第8話ロマンスに叩きのめされる
(あっ、美人さんだな……)
と入学初日から思っていた、同期でもひと際目を引くフェミニンな女性がそこにいた。
(声かけてみようかな。でも……)
これがもし女子高校生とかならアラサーの私が声をかけたらOUTかもしれないけど、年頃は同じか少し下に見えたので、まぁ通報されるようなことはないだろう。
だけど自己肯定感の低い私はどうしてもそういう勇気は出てこず、その後しばらくは見かけてもズコズコ引き下がるしかなかった。
(もうちょっと、どんな人か知ってから)
で、どんな人だったかというと、授業態度はいたって真面目だし、それにライターとしての才能の片鱗を時折見せるデキル人であった。というのも、ある基礎科の授業でシチュエーションに沿った1分ほどの台本を作る演習があったのだが、約20作中、彼女のものが一番出来栄えがよく、表彰されたぐらいだった。
ちなみに私のは一番クソみたいな出来で、正直穴があったら入りたかった。
(こ、これはいかん……!)
一挙に彼女のことを浮ついた目で見ることは止めて、乗り越えるべき壁と見るようになった。
その後の彼女だが、なんと進級先の研修科で同期で唯一一緒になり、「やったぜチャーンス!」と思いつつも、1年ぐらい共に机を並べているうちに、「たぶん性格が合わないだろうな」と思うに至り、現在、お互いシナリオセンターに通学しなくなったが時折、「お元気ですか」と連絡する程度のお友達として関係が続いている。
いずれまた共に机を並べて一つの作品を作り上げる日が来てくれるのを私は切望している。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます