第40話 戦隊、宇宙で邪神と決戦する 後編
「おのれ~~~! 何故だ、何故我を拒絶する~!」
鼬の如き獣の面相となった黒き花嫁、邪神ムーナが猛り狂う。
「こちらの世界の人事に介入し、レッド君を誘拐した貴様を誰が受け入れる!」
ブラックも怒りの叫びを上げる。
「そうです、あなたが私達を受け入れれうなら私達も妥協の余地はありました!」
口ではそう言いつつ絶対妥協しないピンクも叫ぶ。
「同じ女神でも、ゴールドは私達の話を聞いて手を取ってくれたよ♪」
ブルーはゴールドを見て笑う。
「こちらを受け入れず、自分が受け入れられるとは思わない方が良いですわ!」
イエローが正論で殴る。
「ムーナ、あなたは自分の世界を失った時点で間違っていたのです」
ゴールドが冷静に諭す。
「お母様、もう終わりにしましょうね」
シルバーが告げる。
「世界の皆が今のあんたを見て、ドンドン信仰を捨てるのがわからないの?」
グリーンが告げる、徐々にムーナは鼬の怪物へと変化していた。
「悪い鼬の怪物さんは、私達がやっつけるわ~♪」
ホワイトがのんびりと告げる。
「行くぜ、俺達の勝利のカウントダウンだ♪」
レッドが叫ぶと同時に、ムーナは完全に巨大な黒い鼬の怪物Ⓗと変化した。
「サイキョーダイユーシャ、分身!」
レッドが叫ぶと、サイキョーダイユーシャが九体に増えた。
九体のサイキョーダイユーシャに、戦隊メンバーが一人ずつ乗って立ち向かう戦法だ。
グリーンの力で世界の住人達に戦いの様子を見せている為、もはや完全にムーナへの信仰が消えてユウシャイン達に全ての侵攻の力が集まった事でなせる業だった。
「まだだ、我が勝って全て生みなおせばやり直せる!」
ムーナが口を開けて、分身体とも言える鼬の怪物達を吐き出して来る。
「そうは問屋が卸しませんよ、ピンクアロー!」
ピンクが乗るサイキョーダイユーシャが巨大なピンク色の和弓を構え矢を放つ。
放たれた矢は流星となって、眷属獣を撃破した。
「まだまだ出て来るね、オーディエンスがいっぱいレッツプレイだよ♪」
ブルーの乗るサイキョーダイユーシャは巨大な青いアコースティックギターをかき鳴らしてエネルギー波を生み出して襲い来る眷属獣達の動きを止める。
「私の新たな武器は、刀です♪ レッドさんの好みに合わせました♪」
シルバーの機体は銀色の巨大な刀を構える。
「行きますよ、満月の太刀です!」
刀で大きく円を描いて円形の斬撃を飛ばし、眷属獣達を切り捨てるシルバー機。
「……ついに、ついにあなたに報いを与える時が来ました! ムーナ、我が怒りの拳を受けなさい!」
ゴールド機が怒りの叫びを上げる、世界を奪われ民を虐げられと溜まりに溜まった彼女の怒りが爆発するかの如ゴールドが乗るサイキョーダイユーシャの両の拳には巨大な向日葵の花がグローブと化して装着されていた。
「我が怒りの拳、ジラソーレロール!」
ゴールド機の拳の向日葵が金色の火花を散らしながら高速回転する、そんな拳から放たれるのはパンチの嵐デンプシーロールだ!
