第2章・競技

 その日は〝左腕〟を確認してすぐ、部屋を追い出された。翌日、手術台の前に現れた高志はヒゲを剃り、表情に鋭さを増していた。

 弓子はすでにその部屋にいた。

 高志は、驚きを見せた弓子に照れたように言った。

「僕だって、たまにはヒゲを剃る。気を引き締めたい時は、特に」

 部屋の中も変化していた。カーテンが外され、床面積が倍以上に広がっていたのだ。入ってすぐの場所に、小さめのテーブルと、それを挟んで2つのソファーが置かれていた。テーブルには小振りのコーヒーメーカーまであった。息抜きのスペースだ。仮眠はここで取れ、という命令にも思える。白い手術台は、変わらずに部屋の真ん中にあった。

〝腕〟は、消えていた。

 正面の壁は異様だった。光沢のある巨大なタイルを並べたような壁が、天井の照明を反射してぎらぎら輝いている。壁は、大きな白い箱を並べた物だった。それぞれの箱は、中型の冷蔵庫のように見える。家電量販店の展示場を、むりやり家庭に詰め込んだような印象だ。箱は、およそ40個。スチール製の棚を間に挟んで、ぎっしりと3段に積み重ねられていた。下段には一回り大きな箱が、横向きに並んでいる。

 弓子がつぶやく。

「冷蔵庫がこんなに……?」

〝天の声〟が応える。

『冷凍庫だ。昨日見せた〝腕〟は、横型の一番左に入っている。それ以外は空だ』

 高志が問いただす。

「なぜ、こんなにたくさん?」

『これから必要になる。ゲームに勝ち残れれば、だがね』

 部屋の中は、寒かった。中には、無数の昆虫が飛び回っているようなうなりが満ちている。壁の上部のダクトから強い冷風が吹き付けていた。大型のエアコンが稼働している。昆虫の羽音に聞こえたのは、その作動音だったのだ。

 高志が振り返る。視線が、ドアの横の壁に止まった。

 なじみ、とも言える光景が広がっていた。デザインスタジオを思わせる機器類が並んでいる。壁際に横長のテーブルが置かれ、そこに3台のディスプレイと周辺機器類がセットされている。Mac本体はテーブルの下にある。だが、テーブルの前に置かれた椅子は3脚しかない。高志の部屋と同じ、エルゴノミクスデザインのジロフレックス。

 弓子がつぶやく。

「ショールームみたい……」

 高志が微笑む。

「うん、美しい。僕の好みだ」

 高志は壁に歩み寄った。無言で、テーブルの下のMac Proを引き出し、外側のケースを持ち上げる。内部の引き出しを抜いたりバーをスライドさせて、食い入るように調べる。

 外見は、普通のMac Proだ。最新型のようで、弓子の会社のデザインチームが使用していたものとは細部が違う。しかし、無数の空気孔を穿ったアルミケース――筐体(きょうたい)は変わっていない。だが、性能は外見では推し量れない。Mac Proは、超高性能と同時にカスタマイズのしやすさを追求しているからだ。

 速く走るのか、遠くに跳ぶのか、深く潜るのか――スポーツ選手が鍛える筋肉は、種目によって違う。コンピュータに求められる性能もまた、使用する目的によって変わる。特にグラフィックスの現場では、部分的に突出した能力が求められる。市販マシンは全てに平均的な能力を備えているに過ぎないのだ。

 Mac Proは本体が大きい。内部に一見無駄な空間も残している。だがサイドパネルを開くと、無駄が単なる無駄ではないことが分かる。その空間は、仕事が求める特殊能力を組み込むための余白なのだ。例えば膨大な容量の記憶ディスク。あるいはメモリーや、各種のカード類。それらが必要なら、あらかじめ用意されているコネクターに接続すればいい。高機能の新製品へ部品を入れ替えることも簡単だ。この拡張性の高さによって、ユーザーは常に最新のマシンを維持することが許される。それらの〝時代性〟までも取り込んで進化する余裕が、その無駄には含まれているのだ。

