解できたが、集団行動を押し付けられることには我慢ができなかった。そんなことをする意味が納得できなかった。運動も苦手だった。当然、いじめられていた。生半可じゃないいじめだった。今でこそ、学校は事件化を恐れていじめには厳しく対処する。だが、陰惨ないじめは僕の時代からあったし、誰にも助けを求められなかった。両親にも、だ。彼らは世間体を気にするばかりで、普通にしていられない僕を持て余していた。特に父親は、仕事を言い訳にして僕の苦痛に向き合うことを避けていた。そんな苦痛が、高校生まで続いた。だから、何度も自殺を考えた。実際に、川に飛び込んだこともある。窒息したくて、スーパーボールを飲み込んだこともある。でもね、人間の身体には生きようとする本能が刻み込まれている。助かろうとする身体の反応は、理性では抑えられない。結局死ねなかった。親も事故だと思って、自殺の可能性なんか考えもしなかった。恨みがましい遺書は残したが、死ねなければ誰も見つけてくれない。今から考えると、親は気づいていたような気もする。見ない振りをしていたんだろう……」
弓子がつぶやく。
「なぜそんな話を……?」
高志は悲しげな微笑みを浮かべ、淡々と続けた。
「そんな僕でも、ゲームを造り初めて、ようやく居場所を見つけた。そして妻と出会った。彼女もまた、つらいいじめにあってきた人だった。それは、会った瞬間に直感的に分かった。僕と同じ、孤独な匂いがしたから。だから僕らは、自然に一緒に暮らすようになった。妻は、僕の分身だ。ともに、世の中にはびこる〝普通〟じゃなければいけないという〝信仰〟に押しつぶされ、〝普通〟になれずにもがいていた。言ってみれば〝戦友〟だ。2人でいれば、理不尽な世の中と戦える。死のうなんて考えずに、自分自身でいることが許される。彼女と出会えなかったら、僕はやっぱり自殺していたかもしれない……。僕のゲームが世界的に評価され始めた頃、アップルからアメリカに来ないかという誘いもあった。アメリカでなら、もっと自由に生きられるかもしれないとも考えた。だが、妻は行きたがらなかった。新しい環境を嫌がったんだ。僕は結局、妻と日本で暮らすことを選んだ。今でも後悔はしていない。僕が本当の僕でいられるは、彼女と共にいる時だけだからね。妻は、それだけ大事な存在なんだ」
弓子の目に涙がにじむ。
「ずるい……そんなことを打ち明けるなんて……」
「でも、事実だ」
「じゃあ、どうして別居なんか?」
高志が重たい溜息を漏らす。
「似た者同士、だからね。時に、行き詰まることもある。傷つけ合うこともある。ゲームの追い込みでいっぱいいっぱいだった時だから……。悪いのは、僕だ。僕は、妻に救われた。だから僕も、彼女を見放すことはできない。仕事なんかどうでもいい。これからはずっと妻のそばに、家族のそばにいようと決めた矢先だったのに……」
「わたしが逃げたら……」
「妻を助けられない」
「でも……わたし、きっとできない……」
「僕が支える。全力で」
「でも……」
「助けてほしい」
弓子は目を伏せた。返事もできない。涙が一粒、こぼれ落ちた。
高志が、言った。
「やってみてから、考えよう。冷蔵庫から出すよ、あの〝腕〟」
高志の口調は柔らかかった。だが、意志は硬い。敵に回すことはできない。絶対に。
「はい……」
「ありがとう」
高志は立ち上がると、ほとんど手つかずのサンドイッチが乗ったテーブルを部屋の隅へ動かしていく。
弓子はカップを握って、立ち上がる。その温もりが唯一の心のよりどころであるかのように。弓子は自然と手術台から遠ざかり、冷蔵庫が並ぶ壁から離れていった。
高志はその姿を横目で捉えながら、ラテックスの使い捨て手袋をはめる。独り言のようにつぶやいた。
「いちばん左、って言ってたよな……」
高志は呼吸を整えながら冷凍庫の壁へ近づいた。
反対に弓子は、高志から遠ざかっていく。背中が壁に当たる。それでも少しでも離れようとするように、カップを抱きしめて少しずつドアの方へ移動していく。その目には不安と恐怖が渦巻いていた。
