第36話 戦隊、神となる!
「絆のオーブも全部揃った、後はこっちのロボを全部合体させて殴り込みか」
輪人が司令室で仲間達と向き合い話を振る。
「その前に、最後の仕上げとして私達の結婚式をいたしましょう」
ジーラが提案する。
「結婚式には賛成だけど、最後の仕上げとは何かな?」
純子がジーラに尋ねる。
「いや、結婚式って早くねえか?」
輪人が訳が分からず驚く、輪人としては敵との戦いを終えてから結婚という順序だと思っていたからだ。
「輪人様、神との結婚はただ夫婦となる人同士の物とは違い輪人様や皆様を神の位へと引き上げる為の物なのです」
ジーラが説明する。
「ムーナとの戦いに行くには、人間組の皆が神になる必要があるのよ」
ケトが語り、純子達を見る。
「皆様がいらした時にお話しした、私の信仰の力を取り戻して立ち向かうと言う方法では足りぬほどの強さをムーナは手に入れようとしております」
ジーラが申し訳なさそうに呟く。
「なので、パワーが足りないから神様の数を増やして数の力でやっつけようって事なの♪」
エレトが超ざっくりと語る、一つの強大な神の力に対抗するために複数の神の力を持って立ち向かうと路線に変更するという概要であった。
「そして、その為には輪人君をまず神に引き上げてから輪人君に私達を神へと引き上げてもらうと? これまでの食事や旅も、全てはその下準備と言う事かな?」
純子が考えながら言葉を出して納得した。
「数は力、わかりやすいですわね」
ヴィクトリアがえ~? という顔をする。
「戦いは数だよ♪ だねえ」
ヒナミも苦笑い。
「皆でパワーアップして叩き込む、嫌いじゃないです」
桃花が微笑んだ。
「わかった、そう言う事なら式を挙げよう! 俺ももう迷ったり悩まない、俺達皆で神になって立ち向かうぜ!」
輪人が以前、ユウキスフィンクスに見せられたヴィジョンを思い出して頷く。
「輪人、結婚とか子作りとかエッチな事考えてたでしょ♪」
ヒナミがいたずらっぽく輪人に微笑みかける。
「ひなちゃん! そう言うことは、三割程度しか考えてないから!」
輪人がヒナミにツッコむ。
「先輩、私達は先輩とのそう言う事を全力で考えてますよ♪」
桃花が笑顔で輪人に語りかける。
「いや、ちょっとびびるんだけど?」
桃花の言葉に出した勇気が引っ込みかける輪人。
仲間達が瞳をぎらつかせて、野獣の目で輪人を見つめる。
「ジーラさん、私達は覚悟はできてます! ジーラさんは、踏ん切りが中々つかない先輩が決断するのを待ってくれていたんですよね?」
桃花がジーラに尋ねるとジーラが頷く。
「輪人様、末永く宜しくお願いいたします♪」
ヴィクトリアが微笑む。
「輪人君、お姉ちゃんはずっと一緒だからね♪」
純子も輪人の手を握る。
「純子さん、抜け駆けは駄目だよ!」
ヒナミがむくれる。
「私もついに、輪人さんのお嫁さんになれるんですね♪」
シルバーナが頬を染める。
「それじゃあ、始めましょうか♪」
エレトが皆に語りかけると皆が頷く。
「それでは、本来なら盛大にお祭りと行きたいのですが時間も足りないので略式で参りましょう」
「いや、略式って大丈ぶっ!」
輪人がジーラにツッコミを入れようとした時、ジーラが輪人の唇を奪った。
キスを交わす二人、輪人はジーラから口移しで彼女の血を飲まされる。
ジーラが輪人から離れると、輪人の全身が瞬時に炎に包まれて金色の胴鎧と王冠を身に付けたユウシャレッドに姿を変えたかと思うと再び輪人の姿に戻った。
「……力と情報が一気に全身に染み込んだぜ、ありがとうなジーラ」
略式で神となった輪人がジーラに礼を言う。
「はい、これからも宜しくお願いいたします旦那様♪」
ジーラが太陽の如き笑みを見せた。
「うが~~~~っ! もう私、遠慮はしません!」
ジーラとの儀式を終え、神となった輪人に襲い掛かる桃花。
「お姉ちゃんも我慢しない、輪人君大好きだ!」
純子も思いを叫びながら突進する。
「幼馴染も負けてられないよ!」
ヒナミも輪人へと突撃する。
「私も参りますわ♪」
ヴィクトリアも突撃し、全員が輪人とキスを交わしその血を飲んで輪人と同様の変化を遂げた。
「それじゃあ、私達も新たな主神である輪人ちゃんの眷属になりましょうか♪」
「そうね、これからも宜しくね~♪」
「輪人さん、宜しくお願いします♪」
ケト、エレト、シルバーナと神である者達も輪人とキスを交わしてその血を飲み契約を交わした。
「何と言うか、皆勢い強すぎる」
神となっても女難なのは変わらない輪人。
「いえ、これでもまだ手加減してますからね先輩?」
桃花が冷静に語った。
「もう待ったは無しだよ輪人♪」
ヒナミは目をぎらつかせる。
「お覚悟を♪」
ヴィクトリアも何処からかロープを取り出した。
「夫婦になったんだから、輪人君も遠慮しないでね♪」
純子が優しく語り掛ける。
「いや、だからそう言うのは戦いの後にしてくれってば!」
輪人は叫んだ。
「さて、夫婦生活や家族計画の前にこれでこの世界の本来の主である輪人様に私がお返しできる事は終わりました」
儀式を終えてジーラが皆に告げる。