「ぎゃあああっ! おのれ、向日葵の花風情が我が身を傷つけるなど!」
ゴールドの憤怒の連打に身を削られて、痛みに悶えるムーナ。
「あわわ! ゴールドが怒りに我を忘れちゃってる~~!」
巨大な緑色の本を構えたグリーン機が慌てる。
「大変、突出は駄目よゴールドちゃん!」
ホワイト機も眷属獣達を倒しながら叫ぶ。
「お戻りなさいゴールドさん、優雅さが足りてなくってよ!」
イエロー機がイエローアンカーを射出してゴールド機を絡め取り、レッド機体へと放り投げた。
ゴールド機を受け止めるレッド機。
「大丈夫か、ゴールド?」
サイキョーダイユーシャが、サイキョーダイユーシャをお姫様抱っこしているというシュールな構図でレッドがオールドに語りかける。
「はい♪ 少々高ぶりが過ぎました、イエローさんにも感謝を」
黄金コンビとも言えるイエローにも礼を言うゴールド。
「貸し一つですわ♪」
イエローは笑顔で答えた。
「む、狡いぞゴールド! レッド君、お姉ちゃんもお姫様抱っこを要求する!」
巨大な裁判鎚で眷属獣を粉砕しつつブラックが抗議する。
「ゴールドさん、これは戦隊裁判案件ですよ? 私も要求します!」
ピンクも戦いながら、レッドにお姫様抱っこを要求する。
「取り敢えず、戦いの後でゴールド抜きでジャンケン大会だよ!」
ブルーがジャンケンでの順番決めを提案した。
「困りましたわ、私はジャンケンは苦手ですのでどなたか私に買収されていただけませんこと?」
堂々と不正を宣言するイエロー。
「イエローさん、不正はめっ! ですよ!」
シルバーがイエローを咎めつつ敵を切る。
「貴様ら戦いの最中だと言うのにふざけおって、我を無視するな~~っ!」
ムーナがキレて全身から黒い衝撃波を放出する。
「ケロケロ~♪ あんたなんかもうおちゃらけながら倒せるって、余裕よ~♪」
グリーン機が、巨大な緑色の本から無数の蛙の群れをビットとして召喚しけしかける。
「皆がいるからもう怖くないわ~♪ どすこ~~~い♪」
ホワイト機が張り手を繰り出せば、巨大な掌型のバリヤーが生まれて全員を守る。
「貴様ら、調子に乗りおって~~~!」
グリーンが召喚した蛙ビットに纏わり付かれて動きが鈍るムーナ。
「ムーナ、貴方の敗因は一人だった事です! 私達のようにともに笑い合える相手を持たず、神の座に反り返るのみで信者達を大切にしなかったからあなたは自分お世界を失ったんですよ?」
ゴールドがムーナに説教をする。
「うるさいジーラ! 悪いのは、私の世界に出て来た魔王軍と私の糧とならなかったかつての信者共だ! 今度の世界では上手くやれるはずだったのに、貴様が私の勇者を奪うから失敗したんだ!」
ムーナがふざけた持論を吐きながら暴れる。
「……ふざけるな、人間は神の糧なんかじゃねえ! 人間と神は共に手を取り世界を営んで行く共同経営者だ、馬鹿野郎!」
レッド機が王笏でムーナの横面を殴り飛ばす。
「そんな、我が勇者よ! 何故我を見捨てるのだ! そなたこそ我が見初めた者だと言うのに!」
勝手な事を言って嘆くムーナ。
「何度でも言いますが、レッド先輩はあなたのではありません! 私達の愛する旦那様で、尊敬するリーダーでやがて私達の子供達のパパになる共有財産です!」
ピンクが矢を射ながら叫ぶ。
「いや、その共有財産って言うのは止めろよピンク!」
夫やリーダーやらまでは良かったが、最後のが台無しだとツッコむレッド。
「ピンクの言う通りだよ♪」
ブルーはピンクに同意する。
「偉いぞ、ピンクちゃん♪」
ブラックも同意した。
「当然の事実ですわね、ゴールドさん♪」
「ええ、付け加えるならば私達もレッド様の財産です♪」
黄金コンビもピンクに同意した。
「私達は、お互いが大事な宝物なんです♪」
シルバーの方が良い事を言った。
「そうね~♪ レッドちゃんは、私達の大事な人だもんね~♪」
ホワイトはほんわかしていた。
「ケロケロ~♪ どのみち私達の中にあんたの居場所なんてないから♪」
グリーンはムーナを煽った、
「……俺、今後は戦隊や神様の仕事以外にこのカオスな仲間達を家族としても纏めて行かないといけないんだよな? 今更ながらに責任が重大だぜ」
改めて、自分が背負った物の重さなどを実感するレッド。
彼にとっては、この戦いの後からの方が人生の本番であった。
「おのれ~! 暖かな空気を出しおて、羨ましすぎる!」
自分が戦隊達の輪の中に入れる存在でない、と見せつけられて苛立つムーナ。
「よし、最後はこいつで止めだ! サイキョ―ユーシャボールッ!」
レッドが叫ぶと、彼の機体が超巨大なサッカーボールを生み出してピンク機へと放り投げた。
「私が起点ですね♪ 行きますよ、イエロー先輩!」
ピンク機がボールをイエロー機にパス。
「受け取りましたわ、グリーン♪」
イエロー機がグリーンにパス。
「ケロケロ~♪ ブルーちゃん、受け取って~♪」
グリーンからブルー機へパス。
「オ~ライ♪ ブラック~♪」
ブルー機からブラック機へとパスが回される。
「ああ、シルバーちゃん♪」
ブラック機がシルバー機にパス。
「は~い♪ ゴールドさんに繋ぎます♪」
シルバー機からゴールド機にボールが渡された。
「レッド様、お願いします♪」
そしてゴールドがレッドにボールを投げた。
「よっし、ここで分身解除で全員集合♪ 最後は全員でフィニッシュだ♪」
レッドの叫びで、サイキョーダイユーシャが再び一体に戻る。
「「サイキョ―ユーシャボール・レインボーフィナーレ!」」
サイキョーダイユーシャが、虹色に輝く巨大なボールをムーナへと向けて蹴り飛ばす。
「そのような物、飲み込んで力に変えてくれる!」
ムーナが大口を開け、自分に向かてくる虹色の巨大なエネルギーの球体に食らいつくと大爆発を起こして宇宙空間全体が真っ白な光に包まれた。
白い光が消え、再び宇宙空間が元の黒い宇宙空間に戻る。
そこにはムーナの姿はなく、サイキョーダイユーシャのみが立っていた。
「「サイキョーダイユーシャ、大勝利~~~っ♪」」
サイキョ―ダイシューシャが残心を決めて、ユウシャイン全員で勝利の雄叫びを上げたのであった。
「……や、やりました♪ ついに、やりとげました~~~~っ♪」
ゴールドがマスクだけ解除して泣きながら歓喜の叫びを上げる。
「全センサーチェック完了、完全にムーナの存在の消滅を確認よ~~っ♪」
グリーンも顔だけ変身を解いて満面の笑みで喜ぶ。
「……あ、ありがとう皆~~~っ♪」
ホワイトもマスクだけを解除して、悲願達成を喜ぶ。
『さようなら、そしておやすみなさいお母様』
シルバーだけは、造物主であるムーナを弔った。
「ついにやったんですね私達♪」
ピンクもマスクを解除して微笑む。
「……ああ、アクドーイのボスも倒したし私達の大勝利だ♪」
ブラックもマスクを解除して喜ぶ。
「そう言えば、魔王軍との決戦でアクドーイの首領達を倒せてましたわね♪」
イエローが思い返したようにマスクを解除してポンと両手を叩く。
「イエ~~~~イ♪ これで追加メンバーの皆も一緒に地球へ里帰りできるヨ♪」
ブルーもマスクを解除して喜びの声を上げる、皆でこちらの世界を新たなホームにすると決めたので地球へは帰還ではなく一時帰省という考えだ。
「よっし♪ まずは世界を元に戻して祝勝会をしたら、皆で地球へ里帰りだ♪」
最後にマスクを解除したレッドの叫びに皆が応と答える。
戦隊達の決戦は、大勝利で幕を閉じたのであった。
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