高志は下段の冷凍庫の取手を掴むと振り返り、弓子を見つめた。
「開けるよ」
弓子は何も反応しなかった。
高志は取手を引いた。冷凍庫の中箱が、そっくり引き出されてくる。昨日見せられた〝腕〟が、白いプラスティックのバットに載せられていた。チルド冷凍されていたのか、霜は付いていない。たった今、人体から切り落とされたかのように生々しい。色は、やや黒ずんで見える。高志は数回深呼吸すると、意を決したように屈んだ。バットごと〝腕〟を持ち上げる。
弓子が〝腕〟から視線を逸らせる。
横目で弓子を見た高志は、何も言わなかった。バットを手術台に乗せる。
「最初は見ているだけでいい。まずは、3Dスキャナのデータを取ってみる」
高志は3Dスキャナを掴み上げると、バットの上の〝腕〟にレンズを向けた。背面のボタンを押すと、ストロボライトが激しく点滅し始める。スキャナとMacをつなぐコードを片手で握り、ゆっくり横に移動していく。〝腕〟の表面に沿ってスキャナを動かしながら、細かく全体を撮影しているのだ。
弓子に作業を説明する。
「このスキャナでは、物体の表面を点の集まりとして計測する。それを処理ソフトが合成して、計算式に変換していく。昔は合成する基準として、マーカーという印をうんざりするほど付けていたけど、今じゃそれも必要なくなった。ほんと、楽になったもんだ」
データ採取の進行状況は、リアルタイムでMacのモニタに表示されていた。レンズの死角になってデータが取れない部分は、透明になっている。モニタを確認しながら透明の部分にレンズを移動していくと、足りないデータが読み込まれ、自動的に画像が合成されていく。
片面を撮影し終えると、〝腕〟を裏返し、下になっていた面を同じ要領でスキャンした。
作業を終えた高志はスキャナを置いて、Macに向かった。数回キーボードを操作すると、意外そうにつぶやく。
「このソフト、こんなに早かったっけ……?」
モニタには、人間の手を描いた線画が現れていた。高志がワイヤレスのマジックマウスの上で指先を微妙に動かすと、画面の中で線画がくるくると回った。
弓子の目は、高志が操る画面に向かっていた。
振り返って幸子を見た高志が、言った。
「悪くないね。データが正確なら、かなり効率化できる。でも、精度はどうなんだろう。後でじっくり比べてみよう。さて、次は今まで僕がやってきた方法だ」
ちらりと弓子の視線が手術台に向かう。
高志は両手で〝腕〟をつかんだ。持ち上げるとバットの横に〝腕〟を置き、6台のカメラで囲まれたパイプの枠組みの下へと押し出していく。切断された断面を弓子に向けないように気を使っているようだった。
コーヒーカップを握ったまま動けずにいる弓子に、高志が言った。
「そこに立ったまま、作業の流れを見ていて」
高志はしばらく〝腕〟を見つめて動きを止めた。じっと黙り込む。撮影の計画を練っているようだった。
そして、おもむろに撮影を始めた。〝腕〟の位置を整え、パイプに付いたスイッチを押す。照明が輝き、6台のカメラのシャッターが一斉に落ちる。高志は1度シャッターを切っただけで、カメラの液晶画面で画像を確認し始めた。1台を見て設定をわずかに変える。そして、独り言のように説明した。
「露出が少し高かった。データをとる素材だから、もう少しコントラストがシャープな方がいい」
ほかの5台にも微調整を繰り返すと、もう一度全体のシャッターを切る。再度すべてのカメラを確認してから、それぞれのSDカードを抜いた。
「このカードからいったんデータをMacに落とす」
そして、モニタの横にセットされたカードリーダー――メモリーカードの読み取り装置にSDカードを押し込む。Macでは撮影データを接続すると自動的に〝写真〟と名付けられたアプリが起動する初期設定になっている。汎用Macに付属している純正の写真管理ソフトだ。だが、高志が設定を変更したMacではデスクトップにデータが置かれた。起動したのはプロ仕様の画像ソフト、フォトショップだ。