 さらに筐体と一体化した頑丈なハンドルが、持ち運びを容易にさせる。普段は邪魔にならない机の下に置いても、機能の拡張が必要になれば簡単に引き出せる。移動先のワゴン車の中で画像を編集することも難なくこなす。コンサート会場や展示会に運んで、何世代か前のスーパーコンピュータ並みのパワーを発揮させることもできる。冷戦時代は、その高性能ゆえに共産国への輸出禁止規定であるココムに抵触した唯一のパソコンになったこともある。それがMac Proがクリエイターに選ばれる理由の1つだった。

 舐めるように内部をチェックした高志がようやく腰を上げた。

「ま、当然か……。本体は最上位機種だ。28コアプロセッサで、メモリーもハードディスクも最大に積んでる。処理能力を最優先して、新製品の部品も注ぎ込んでいる。グラフィック処理に関しては、最高のMacだ。つまり、僕のMacと同じ」

〝天の声〟が降る。

『その他、デジカメや照明器具類は左横のクローゼットにある。不足の機材があれば、申し出てもらいたい。妥当な要求には応える』

 高志はMacの前の椅子に座った。その姿には、F1のコックピットに身を沈めるレーサーを思わせる精悍さがあった。Mac Proの電源を入れる。マック特有の起動音が部屋に広がった。

 高志は〝天の声〟に質問した。

「ソフトは?」

『もちろん、君が愛用している3Dソフト――MAYAがメインだ。その他にもXSI、モーションビルダー。2Dソフトではフォトショップやイラストレーターなど、君が常時使用しているバージョンを揃えた。我々のハッカーが君の事務所に侵入して得た情報をもとに可能な限り再現した。建物内のMacは、全て同じ環境になっている。容量と速さは君の環境を遥かに凌いでいるがね。ただし、LANは有線で、それぞれのフロアだけだ。フロア内のマシンはつながっているが、ネットにも他のチームのマシンにも一切接続していない。巨大なスタンドアローン・システムだと考えていい。例外は、我々が君のマシンに侵入する時だけだ。通常は接続を遮断しているし、接続時は我々のマシンをネットから隔離する。我々を介して君がネットに繋がることは不可能だ。資料などが必要な場合は申告するように』

 Macの起動画面が終わり、パスワード入力に変わる。

 高志は素早くキーボードを叩いた。

「パスワードも盗んだのか」

 デスクトップ画面が変わり、右横の〝ドック〟と呼ばれる帯にインストールしてあるソフトのアイコンが一覧で表示された。デスクトップはグレー一色で塗りつぶされている。

『君が独自に開発したプラグインもインストールされている。君たちには落ち付ける環境で作業してもらいたい。だから自宅も含め、忠実に再現したのだ』

 プラグインは機能を絞り込んだ軽いソフトで、より大きなソフトに組み入れることで操作性を上げる。高志は自分が開発したプラグインをいくつもMAYAに組み込み、自動化を進めていたのだ。

「キャリブレーションは?」

『終わっている』

 キャリブレーションとは、モニタが実際の色彩を忠実に再現できるようにする調整作業だ。色に敏感なデザインの現場では不可欠な工程になる。弓子の会社でも、定期的に行っていた。

