第2話 お代はソーラン節
「まずは肩位の長さに切りましょう。あと軽くふわふわパーマ入れて、色も明るめが似合いそうね♡」
「ユナちゃんピンクロット12ね〜。カラーはオレンジベージュ。明るめだけど品良くエレガントに♡」
ユナちゃんと呼ばれた、ゴスロリの女の子がロットやパーマ剤をセットしたワゴンを押す。
ペーパーとロットで手際良く麗奈の髪を巻いていたおネエサマがクスクス笑う。
「ん? なあに? どうかした?」
「あっ! ごめんなさい! ……あの、楽しそうにされているから」
戸惑いながらも、思った事をそのまま口にすると、満面の笑みで答えてくれた。
「それはもちろん! あたしは人をキレイにできるこの仕事が好きなの」
「好きな、仕事かぁ」
「ここに来たって事は、何か
そういう所とは、どういう意味だろう…。
キレイなウィンクに
するとどこからかピィィーと笛の
「先ほどのお客のお
「オダイ?」
「そう、お
和服おネエサマが、麗奈の肩をぽんと叩いた。
何だか懐かしい曲。昔聞いたことあるような。
しばらくすると、ぽつんぽつんと
「ヤーレン、ソーランソーランソーランソーランソーラン 沖のカモメに
ソーラン節だぁ! 子供の頃盆踊りで踊った記憶がある。確か北海道の民謡で、ニシン漁の沖揚げ音頭。
小気味の良いこぶし回しの歌声に
ゴスロリの女の子がロリータ
「
「「ハ ドッコイショドッコイショ」」
麗奈は冬なのに、ムワっと夏の夜の熱気を感じた。華やかな
現実でないとは分かるのに、否定する要素すら
ヒューと高揚した客の笛が鳴り響く。横笛がこれほどキレイな音だと初めて知った。
「「ハ ドッコイショドッコイショ!」」
余韻十分に辺りが静まると、美人オーナーさんは、満足そうにニッコリ笑って言った。
「本日のお代いただきました~」
えぇ――――――!!
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