高志は撮影したばかりの腕の写真をフォトショップで開くと、振り返って弓子を見つめた。
「次の作業、やってもらえるかな?」
唐突に呼ばれた弓子は小さく体を震わせた。両手で握りしめたコーヒーカップはすっかり冷めきっている。
「わたしが……?」
高志は壁際に立ち尽くす弓子の目を見つめてうなずく。
「君が、だ」
弓子の背後には壁しかない。それでも弓子は、後ずさろうとする。
「でも……」
高志に逆らうことはできない。理屈ではわかっている。それでも体はモニタの前に座ることを拒否していた。
「怖いのはわかる。僕だってやりたくない。でも、やらなくちゃならない。協力してくれ」
「でも……」
高志は立ち上がってゆっくり弓子に近づく。退路を断たれた弓子から、そっとコーヒーカップを取り上げる。
「助けてほしい。僕だけじゃ、無理なんだ」
高志はカップをテーブルの角に置き、そっと弓子の手首をつかんだ。ゆっくりとMacの前に引いていく。弓子は最初、抵抗した。だが、理性の叫びが逃げ出したい衝動を抑える。
――抵抗すれば、高志さんが敵になる……
弓子は、固く目をつぶった。手首を引かれるままに、高志に従う。止まると、高志のぬくもりが残る椅子に腰を下ろす。
高志がつぶやく。
「ありがとう。もうちょっとがんばって。きっと、慣れるから」
弓子はMacのフォトショップ画面を見つめた。撮影した手のひらが大写しになっている。指紋の一本一本がくっきりと見て取れる。かなり解像度が高い画像だった。
弓子は言った。
「……どうすればいいの?」
自分の声がひどくかすれていることに気づく。
高志は冷静に答えた。
「その画像のアウトラインを取れる? パスが欲しい」
そして高志は、一連の動作を指示した。自信なさげに聞いていた弓子に目にも、わずかにプロの光が戻った。
パスとは、画像に書き込む〝境界線〟だ。パスで囲まれた画像だけを切り抜くような場合に使用される。〝アンカーポイント〟と呼ばれる複数の点と、その点を結んだ曲線で図形を描くものだ。曲線の形は、点から出ている補助線の向きと長さで自由に調整できる。これが〝ベジェ曲線〟で、コンピュータが容易に扱える計算式によって図形を描く方法だ。〝ベクトルデータ〟とも呼ばれ、拡大しても画像が荒れず、データが軽くてすむという特性を持つ。多くのグラフィックソフトは、このベジェ曲線によって画像を描いている。
弓子にとってその指示は、ありふれた作業だった。まず、フォトショップ画面のツールパレットから〝自動選択ツール〟を選ぶ。このツールを使えば、背景とはっきりした違いがある画像だけを選別できる。弓子は背景の白い手術台の部分をクリックした。表示画面の四角と、皮膚の部分が細い点線で囲まれる。手術台の白い部分だけが〝選択〟されたのだ。
さらに弓子は、キーボードの操作で〝選択範囲の反転〟を実行した。最初は手術台を囲っていた点線が、皮膚だけを囲むように逆転する。次にパスパレットから、〝作業用のパスを作成〟を実行する。点線が実線に変わる。単に選択範囲だったものが、計算式化されたベクトルデータに変換されたのだ。そして弓子は、できあがったパスを保存した。
高志は弓子の一連の動作を見守り、うなずいた。
「上出来だね。ショートカットも身に付いている」
弓子はこわばった微笑みで応えた。
初歩的で、簡単な作業だった。高志は、弓子を落ち着かせるために、あえてありふれた作業を命じたようだった。
確かに、1度レンズを通った被写体は、それが何であるかあまり気にならなかった。映されているものが死人の腕であるにもかかわらず、逆に平静さが戻っていくが分かった。バーゲンチラシのモデル写真を切り抜くのと同じ感覚だ。身に染み付いた作業が、心を落ち着かせている。じっと生身の人間の腕を見つめるより、Macの画面に向かう方が耐えやすいようだ。
作業をしていれば気にならないと言った高志の言葉は、間違いではなかったらしい。
弓子は自然に口を開いた。