 高志はフォトショップで画像を開いた。テレビのテストパターンのような画面をじっと見つめる。

「いいようだが、1時間後に再チェックする。全部のMacで終わってるのか?」

『全て。キャリブレーションの装置も君の事務所から拝借している』

「ハッカーというよりは、空き巣の仕事だな。キャリブレーターを持ってこい。他人任せにできない。演算速度は?」

『自分で確かめてみるといい。別の部屋に1000台のMac miniをクラスタ化している。君たちの部屋のサーバも飾りではない。全て本物で、システムの一部だ』

 高志は肩をすくめた。

「スパコンのランク入りを狙っているのか?」

〝天の声〟が平然と応える。

『他のチームの機材と並列化すれば、トップ1000には入れるかもしれない』

「マジかよ……。だが、Macづくしは気に入った。ただでさえイライラしてるのに、ウィンドウズの画面なんか見たくない」

『君の趣味も調べ上げたからな』

 弓子がつぶやく。

「スーパーコンピュータって、そんなに簡単にできるの……?」

 答えたのは高志だ。

「アメリカ空軍は昔、プレステ3を2000台ほどつなげてスパコンに仕立て上げた。処理能力は当時のランクで世界50位以内に入っている」

〝天の声〟が応えた。

『そのとおりだ。では、作業に入ってもらおう。我々が要求しているのは、対象を忠実にデジタル化したデータだ。完成度を高めるためなら、何も制限しない。アプローチの方法は、君たちに任せる』

 その間にも高志はMAYAを起動してプラグインをチェックしていた。そして、不意に小さな笑みを浮かべる。

「確かに、プラグインは全部インストールされている。ウェタから手に入れた〝アバター〟用のプログラムも入っている。これに僕のプログラムを加えれば、高度な作業が効率的に進められる。ピーターにも負けない」

『そう願うよ。まだ産まれていない君のお子さんのためにも』

 高志は声が出てくる辺りの天井を睨みつけた。

「盗み聞きはかまわない。だが、口は挟むな。これからは作業に集中する。仕事をさせたいなら、黙っていろ」

 返事には、わずかに含み笑いが混じっていた。

『分かった』

〝天の声〟は、高志が本気になった時の神経質さもあらかじめ了解しているようだった。だが弓子は、高志の口調が不意に冷たくなったことに戸惑っていた。

 高志は、弓子の表情に恐れが浮かんだ事に気づいたらしい。そっと微笑んだ。

「君は別だ。パートナーだからね。いつでも、なんでも質問してかまわない。意見があれば、率直に。特に、技術的な点は完全に理解できるまで質問してほしい。基本的な知識が欠けているとミスの原因になる」

 その声は、一転して穏やかだった。

 弓子も微笑み返す。

「いいんですか、本当に?」

 高志はソフトをチェックする手を休めない。

「いいんだ。作業をしていても、会話はできる。ただ、手を止めて考え込んでいる時はそっとしておいてほしい。問題解決のために頭がいっぱいになっているから」

「分かりました。じゃあ、聞いていいですか? あなたはどうしてMacにこだわっているんです? 3Dの人って、ウィンドウズを使うんじゃないんですか?」

「嫌いなんだ、あの画面。ウィンドウズで文字を読んでいると、紙ヤスリで神経を逆撫でされているような気がする。癇に障るというか……。あんな醜悪なOSに、どうしてみんな耐えられるんだろう」

 確かに弓子も、ウィンドウズを美しいと思った事はない。選べる時は、無意識にMacを使っている。

「Mac信者……ですか?」

 高志は一瞬黙ってから、滑らかに語り始めた。

「信者というなら、スティーブ・ジョブズの信者かな。彼の感性は、ほんとうに刺激的だった。あの天才が去ったアップルが輝きを失っていくことは、本当につらい。でも、盲目的な信仰心とは違う。3Dの現場でウィンドウズが主流なのは事実だ。Macだけのプロダクションなんて想像できない。だがそれは、大勢のスタッフが作業を分担しているプロダクションでの話だ。プロ用ウィンドウズマシンはクロック周波数が高い分、計算が速い。画像処理のスピードが納品時間を左右するんだから、プロダクションが速いマシンを選ぶのは当然だ。だが実際はそこでも、マッピングデータを作る2D的部門なんかではMacが幅を利かせている。それはMacが伝統的に、2Dの処理や色の管理に優れているからだ。それぞれのOSに、得意な分野があるんだ」

