第2話 認知

件の専門学校への入学を断念してから、私はすぐ新しい学校を探し始めた。条件は、『安くて、週に一度は授業があり、業界への道が拓けること』である。


「……このスクール、いいんじゃないか?」


六畳一間の我が家でパソコンを見ながら呟いた。


【シナリオセンター大阪校】

・週に一度の授業、平日、土日の昼夜いずれかを選択

・同センター出身の現役脚本家多数。

 大河ドラマ、朝ドラ、某国民的アニメでも活躍中。

・受講料、ひと月9000円……


「9000円……!?」


喧嘩別れした専門学校のひと月の受講料は約6万円だった。にも関わらず授業内容は講師と受講生が車座になってお互いの書いたものを講評し合うだけだった。これで本当にプロになれるのか? という疑問よりも、『こんなショボい授業にひと月6万円も取るのか……?』という気持ちの方が勝ってやるせない気持ちになっていた。それがあの専門学校への入学を迷った一番大きな理由だったのだが、もし同じような授業だったとしても、シナリオセンターなら1/6の値段……


「……とりあえず、見学だけでもしてみるか」


私は取り急ぎ電話をかけた。

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