「写真の切り抜きはいつもやらされていました。下っ端のオペレーターでしたから」
高志も微笑む。
「だが、僕の期待は裏切っていない。クリエイティブな才能は、万能じゃない。それを支える地道なオペレーターがいてこそ、始めて形ある物を作れる」
弓子は、自分が試されていることが分かっていた。合格できたことがうれしかった。
――これなら耐えられる。わたしでも手伝える。高志さんを味方にしていられる……。
カップを抱えて立ちすくむアシスタントなら、邪魔なだけだ。
高志が言った。
「君の能力とスピードは大体分かった。これからは正攻法じゃなくて、僕のやり方を使う。〝写真〟アプリを整理に使っていくから」
弓子が首を傾げる。
「〝写真〟って、素人向けのソフトじゃないんですか?」
「便利なものは、誰が使っても便利だ。膨大な量の画像整理には向いている」
「わたしは何をします?」
「僕が腕の外観を撮影するから、そのデータをいったんMacで補正してサーバに保存する。装置の使い方は分かる?」
「たぶん。ファイルは新しく作るんですか?」
高志はうなずいた。
「ファイル名は〝F左腕1〟」
「エフ……?」
「アルファベットのF。フィーメール。この腕は女性だ」
弓子がつぶやく。
「分かるんですか……?」
「筋肉の付き方で。これからはフォルダが細分化してくると思うが、〝写真〟を使えば簡単に整理できるだろう」
「家でしか使ったことがないけど……やってみます」
「純正ソフトだから、直感的に使えるはずだ。そこから先は君の自由にしていい。フォルダの名称も分類しやすいように決めてくれ」
「保存が終わったらSDカードのデータは?」
「予備のカードが切れたら消去して、再利用する。予備はイヤってほどあったけど、画像はそれ以上にふんだんに撮るから。それまでは、何を記録したかが分かるようにして、保管しておいて」
「分かりました」
高志はふたたび〝腕〟に向かい、数10枚の写真を撮ってSDカードを弓子に渡した。特別な指示も出さずに弓子の作業を見守る。
弓子は高志の視線を意識しながらもデータを〝写真〟に画像を取り込み、自分の判断で整理していった。
弓子が作業を終えると高志は言った。
「確認しよう」
高志は弓子の横に近づいて、立ったままマウスを取る。
高志は〝写真〟のウインドウをのぞき込み、ファイルの階層関係と、撮影データがきちんと納められていることをじっくりチェックした。そして、にこりと微笑む。
「これなら画像の管理を任せられる」
「ソフトが分かりやすいから」
「Mac純正だから、ね。実は、フォトショップの方でも精密で使いやすいパスを取るプラグインを組んである。次からそれを使って」
高志は次の撮影に戻った。腕の位置を調整して、パイプ枠のカメラで大きな部分を撮影する。それが終わるとカメラを手持ちに替えて、細部を接写する。そして、そのデータを弓子がサーバーに保管する。ファイルの名称も弓子が決めた。
弓子は1度、高志に指示を求めたが、高志は簡潔に応えた。
「君が管理しやすいように整理して。僕が求めた時に必要な画像を取り出せればいい。機材をどう使ってもかまわない」
それは、弓子が印刷会社で行っていた仕事だ。チーム全員が共有するデータの多くを、弓子が一元的に管理していたのだ。それが〝天の声〟の目論みであることを、弓子は思い知った。
――だから、わたしだったんだ……。
2人は1時間以上、黙々と作業を続けた。高志のプラグインは、作業の効率を飛躍的に上げた。圧倒的なスピードで整理が進んでいく。ついには撮影の早さを追い抜いてしまった。
撮影を待つ間、弓子はランダムに画像データを画面に表示し、内容を確認した。ピンぼけや手ぶれがないかのチェックだが、否応なしに〝腕〟を直視しなければならない作業だった。デジカメのレンズを通した高志の視線に、感情は読みとれなかった。誰のものとも知れない〝人間の腕〟は、完全に〝物〟として扱われている。
だがそれは、プロの仕事だ。
たとえば、親指。画面いっぱいに接写された指は、爪の丸みや厚さが正確に見てとれる。このカットは爪の先端の湾曲を見るためのもの――というような、撮影の意図が明快な写真ばかりだった。
弓子は理解した。
高志は3D画像を作るための資料を、そうやって収集してきたのだ。画像を制作する工程で、迷ったり不正確になりがちな部分は熟知している。だから、あらかじめ細部の情報を補強しているのだ。
そのプロに徹した姿勢は、弓子にも自然と影響を与えた。弓子もまた、いつの間にかプロと化していた。黙々とデータを調整して保存していく作業に没頭することで心が静まり、自分が拉致されたことも、これが競技であることも忘れていられた。
弓子には、高志が家族を救うために自らを鞭打っていることが分かっていた。だが、撮影に集中する姿を見ていると、理由がそれだけだとも思えなかった。エキスパートとして、競技に勝ちたいのだ。あるいは、プロとしての習性なのか。どんな状況であれ、いい加減なデータを作ることを経験が許さないのかもしれない。いずれにしても、高志は恐怖をねじ伏せて撮影に取り組んでいる。弓子も、その姿勢によって救われている――。
と、高志が手を止めた。
「外見のデータはこれで充分だろう。ここのシステムの実力を知りたい。いったん、今のデータでモデリングをしてみよう」
と、いきなり弓子の横に座ってMacの電源を入れる。
「MAYAはトップクラスの3Dソフトで、その名は古代マヤ文明に由来している。メーカーでは開発当時、工業デザイン系3Dソフトを〝インカ〟、エンターテイメント系を〝マヤ〟のコードネームで呼んでいた。それがそのまま製品の名称になったんだ。MAYAの価格は、だいぶ以前に標準的なレベルに落ち着いた。だがとてつもなく高価だった頃から、プロは迷わずMAYAを選んでいた。むろん、強力な機能を備えた統合3Dソフトだったからだが、他にもソフトは多い。部分的な機能を見れば、はるかに低価格でMAYAを凌ぐソフトもあった。それでもMAYAが選ばれていた最大の理由は、ソフトの機能そのものを作業に合わせて作り変えることができる点にあった。もっとも、MEL言語の知識は必要だけどね。だから作業画面1つとっても、10人いれば10種類のMAYAが存在する。この画面もそうだ。これは僕が組んだマクロ――つまり一連の作業を自動化した画面だ。操作には慣れが必要なソフトだが、万能と言っていい。少なくとも、僕にとっては、ね」
MAYAを起動する。弓子には全く意味がつかめないインターフェイスが画面に広がった。これが、高志が生きる世界なのだ。
弓子はおずおずと言った。
「モデリングも知らないんですけど……」
高志は当然だというように答えた。
「2Dからいきなり3Dじゃ、とまどいもするだろうね。だが、基本は似たようなものだ。モデリングは、簡単に言えば、ベジェ曲線で3面図を描いて立体物のデータを作ること――かな」
「2次元を3次元へ?」
高志はうなずいた。
「曲線や直線で立体を形作るのは、ナーブスと呼ばれる手法だ。高次方程式で面を表現する。ま、コンピュータが得意とする計算の分野だ。もう1つ、ポリゴンでモデリングする方法もある。多角形を組み合わせて、粘土細工のように形を作っていく。僕はナーブスを主体にしてモデリングしている。MAYAではナーブスの表面は、自動的にポリゴンに変換してレンダリングするけど」
「レンダリング?」
高志はわずかに身を乗り出した。口調が講義調に変わる。