「ああ、後は魔王軍もムーナも倒すだけだな?」
落ち着いた輪人が告げる、それと同時に司令室内に警報が鳴り響いた。
魔王城の広間、魔王アナトラや幹部達が並ぶ中でスカルマが跪いていた。
「スカルマよ、此度の決戦に置いて貴様に一番槍を任せる魔族巨人デスナイトを用いてジーラの地を侵略せよ!」
アナトラが立ち上がり命じると、スカルマが頷く。
「ははっ! このスカルマ、身命を賭して挑んでまいります!」
スカルマは礼をして広間から出て行った。
「次にサメ―はリョウマの街を海から攻めよ!」
「サメ―、謹んでお受けいたします」
アナトラが命じると、サメ―が彼女に跪いて拝命し広間を退室した。
「グマ―よ、勇者達が潜伏していると聞くルナの街を襲え!」
「グマー、魔王陛下のご命令に従います」
グマ―もアナトラに跪き、その命令を拝命しサメ―の後に退室した。
「デプスよ、貴様は我やオシウーリ殿とランゾーン殿と共に決戦兵器である魔王巨人クイーンダイマオーの準備をせよ」
最後にアナトラはデプスへと命じた。
「かしこまりました、陛下♪ このデプス、喜んでクイーンダイマオーの炉に火を灯しましょう♪」
デプスがアナトラの前に跪いて優雅に一礼して床に沈むように退室をした。
「うむ、魔王軍はこれより総力を持って勇者達とムーナ陣営に決戦を挑む!」
アナトラが叫び玉座に座ると、唸りを上げて玉座が地下へと沈んで行く。
やがて彼女が座ったままの玉座が辿り着いたのは暗く狭い場所であった。
「ここがクイーンダイマオーの操縦席とやらか?」
アナトラが呟くとその場所に明かりが灯る、そこは計器類が並んだ機械に囲まれた小部屋であった。
「話には聞いていたが、このような狭き場所で巨人を操作するのか」
アナトラが目の前の青い水晶玉に手を触れると、彼女の目の前に作業着姿の兵達が動き回る外の景色が見えた。
「申し訳ございません陛下、退屈でしょうがご容赦ください」
アナトラの操縦席にランゾーンの声が響く。
「構わぬ、しかし魔法とは違う技術とは珍しい物だな」
仕組みはわからないが聞こえてくる声に返事をするアナトラ。
「ランゾーン、私も退屈なんだけど?」
今度はオシウーリの声が聞こえてきた。
「いや、勘弁して下さいよ会長? 取り敢えず今は待機でお願いします」
ランゾーンが通信機越しに叫んだ。
「確かに退屈ではあるな、しかしまずは部下達がどうなるかだな?」
アナトラは彼女自身をモチーフにした黒い女性型の巨大ロボット。クイーンダイマオーの中で呟き出撃の時を待っていた。
所変わって勇者側では、魔王軍の侵攻をキャッチして動き出した。
「三か所同時侵攻だと、面倒くせえ!」
輪人が正直に叫ぶ。
「先輩、面倒ですが叩きに行きましょう!」
桃花が叫ぶ。
「そうだよ、まずはどう戦力を振り分けるんだい?」
純子が輪人に尋ねてくる。
「ここで確認できる範囲だと、ひなちゃんはジーラ達とコダイユーシャでリョウマの街を頼む!」
輪人がまずジーラ達の行き先を決める。
「了解だよ♪」
ヒナミが元気よく答えてブルーに変身すると、スーツの上に金の胴鎧が装着されていた。
「ブルーさんは、風と技芸の神様ですね♪」
胴鎧の中心には風邪と音符のマークが刻印されていた。
「ラララ~♪ 本当だ、体のキレと歌の調子が良いヨ~♪」
ノリ良く歌って踊りながら答えるブルー。
「他の皆は、シルバーナと機体を合体させてルナの街を頼むぜ」
輪人が仲間達を見る。
「はい、任せて下さい♪」
シルバーナがシルバーに変身して答えた、彼女も金の胴鎧を身に付けておりその刻印は三日月であった。
「私、イエローですが海と漁業の神になれましたわ~♪」
錨のマークが刻印された胴鎧を纏ったイエローが喜ぶその手には新武装の、巨大な錨が握られていた。
「うん、冥界と司法神としてお姉ちゃん頑張るよ!」
ブラックは天秤のマークが刻まれた胴鎧を見て叫ぶ。
「先輩、私は山と狼と狩りの神様なんでしょうか?」
ピンクの胴鎧には山と狼の頭が刻まれていた、彼女の新武装は弓矢だ。
「良いじゃない、素敵よ♪ 私は医学以外の知識の神も兼ねるのね♪」
グリーンが手に持った辞書サイズの本を開きながらピンクを褒める。
「私は増えた権能は、格闘技とお家の事全体ね任せて~♪」
ホワイトが腕に力こぶを作って答える。
「んで、俺は火の神なのかな太陽もあるけれど?」
変身してレッドになった輪人が自分の胴鎧のマークを見る。
「はい、レッド様と私で太陽神を兼任私が光でレッド様が火ですわ♪」
ゴールドがレッドに説明する。
「そうか、んじゃ俺はこっちの砂漠に来る奴をユウキスフィンクスで倒すぜ」
説明を聞いたレッドが自分の行き先を決める。
「じゃあ改めて、神様の実感とかはまだだけど勇輝戦隊ユウシャイン出動だ!」
とレッドが皆に号令をかければ仲間達が応と返事を返す。
ついに神となった戦隊も、戦いはラストスパートだと出撃した。
まず倒すべきは魔王軍、そしてムーナとの決戦が火蓋を切ったのであった。
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