第4話 出口戦略

シナリオセンター大阪校の見学会……

正直内容を覚えていない。

本格的な授業を体験できるのかと思っていたが、序盤は学校の説明やガイダンスばかりでおもしろくなかった。だって、大抵のことはホームページに書いていたんだもん。

ただ一つ、強烈に印象に残った情報があった。それは……

「シナリオセンターにはライターズバンクという制度がありまして、我が校独自のシナリオを書くお仕事を紹介するサービスです。

 シナリオセンターはシナリオ専門校の草分け的存在であり、長年培ってきたコネクションから定期的にシナリオのご依頼をいただいています。そのお仕事を生徒に斡旋するのがライターズバンクの制度です。

 ライターズバンクはシナリオセンターに所属していなければ利用できません。誰でも利用できるというわけではなく、入学して基礎科から始まり、研修科を経て、最終クラスである作家集団に進級した生徒に所属する権利が与えられます。または、コンクールなどで受賞経験があるなど実力を認められた人も特別に認められます。

 大抵のシナリオ専門校は期間を設けて学習期間が過ぎれば、あとは自分の力で頑張ってと放り出されることが多いようですが、シナリオセンターの場合はきちんと"デビューできる出口を用意しています"……この仕組みが他の学校と一線を画する我が校独自の取り組みです。

 シナリオライターになりたいと我が校を頼り入学してくださったなら、それを叶える責任があると思っています。入学という入り口とデビューという出口を用意するのは、我が校の責務なのです」


その言葉に衝撃を受けた。(多少誇張し過ぎたかもしれないが)

私は教師というものが大嫌いだった。読者の中にはいい先生と巡り会えた人がいるかもしれないが、少なくとも当時の私にはそうではなかった。

第一、あらゆる商売の中で客が提供して欲しいと思ったものを提供出来なくても文句を言われないのは教師ぐらいのものだ。レストランなら注文した品と違うものを出されたら金を払わず出て行く権利は十分にあると思うが、教師にテストの点数を上げてほしいと頼んで上がらなかったとしても何の責任も取りはしない。受け持つ生徒が何人辞めようが罷免されることもない。上から押しつけるくせに自らが契約不履行を犯しても何も責任を取らない、信用できない人種……過去のトラウマから、当時はそんな偏見を抱いていた。

それが、デビューさせる責任がある……出口を用意している……

一気に光明がさした気がした。

シナリオセンターが掛けてくれた業界へのはしごを一気に駆け上りたいと、この時私は思った。

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