「モデリングは単に形を作るだけ。表面の色や質感はデータに含まれていない。いわば素焼きの陶器のようなもので、それに細やかな色づけをしたり、釉薬を塗らないとマイセンの人形にはなれない。だからモデリングデータは、画像を自由に張り付けられる仕組みになっている。そうすることで、質感を再現するわけだ。この作業をマッピングと呼ぶ。たとえばレンガ造りの家を再現する場合、モデリングした壁の平面に、積み上げたレンガの写真を貼りつければいい。写真を丸太の壁に変えれば、同じデザインのログハウスができあがる。張り付ける画像は、例えばさっき撮影したデジカメのデータでもいい。モデリングでコンピュータの中に立体的な爪の形を作り、爪の写真をシールのように表面に張り付けるわけだ。それでモニタ上には本物らしい爪が再現できる。視点を変えて計算し直せば、別の角度から同じ爪を見ることができる。この最終的な画像を計算させる工程がレンダリングだ。ただし、それは3Dの基本で、画像を張るだけではリアルとはいえない。むろん僕は、ずっと手が込んだ手法を使うつもりでいる。他の連中を蹴落とすためだが、果たしてうまくいくかどうか……」
弓子にはすぐ呑み込めない。曖昧に答えた。
「わかりました……たぶん」
高志は微笑んだ。
「実際の作業で覚えていけばいい。まあ、単純に考え方を整理しておくと……3Dグラフィックは、2次元のモニタ上で向きを変えたりアニメにできる。2次元美少女のスカートの中も覗ける、ってことだ。その元になる立体を作ることがモデリング、表面に画像を貼るのがマッピング。モニタに表示させるのがレンダリングだ。データに光沢や陰影をつけて、もっとリアルに立体的に見せる計算をシェーディングというが、これは後回しにしよう」
弓子は不安そうにつぶやいた。
「わたしにもできるでしょうか……?」
「むろん、できる。こうして僕の講義に食らいついている。教則本も揃えせさせるから、部屋で自由に操作してみるといい。それに、3D画像の制作には、2Dの作業も多い。膨大な量のマッピングデータを作らなければならないからね。これは当然、フォトショップで行う。安心だろう?」
「はい……」
「じゃあ、手始めに僕が使って見せよう」
「何かお手伝いします?」
「僕のMacを見ながら、隣りで待機して。必要な素材を指示するから、君が選んで。まず腕全体の外観。真上からと左右両方」
弓子はすぐ自分に与えられたMacに着席すると、〝写真〟から指示された素材を選び出す。すでに大まかな選別は終えており、パスも切ってあった。最も指紋やしわが鮮明に見て取れる3枚を選び、デスクトップに置かれた高志のMacとの共用フォルダ――ドロップボックスに入れる。
「ドロップボックスに入れましたけど」
「早いね。今はそれでいいよ。今後はファイル分けが必要になると思うけど、まだ実験だから。さあ。こっちを見て」
高志は見やすいようにモニタの角度を変えた。
弓子が覗き込む。そこには人間の腕の外形が細かいグリッド――方眼紙の目盛りのような線画で立体的に描かれていた。まるで、暗い宇宙空間に浮かんだ繊細な鳥かごだ。
「これは?」
「人体モデルのワイヤーフレームだ」
「ワイヤー……?」
「モデリングデータを透視したもの。マッピング前の画像。だから裏側まで素通しで確認できる。針金で作った枠みたいだろう?」
「でも……もうモデリングができているですか? さっき3Dスキャナで取ったデータですか?」
「違う。使い回しできる素材を、サーバから引っ張ってきた。次の〝デッドエンド〟のために準備していたものだ。僕の秘密兵器A。こんなデータまで盗み出しやがった」
高志はMAYAからドロップボックスの画像を開いた。
「でも、それじゃ、さっき撮影した本物とは別物でしょう……?」
「全く別だ。でも、指はやっぱり5本ある。つまり、すでに出来上がっているこのデータを、さっき撮影した本物に合わせて変形していくんだ。ゼロから作成するよりは早い」
高志はMAYAのプラグインからドロップボックスの画像の1つを指定する。
弓子は半信半疑だった。
「簡単にできるんですか?」
「できる。僕ははるか昔に、それを可能にするプラグインを創った」
次に高志がマウスをクリックした瞬間、最初から表示されていた画像が形を変えた。腕全体が伸びたようにも思える。
高志がつぶやく。
「早い……」
横からじっと画面を覗き込んでいた弓子はつぶやいた。
「え? 今、形が変わりました? 何をしたの?」
