第358話悪魔編・偽その47
富士見姫蓮というまるで夢のような人間のことを知った私は、師匠からとあるミッションを受けた。
それは魁斗君と接触し、彼に課題を与えるというもの。
師匠は魁斗君がゴーストドレインの力を取り戻したことを知った。私は父から聞いていたからとっくに知っていたけど。
そんな魁斗君を怨霊の事件に巻き込ませたくない。それが師匠の……父親としての願いだった。
しかし魁斗君はすでに、幽霊に関することを学校で相談される側の人間だった。
であれば魁斗君が幽霊に関わるのは必須。いずれ怨霊とも関わってしまうかもしれない。それを心配した師匠は怨霊に辿り着かせないために、別の課題を与えさせることを思いついたんだ。
「ふっふっふ。ようやく魁斗君と直接お話が出来るんだねぇ」
もちろんただ話しかけること自体は容易い。しかし……いざ話しかけるとなると何を話せばいいものかわからなくなる。
調べたところ丁度昨日に、魁斗君は幽霊相談所というものを立ち上げたらしい。わざわざサイトまで作って。早速幽霊がらみの事件にガッツリ絡むつもりなんだねぇ。
であれば、私が最初の相談者として潜入すれば印象は抜群なんじゃないかな?
そう思って相談所がある将棋部の近くまで接近してみた。外から様子を見てみると、中には3人の人物がいた。
怪奇谷魁斗。私の理解者となる人物。
富士見姫蓮。いずれ私のモノになる子。
生田智奈。なんてことない普通の女の子……なんて思っていたけど。
「なっ……なにあの子……こ、こんな霊力って……普通じゃないよっ!」
ガラス越しでもわかる異様さ。あの少女自体に問題はない。ただ以上なのはその力。霊力だった。
霊力は人間や動物、幽霊や妖怪、悪魔といった全ての存在が持ち得ている力のこと。稀に霊力が強い普通の人間もいたりする。そういう人間は霊感が強いなどといった現象が起きたりするんだ。
しかし彼女……生田智奈が放つ霊力の強さは以上なほどに力強いものだった。下手をすると怨霊と同等……いや、それ以上のものになるかもしれない。
「なになになにぃ。なんでこんな子が普通に過ごしてるの? まあ何もなければそれもそうか」
いくら霊力が強かろうが、それは普通に生きているだけならなんの影響もない。もしも生きている人間が霊力を扱えるとなれば、それが出来る事例は……。
生霊だ。自らの霊力がもろに影響する。もしも、もしもあの智奈ちゃんって子が生霊を生み出したら……それはもはや怨霊以上のものとなるはずだ。
ならばあの子も私にとって1つの候補となる。怨霊を超えるかもしれない力を持つということは、悪魔化だってあり得ない話ではない。
「ふふっ。本当に都合のいいことばっかり起きるねぇ」
私のサブプランに1つ追加された。それは怨霊を超える霊力を持つ少女、生田智奈ちゃんだった。
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