「じゃあどうしてあなたはMacだけに?」

「ずっと少人数で作業してきたから。レンダリングが少しばかり早いというだけウィンドウズを混在させれば、全体の流れも乱れる。1台が計算に入っている間に、もう1台で次の作業を進めれば時間の無駄はなくせる。クラスタ化して分散処理させれば、スピードなんていくらでも上げられる。普通のスタジオと違って、僕には経費を節減する理由がないんでね。金さえあれば、道具は自由だ」

「他のOSは問題外?」

「本格的に3Dを始めた頃はユニックスを使っていた。好きでやっていたわけじゃない。Mac版のMAYAが存在しなかったからだ。だからMAYA以外では常にMacを使ってきた。フォトショップやイラストレーターではMacが常識だし。グラフィックスのクリエイターには、そういうの多いんじゃないの? だが、MacもユニックスベースのOSX(オーエステン)になり、CPUもインテルに変わり、特殊な存在ではなくなった。これから独自CPUに切り替われば、その環境が維持できるかどうか不安も残るがね。だが現状では、3D制作の入り口から出口まで1種類のOSで処理することを考えると、僕にとっては感覚的に使えるMac以外の選択肢はない」

「感覚的……?」

 高志はきっぱりとうなずいた。

「毎日Macで作業をしているなら分かるはずだ。ウィンドウズなんていうゴチャゴチャしたOSじゃ、わき上がってくるアイデアを捕まえるには力不足だ。いちいち脚を引っ張られて、イライラする。世界中の多くのクリエイターが同じ意見を持っていることは認めて欲しいね。かつてミラ・ジョヴォヴィッチがインタビューで断言していたっけ。〝アーティストならMacを使うものだ〟って。単純なことなんだよ。ウィンドウズに耐えられる程度の感性しかないならアーティストとは呼べない、と僕は思う。先端的な科学者も、多くはMacを使っている。きっと彼らも、アーティストと似たマインドを持っているんだろう。ウィンドウズの優れた点を数えればきりがないかもしれないけど、フィーリングが良いというクリエイターは、まずいない。だから、Macは絶滅しなかったし、今じゃアップルはマイクロソフトを超える大企業だ。ま、Macが何10年も先を行っていたことを時価総額が証明したってことかな。Macは、誰が使っても楽しい。楽しいから、想像力を加速する。事実、アップルは世界を変えてきた。iMacはパソコンを変えた。iPhoneは携帯電話を変えた。iPadはコンピュータのあり方そのものを変えた。すべてMacのソフトが楽しいから起こった現実だ。全ての根底に、便利さだけではなく、使いやすさと楽しさを求めるMacの思想があるんだ。OSではたった10パーセント程度のシェアしか持たないアップルが、数が頼みのウィンドウズ陣営を蹴散らしていくなんて、痛快じゃないか? 僕の中での区別ははっきりしている。他人と同じことをしたいならウィンドウズ、したくないならMac、だ。ウィンドウズは奴隷の足かせ、Macは創造者の翼なんだ。Mac信者と笑うなら、笑えばいい。僕も、ウィンドウズを嘲笑し続ける。結果は、仕事の質が決めることだ。……とはいっても、初期のMacは完璧じゃなかった。何より、安定性に不安があった。サーキットを高速で飛ばすようなマシンだから、それも当然なんだけど。だからMAYAも長い間、Mac版をリリースすることができずにいた。だが、OSXの登場で事情は変わった。MAYAがなければ、僕もMacは選択できなかった――」

 高志は不意に言葉を切った。弓子が自分の顔をポカンと眺めていることに気づいたのだ。

「僕、変? しゃべり過ぎ?」

「いえ……なんだか、熱いなって……」

 高志が恥ずかしそうに微笑む。

「Macのことになると、つい。それにさっき、我慢できなくて痛み止めを飲んだ。薬に酔ったのかもしれない。麻酔医なんか、ドラッグ代わりにしてるヤツもいるみたいだから。――おっと、また、脱線だね。さて、機材を見てみようか」

 高志は立ち上がった。奥の壁に向かう。

 弓子が後を追った。

 淡いグレーの壁に黒いハンドルが2つ取り付けられている。壁に作り付けられたクローゼットのドアのようだった。高志はハンドルの片側を引いた。動かない。弓子がもう一方を横にスライドさせる。ドアは両開きの引き戸になっていて、スムーズに開いた。高志が小さく肩を竦めてハンドルを横にずらした。

 ドアの奥も広い空間だった。一軒家のリビングを超える容積がありそうだ。四列のスチール棚が並べられ、様々な機材で埋め尽くされていた。高志は右側の棚の間を進んだ。

 一番右の棚にはカメラ類が並んでいた。すぐに使用できるように箱から出されている。上段にはキャノンのデジタル一眼レフが数10台。数機種がそれぞれ10台以上用意されているようだ。中にはコンパクトカメラも何種類か混じっている。棚の半分から奥には交換レンズが並べられ、その総数はざっと100以上に上りそうだった。さらに奥には交換用バッテリーやストロボ、クリアボクスに入ったメモリーカードなどがぎっしりと納められている。棚の2段目も同じようにカメラ類が並んでいたが、メーカーは全てニコンだった。3段目はオリンパス、4段目はソニーだった。

 それはまるで、巨大な質屋の在庫のようでもあった。

 高志はカメラの群れに見入って、かすかなため息をついていた。

「必要な画像に合わせてメーカーも選べ、ってか……」

 弓子は振り返って2列目の棚を調べた。そこには様々なメーカーのムービーカメラや付属品、三脚類がぎっしりと並んでいる。3列目にはスタジオ撮影用の大型のライトや反射板、ストロボ等、プロカメラマン用の撮影機材が用意されていた。

 その1カ所に、弓子が見たことがない機材が並んでいた。手前にあるのは、大きなアイロンのようなハンドルが付いた電子機器で、ハンドルの反対側にムービーカメラに似たレンズが付いている。同じ用途らしいが、大小さまざまな機器が数種類揃っている。

 弓子が指先で触れながらつぶやく。

「何かしら……」

 高志が傍らに立った。

「3Dスキャナだ。ハンディータイプで、ビデオカメラで撮影する感覚で立体物のデータを取り込める」

「じゃあ、人体のデータ化も簡単にできるんですか?」

「それは、どうかな……? 僕も使ったことがあるが、元々、工業用に開発されたものだから有機的な対象物には向かない場合もある。簡単なアニメとかなら充分に効率化できるけど、求められてるのは〝最高の仕上がり〟らしいからね。外形の基礎データは取れるとしても、正確な色合いの採取は無理だろう。形にしても、細かい補正が必要なら、相当の時間がかかると思う」

 問題は4段目だった。医療用品のようなものがぎっしり詰められていた。使い捨ての白衣や箱入りのラテックス手袋はもとより、ノコギリやラジオペンチのような工具やシリコン製のチューブを巻いたもの。たくさんのポリタンクに入った液体や薬瓶。そして白い防水シート類。大量のペーパータオルなど、見たこともない品や用途が理解できないものがずらりと並んでいた。

 弓子は思わずつぶやいた。

「これって、手術の道具……?」

 高志も棚の用品に見入る。

「確かに。テレビや映画じゃ時々見かけるけど……」

 さらに、棚の奥の壁際にはラックが置かれ、指の太さほどの金属パイプが大量に差し込まれていた。パイプは数種類の長さに分類されている。その傍らには引き出しがついた透明プラスティックのボックスがいくつも並べられ、パイプ同士を組み合わせるジョイント金具が詰め込まれていた。ボックスの上には、金属製のツールボックスが4つ用意されている。そのうち2つには、組スパナやドライバー、ペンチなどがあらかじめ入れられていた。

 弓子がつぶやく。

「ホームセンターみたい」

 高志がうなずく。

「まずは、大工仕事から……ってところか」

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