高志はこともなげに言った。
「フォトショップのパスを読み込んで、MAYAの画像に修正を加えた。上から見た画像だけが、君が作成したパスに合わせて変形したんだ」
弓子はため息をつくように言った。
「ワンクリックで……?」
「実際はデータの外観のサイズを一致させたり、形状を損なわない範囲でアンカーポイントを削ったり増やしたり、前や横のデータとの整合性を取ったり――とにかく複雑な過程を経る作業だ。僕はMEL言語でそれを自動化するプログラムを組んだ。このプログラムの基本はドリームメーカー版の〝デッドエンド〟のために作ったものだけどね。あの頃はユニックスマシンでMAYAを走らせていたが、Macにも問題なく使える」
弓子は、高志の才能の大きさに、呆然と心を奪われていた。
「分かりました」
高志は左右から見た2枚の画像をMAYAに適用した。その度に画面上の腕のワイヤーフレームが少しずつ変形し、最終的に撮影した〝腕〟へと変貌を遂げる。空中に浮かんだような〝針金細工〟に現実味はなかったが、その形は正確に〝腕〟を反映したものに変化したのだ。
またしても、高志が溜息を漏らす。
「まだ荒いが、外観は変形を終えた。あっという間じゃないか。このMac、凄まじく早い。背後のMac miniのパワーだな。まさにスーパーコンピュータだ。欲が出てきた」
高志は、高価なおもちゃを手にした子供のように見えた。
「欲って……?」
「実行したことはないが、準備はしていた。秘密兵器Bだ。普通の仕事ならこのモデリングデータに写真をマッピングして終わりだ。だが今回は競技だ。それじゃ強力な敵を凌げないと思う。だから、指紋を彫り込む」
「指紋を?」
「マッピングみたいな誤摩化しではなく、指紋やしわをモデリングしてみようと思う。圧倒的なマシンパワーがなければ不可能な計算だ」
弓子にもそれがどれだけサーバスペースを必要とする作業かは予測がつく。
「必要なんですか、そこまで?」
高志の顔に不安がよぎる。
「分からない。だが、命令は〝可能な限り忠実なデータ〟だ。僕のプラグインとこのマシンパワーが組めば、できるかもしれない。商業的なCGでは絶対にしないけど。勝負には勝たなければならない。親指だけの写真を出して。指紋が明瞭に判別できる、4方向からのもの」
不意の指示だったが、弓子は素早くキーボードに戻った。すぐさま該当する画像を探し、ドロップボックスへ落とす。
高志の指は気鋭のピアニストのように滑らかにキーボードを奏でる。新たなプラグインを起動し、そのインターフェイスから親指を選択する。さらにドロップボックスの4枚の画像を指定する。
弓子は横から高志のモニタを覗き込んだ。
高志は親指のワーヤーフレームをモニタ全体に拡大し、プラグインを作動させた。と、指の形のグリッドが細かく振動していくのが分かった。指全体が変形するわけではないが、表層にきわめて小さな凹凸が刻まれていく。その揺らぎが指の先端からゆっくりと根元と向かっていくのだ。
「プラグインが写真の陰影から指紋の形と深さを読み取る。その情報でワイヤーフレームを変形させているんだ」
2人はモデリングデータに指紋が彫り込まれていく過程をリアルタイムに見守っているのだった。弓子は画面右下のデータ容量に目を留めた。これもまた、オリンピック選手がダッシュする勢いで増えていく。
弓子はつぶやいた。
「重い――」
高志も指紋が彫り込まれていくデータを目を丸めて見つめている。
「だが、早い……とてつもなく早い。模様も深さも実物のままだ。普通なら計算だけで半日仕事だぞ。こんなスピード、初めて見た……これがスパコンなのかよ……」
その後、高志は3Dスキャナで取ったデータと従来手法で完成させたデータを詳細に比べ合わせると言った。
「より正確に、より早く方法を探す。しばらく部屋にこもって考えるから、君も自分の部屋で休んでいて」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます